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FEATURE
京都にできたグラフペーパーの新店舗にきく、ローカルに根ざした店づくり。
Graphpaper KYOTO

京都にできたグラフペーパーの新店舗にきく、ローカルに根ざした店づくり。

暮らし方が変わったここ数ヶ月。遊びも仕事も、普通が普通じゃなくなり、そこから得た教訓をもとに新しい価値観だって生まれたはず。服屋だってそう。お店に行かなくたって何でも買えるこのご時世。でもそんな時代に、服も、ブランドも、つくり手も無数にあるいま、他のどれよりも寡黙で、それでいて不思議と存在感を放ち続けるブランド、〈グラフペーパー(Graphpaper)〉のディレクター南さんが京都にお店をオープンしました。なぜいま? どんなお店? 南さんと、京都店のパートナーである堂阪さんが考える新しいお店の在り方の話。

PROFILE

南貴之

1976年生まれ。千葉県出身。セレクトショップのプロデュースをはじめ、ショップディレクションやブランディング、バイイング、空間デザインなど幅広く活動した後、2013年に国内外の様々なブランドのPR業務を行う「alpha PR」をスタート。また同年、架空の運送会社をイメージしたモバイル型コンセプトストア〈FreshService〉を立ち上げる。2015年にギャラリーとしての機能を持つキュレーション型のセレクトショップ「Graphpaper」をオープン。2018年には東京ミッドタウン日比谷に〈HIBIYA CENTRAL MARKET〉をオープンさせるなど多方面で活躍中。

PROFILE

堂阪友幹

滋賀県出身。京都を拠点に様々なブランドのお店を展開する株式会社バディーの代表。〈グラフペーパー〉の顧客で青山店に足繁く通っていたというのはここだけの話。

ブランドを始めたときから京都に出したかった。

ー 「グラフペーパー 京都」ができるまでの経緯を教えてください。

南:今年で5年目になるんですけど、五条(京都市下京区)に家を借りていて、京都と東京を行き来しているんです。というのも、青山店をオープンしたのが2015年、それから1年経ってブランド(グラフペーパー)をはじめたときから、ずっと京都にお店を出したいと思っていて。だから、このお店ができるまではずっと場所(物件)を探していました。それから約4年、ようやくオープンすることができました。

ー ずっと前から構想としてあったんですね。

南:はい。実はこの場所の前にお店を出す予定があったんです。知人から、たまたま安くていい物件を紹介いただいたので、とりあえず西の拠点として借りることにしました。そこを中心に買い付けに出かけたり、職人さんと打ち合わせをしたり、新しい繋がりをつくっていこうと。それが4年くらい前のこと。それからいろいろあって、京都の知人の事務所の1階を借りてお店をやるっていう話になったんです。それこそ東京からも取材が入る予定でした。

そんな矢先に、さあ内装工事しようってなったら、大家さんからNGが出てしまって。「何をしてもOKとは言ったけどお店はダメだ」って。どうやら京都あるあるらしいんですけどね。それで、オープン用に用意していた在庫を大量に抱えてしまったこともあって、一度会社がめちゃくちゃ傾きました(笑)。それが3年くらい前の話です。

ー それは大変でしたね。

南:その後、広島県のお取引先さんから、「南くん京都にお店出したいって言ってたよね? いい人紹介できるよ」って言っていただいて。それでお会いしたのが堂阪さんです。しかも、よくよく話を聞いたら「ぼく、よく青山のお店行くんですよ」って。それから、彼にいろいろ物件を探してもらって。何件か候補があったんですけど、ここでやりましょう!って。それが去年の12月かな。

ー かなり紆余曲折あったんですね。この場所は元々何だったんでしょうか?

堂阪:飲食店をやっておられました。ロコモコが美味しかったのが印象に残っています。

南:もういまからは想像できないくらい違う見た目で、梁以外は全部建て替えたと言ってもいいくらい。でも、いま思えばこんないい物件ないですね。ぼくもずっと探してたんですけど、やっぱりいきなり東京から来た人間が普通に不動産屋さんに行ったところで、いい物件なんて出てこない。それは身をもって感じました。たしかこの物件は市場に出てなかったんですよね?

堂阪:はい。出る前に知り合いから話をもらったのですぐ見に行きました。そしたら蔵がそのまま残ってていいなって。すぐ南さんに相談して、 “そこから決まるまで”は早かったですね。

南:やっぱり地場の強さにはかなわないですよ。

ー この場所が見つかったのはいつ頃の話ですか?

堂阪:見つかったのは去年ですが、契約したのは今年の1月になります。

ー それから工事を進めていったわけですね。

南:古い町屋なので、一度梁だけの状態にしてから図面を起こさないといけなかったり、デザインを考えるまでがとにかく大変でした。しかも解体を堂阪さんの会社のスタッフさんがやるっていう(笑)

堂阪:そうなんです。弊社の方針として、できることは自分たちでやろう!っていうのがありまして。出来上がったものをただ渡されるだけだと愛着が湧かないので、別のお店もそうですが、解体は基本弊社でやってるんです。

ー そもそも堂阪さんの本業は何になるんですか?

堂阪:自分の好きなブランドを京都に根付かせることですかね。元々は、古着屋とセレクトショップをやっていたんですけど、どうしても表層的になってしまう部分があって。であれば、ひとつのブランドに奥行きを持たせて、その魅力や世界観をしっかり伝えようということで、かれこれ17年前になります。

南:いまでこそ、この六角通りは人がたくさんいますけど、当時は全然人がいなくて大変だったみたいです。

ー それは意外ですね。いわゆるファッション街だと思っていました。

堂阪:メインとなるファッション街は「藤井大丸」さんをはじめ、大手ブランドが揃う四条通り。「ロフトマン」さん、「ロジャース」さんなど、地元ローカルに根付いている寺町通り。最近だと「新風館」や「ACE HOTEL」ができた三条通りもそれに当たりますね。この六角通りは、いまでこそ人通りが多くなりましたけど、昔はアパレルショップがまったくなくて、4,5年前からようやく人が集まりはじめたエリアなんです。

南:堂阪さんが新しいファッション街をつくったと言ってもいいくらいですよ。だからぼくもお店を出すなら、堂阪さんのお店の近くがいいなって思っていて。どんどんお店を集めて、ひとつの通りをつくっちゃうみたいなね。

ー オープン日である6月20日は、2020年では2回しかない縁起の良い日だそうですね。

堂阪:はい、当初は4月オープンを目指していたのですが新型コロナウィルスの影響もありオープンを延期し、6月を目処に再度オープンの予定を立て、2020年に2回しかないという一粒万倍日と天赦日が重なる日にしようと思い6月20日にオープン日を決めました。何か物事をはじめるのにすごく良い日なんです。これまで手掛けてきたお店もすべてそうであるように、しっかり狙ってオープンしてますよ(笑)。まあ一種のゲン担ぎみたいなものですね。

南:ぼくは知らなかったですけど(笑)

INFORMATION

Graphpaper KYOTO

住所:京都府京都市中京区六角通富小路東入大黒町88-1
電話:075-212-2228
時間:12:00~20:00
水曜日定休

Instagram:@graphpaper_kyoto
graphpaper-kyoto.com/

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