びっくりすると、買ってしまうクセ。
ー 下田さんはファッションへのこだわりはありますか?
下田:自分が好きなものはわかるけど、それが自分に似合うかどうかはわからなくて。変な格好をしているのかもしれないし、びっくりしたら買ってしまう癖があるの。「何これ?!」と思って買い続けてきたら、どうやって合わせればいいのかわからないもので一杯になってしまったという。ついに、奥さんに「何に驚いたのか教えてね」と言われるようになって、買いものするときは電話するようにしていて(笑)。トータルで考えることができないんだよ。
川上:自分のスタイルがあるように見えますよ。
下田:いや、本当に変なものばかりなんだよ。特に靴なんてそう。何年か前に買った〈アディダス〉のスニーカーもトーテムポールのデザインでさ。翼とかも付いていて、どうやって履けばいいのかわからない。これなんだけど。

写真上のスニーカーが〈アディダスオリジナルスバイジェレミースコット(adidas Originals by JEREMY SCOTT)〉。
ー ジェレミー・スコットがデザインしたモデルですね。
下田:そう、それそれ。好きだから時々履いているんだけど、履いていると二度見されるんだよ。あと〈ダナー〉のブーツなのにエイ革っていうのも持ってる。トレッキングで履けるわけないよなと思っても、キレイ、かっこいいという気持ちが勝ってしまって。
川上:下田さんがヒマラヤに行ったときは、マウンテンブーツを履いていったんですか?
下田:いや、そんなことはなくて。はじめてチベットに行ったときは長距離バスだったんだけど、5,000メートルの峠を越えるなんて知らないまま乗っちゃって、ビーサンで行ってしまったから、とにかく寒かった思い出がある。いきなり吹雪になって、毛布に包まってる人に入れてもらったりして(笑)。若いって怖いよね。楽しかったけど、死ななくてよかったーと思うよ。
川上:でも、その経験は大きいですよね。
下田:遊んでいただけなんだよ。普通の観光旅行で、現地で会った人たちの似顔絵を描いたりしながら。川上くんは18歳からサンフランシスコで暮らしていたんでしょう。

川上:最初は英語をまったく話せなくて。ぼくが住み始めた当時のサンフランシスコは怖かったですね。でも、その危なさがおもしろかったですけどね。あの経験がなかったら、違う人生を歩んでいたのかもしれません。
下田:ぼくも10代でアメリカに行きたかったなぁ。
SEVEN BY SEVEN 2020AW in San Francisco
川上:下田さんは言葉が通じなくても絵とかで相手を幸せにできるじゃないですか。どこに行っても仲良くなれると思うから羨ましいですよ。
下田:どちらかというと、多動症で自閉症なんだよ。
川上:今まで行った国で、どこが一番印象に残っていますか?
下田:チベットかな。ローカルな場所に行ったんだけど、民族衣装を着て、腰に飾りの大きな刀を携えているチベット人たちがお茶を飲んでいたんだよ。その人たちの似顔絵を描いていたら仲良くなって、ぼくが泊まっているホテルに誘いに来てくれるようになったの。「シモダー!!!」ってぼくの名前を叫ぶものだから、ホテルの人たちが心配してくれてね(笑)。彼らと一緒にお寺のまわりをショッピングしながら歩いたりしたのも最高だったなぁ。