PROFILE

グローブスペックス代表。1959年広島生まれ。98年に東京・渋谷、2000年に代官山に「グローブスペックス」をオープン。17年からイタリアの「MIDO」展で2年連続「BESTORE AWARD」を受賞。世界一の眼鏡店に選ばれる。20年6月、20年ぶりの新店を京都にオープン。アメリカで行われた眼鏡展「Optimum Retail Award」ではアジア勢で唯一トップ5に選出された。フイナムのブロガーでもある。
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〈オールドジョー〉デザイナー。1979年香川生まれ。盟友であるサインペインター「NUTS ART WORKS」と共に2008年に〈オールドジョー〉をスタート。現在は東京・渋谷と石川・金沢に旗艦店を構える。カリフォルニアを拠点にするクラフトブランド〈Shizu Designs〉とのエクスクルーシブアイテムをリリースしたばかり。ワークウェアからスーツスタイルまで、さまざまなプロダクトへの造詣が深い。
oldjoe.jp
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サインペインター。1974年青森生まれ。96年から「NUTS ART WORKS」の名義で活動をスタートし、誰も知る数多くのショップのサイネージやブランドのグラフィックを手掛けている。2008年に髙木雄介さんと〈オールドジョー〉をスタート。現在は自身の作品を精力的に制作中。「NUTS ART WORKS」ではなく、本名(比内直人)で個展を行うことを考えている
www.nutsartworks.com
驚きと発見、そして共感。
ー 最初にみなさんの関係性についてお伺いしたいのですが、まず岡田さんと髙木さんが知り合ったきっかけを教えてください。
岡田:実は髙木さんと会うより先に〈オールドジョー〉を知ったのが最初なんです。確か2016年秋冬シーズンのカタログだったと思います。このビジュアルがとにかくかっこよくて。カタログがなぜ手に入ったのか思い出せないのですが、長谷川昭雄さんが手がけたスタイリングはもちろん、インダストリアルな雰囲気の中で70年代の〈フェラーリ〉を使ったビジュアルに惹かれました。もちろんそこに載っている服も自分のツボにハマるものばかりで。それからちゃんと間近で見たいと思い、神泉の店へ行くようになりました。何度か通ううちに展示会に誘ってもらって、そこではじめて髙木さんと会いました。3年前くらいですね。

ー 比較的最近なんですね。会ったときの印象はいかがでしたか?
岡田:カタログの世界観もそうですが、お店のアンティーク什器やさり気なく飾ってあるアートブック、雑貨など、どこを見ても並々ならぬこだわりとセンスがあって、勝手ながら自分と年齢が変わらない方だと思っていました。最初、髙木さんに会ったときはスタッフの方と勘違いしてしまったくらいですから(笑)。想像より若くてびっくりしましたが、話してみると、いろんなことをよくご存知でものすごくこだわりの強い方だと感じました。特にヴィンテージに詳しく、服のつくりもぼくの好きなクラシックなディテールが盛り込まれていて、一気にブランドのファンになりました。
ー 髙木さんはいかがですか?
髙木:実は渋谷店が別の場所にあったときから、「グローブスペックス」で買い物をしていたんです。かれこれ10年ほど前からでしょうか。当時、知り合いのスタジオがすぐ近くにあってずっと気になっていて。いざ入ってみると、アンティークの〈ザ・スペクタクル〉が目に留まって購入しました。

ー ということは一方的に岡田さんのことを知っていたと。
髙木:岡田さんのことを知ったのは最近で、それこそ(オールドジョーの)展示会でお会いする数年前のことでした。たまたま雑誌で拝見して「この方が岡田さんなんだ」という認識はありました。
ー 会ってみていかがでしたか?
髙木:ものすごいジェントルでしたね(笑)。ギラギラした方なのかなと勝手に思っていたのですが、話してみるととても物腰が柔らかく大らかで素敵な方でした。
ー NUTSさん(NUTS ART WORKS)と岡田さんが会ったきっかけというのは?
NUTS:直接会ったのは知人を介してですが、ぼくも(髙木)雄介と同じで、会う前から「グローブスペックス」で眼鏡を買っていました。岡田さんのことはもちろん昔から雑誌でよくお見かけしていたので、存在自体は知っていました。
岡田:(オールドジョーの)展示会ではよくお見かけしていたんですけど、ちゃんと話すようになったのは髙木さんに紹介してもらってからですよね。

ー NUTSさんの印象はどうでしたか?
岡田:最初は寡黙なひとだなという印象でしたが、話しているうちに、美味しいご飯屋さんやアートのことなど、共通点がいろいろ見つかって、それからとても仲良くさせてもらっています。
NUTS:年上なんですけど、それを感じさせない立ち振る舞いが素敵でしたし、とても博識なので、いろいろと教えてもらっています。
ー ちなみに、髙木さんとNUTSさんはいつから交流があったんでしょうか?
髙木:もう10年以上前、ぼくがまだ〈オールドジョー〉をはじめる前、フリーランスで仕事していたとき、クライアントの会社に画伯(NUTS ART WORKS)も別件で来ていて、とんでもない人がいるなと思って。ちょうど雑誌『HUgE』の表紙を画伯が手掛けたときですね。人見知りなのか、最初は目も合わせてくれなかったですね(笑)。
NUTS:そうだっけ?(笑)

ー 〈オールドジョー〉は髙木さんとNUTSさんのお二人ではじめられたんですよね?
髙木:〈オールジョー〉は、基本アノニマスな活動を心がけているんですが、関わり方としては、ぼくが服をメインとしたすべてのプロダクトデザイン、ショップのビジュアルデザインなどを担当していて、画伯にはグラフィックの提供の他、自分と共にブランディングをしてもらっています。アーティストとしての活動もある一方で、ひとつのブランドに密接に携わる存在がいるというのは他ではあまりないと思うので、〈オールドジョー〉のファッションに寄りすぎないニュートラルなスタイルはブランドの大きな特徴であると言えますね。
ー ブランドスタートから10年以上経ちますが、現在もそのスタンスは変わりませんか?
NUTS:最近は任せっきりになってるかもしれませんね(笑)。ただ意識的にそうしているわけではなくて、単純に〈オールドジョー〉より看板屋の比重が大きくなったというだけです。