天気がいいと影が地面に真っ黒く映る。それがすごく好きなんです。

ー いまでもアメリカへは行かれていますか?
永井:最後に行ったのは2004年くらいかな。それまではハワイへ年に数回行ってました。でも景気が悪くなったというのもあるし、自分も歳を取ったし、子供が大きくなったというのもあって足が遠のいちゃってますね。
ー 永井さんにとってアメリカの景色はやはり別格ですか?
永井:日本の景色もいいですよ。ぼくは四国の徳島が田舎なんだけど、あそこも空が綺麗でね。駅前にワシントンヤシが植えられているんです。いまは関東に住んでますけど、クルマで第三京浜なんかを走ったりするとたまにアメリカみたいな青空を感じるときがあります。濃いくらいの青空。むかしは「日本の空は綺麗じゃない」って言われてたんですけど、そんなことないと思いますね。

ー 永井さんの作品を見ていても、空の描写に特徴を感じます。カラッとした青空や、夕日のグラデーションは見事です。ご自身でもやはり空に惹かれるところはありますか?
永井:ぼく自身は夕日よりも青空が好きですね。だけど最近は夕日がウケるみたい。いまはピンク色した空がブームのようなんです。
ー 青空がお好きなのはどうしてなんですか?
永井:スカッとして気持ちいいじゃないですか。自分の絵のテーマは“光と影”なんですよ。天気がいいと影が地面に真っ黒く映るでしょう。そういうのがすごく好きなんです。だからなんでもかんでも黒く塗りつぶして、あまり細かく描けないところを誤魔化してるんですよ(笑)。

ー その光と影のコントラストに永井さんらしさを感じます。
永井:ぼくは大学受験で田舎から上京してきたんですけど、ほぼ受からなくて。それでおじさんに紹介してもらってテレビの背景屋さんに就職したんです。ぼくの絵が背景っぽいのはそこにルーツがある。その背景屋さんでテクニックを覚えたんですよ。物体に光が当たることで立体的になるというかね。
ー あとは色彩から涼しさを感じます。
永井:暑いのが苦手でね、ハワイによく行ってたけどビーチには15分もいれなくて(笑)。帰り道にハンバーガーやアイスクリームを食べたりとか、そういうのが好きなんですよ。ちょっと涼しい感じ。木陰に入ったりしてさ。