クルマを運転することで自分でルートを選べて、新しい発見ができる。
普段からよくクルマを運転するという朝倉さんにとって、クルマに乗っている時間はリフレッシュにつながるのだとか。
「ひとりでクルマを運転しているときは音楽を聴いていることが多いです。とくになにを考えるわけでもなく、気づけば無心になっています。すると、目的地に着く頃には頭の中がリフレッシュしているというかスッキリしているんです。まるでお風呂に入ったような感じというか。頭のスイッチが切り替わってるんですよ」
そうした効果は電車やバスといった公共交通機関ではなかなか得難いもの。“運転をする”という行為を通してはじめて感じられるものなのかもしれません。
「電車やバスはあらかじめルートが決まってますよね。でもクルマの場合は自分で道を選べるじゃないですか。もちろんナビを頼ることもありますけど、知っている場所や方向であれば無意識のうちにどうゆうルートを辿ろうか考えていると思うんです。そうやって頭を働かせられるところが公共交通機関とはちがうところですよね」
そう語る朝倉さんは、できるだけ電車やバスを利用せず、自転車や徒歩、クルマに乗って移動することを心がけているそうです。
「自分でルートを決めると、新しい発見があるんですよ。たとえばクルマに乗っていて、普段とは違うルートを通ると『こんなお店があったんだ』とか、気づくことができます。おなじルーティンだと、そういう発見はしづらいですから。そういう意味でも自分で道を選べるというのはいいことですよね」
自然の中にいると普段使うのとは違う筋肉が動く感覚がある。
クルマや運転について話をしながら、歩みを進めること1時間とちょっと。「カングー」は無事に西湖へと到着しました。休憩する間もなく、到着したその足でそのままキャンプサイトの設営をスタートします。
「都会に住んでいると、こうして自然の中に身を置いてゆっくり過ごす時間ってなかなか見つけにくいじゃないですか。クルマに乗って移動して、山や河や海、そして湖を堪能する時間がぼくは楽しいんです。みんなキャンプが好きなのは、シンプルにそういう理由だと思うんですよね。月に一回だけでも、こうした時間があると気分が変わりますよね。普段のルーティンから抜けだすことって、すごく大事なことだと思います」
慣れた手つきで着々とテントを組み立てる朝倉さん。手を動かしながら、自然の中に来ることで感じる体の変化についてこう話してくれました。
「こういう場所にくるとグッと視界が開ける感覚があるじゃないですか。すると、なんだか目がよくなったような気がするんです。身体的に感覚が研ぎ澄まされるような、そんな感じがしますね」
テントの設営が終わると、今度は着替えてサップのボードに空気を入れて準備をしていきます。「今日は天気もいいし、めちゃくちゃ気持ち良さそう」と、やる気満々の様子。
「まだトータルで5回目くらいなんですが、すごく奥深いアクティビティなんです。板の種類もたくさんあるし、オールを漕いでいきなり急旋回したりするテクニックもあったりして楽しいんです。今日は厚みがあって浮力の高いボードなので、小回りが効かないんですが、それでも天気がいい中でこうして遊べるのがすごくうれしいです」
そんな話をしながらボードを手にとって湖へと着水。まずは膝をつきながらゆっくりと体をならしていきます。
「サーフィンでパドリングをするように、サップではオールを漕いで前に進んでいくんですけど、漕いだら漕いだぶんだけ前進するところが楽しい。すると、ぐんぐんスピードも上がっていってスイスイと前に進んでいくんです。それが気持ちいですね。オールの水の当て方や抜き方にコツがあって、上手な人は片側だけで漕いでいてもまっすぐ進むんですよ。そこまでできるようになると、もっと楽しくなると思いますね」
ボードに乗ってオールを漕ぎながら湖の上をスイスイと動き回る朝倉さん。次第に真剣な表情になってきました。
「都会で暮らしていると、やっぱりこうした遊びは日常的にはできないですよね。非日常を味わえるというか、普段の生活とのギャップがやっぱり楽しい。たとえば山登りって息が乱れますよね。同じように都会の道をただ歩いていても、息が切れることってそんなにないと思うんです。プールで泳ぐのと、海で泳ぐのでは全然ちがうし、自然の中にいると普段使うのとは違う筋肉が動く感覚があって、それがぼくは好きですね」