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FEATURE
詩人、画家、ロックミュージシャン。20年に渡って加速する、浅井健一の創作欲の源泉を探る。
Looking Back on Benzie’s 20 Years

詩人、画家、ロックミュージシャン。20年に渡って加速する、浅井健一の創作欲の源泉を探る。

今年でレーベル設立から20周年を迎え、SHALLOW WELL名義のインストアルバム『SPINNING MARGARET』や浅井健一&THE INTERCHANGE KILLS名義のニューシングル『TOO BLUE』のリリースをはじめ、6月には短編集の『神様はいつも両方を作る』を上梓するなど、活発な創作活動をおこなっている浅井健一氏。BLANKEY JET CITYの解散後、音楽活動のみならず文筆業やイラストレーションなど多彩な分野で才能を発揮している浅井氏のクリエイティブの源はどこにあるのか。吟遊詩人・浅井健一の20年について。そして、音楽産業にとって未曾有の事態であるコロナ禍のいまについて。あえてとりとめもまとまりもつけず、ありのままの形で語ってもらいました。

  • Photo_Shunya Arai(YARD)
  • Text_Shunsuke Hirota
  • Edit_Yosuke Ishii

PROFILE

浅井健一

照井利幸、中村達也とともにBLANKEY JET CITYとして活動した後、2000年に自身のレーベルであるSEXY STONES RECORDSを立ち上げ、SHERBETS、AJICO、JUDE、PONTIACSやソロ名義で精力的に音源を発表。現在は浅井健一&THE INTERCHANGE KILLSとして活動するほか、文筆や絵画の分野でも才能を発揮している。

音楽業界に逆風が吹いている時こそ、創作に没頭する。

ー 実は数ヶ月前に取材で中村達也さんと会ったんです。

あぁ、そうなんだ。

ー その際に、いまもBLANKEY JET CITY(*以下、BJC)のメンバー同士は仲良く付き合っていると伺いました。

日頃めったに会わなくて、たまに連絡を取り合って年に一回ぐらい一緒にご飯を食べに行くか行かないかって感じだね。照ちゃん(*照井利幸さん)とはいっとき頻繁にサーフィンに行ってたんだけど、最近は行かなくなって。照ちゃんはサーフィン熱が冷めてる感じかな。でもこの間久しぶりに声を掛けて、まさに先々週一緒に行ってきたんだよね。

ー キャンプや登山に出掛けているのは伺っていましたが、サーフィンもやるんですね。

照ちゃんのクルマで湘南まで一緒に行くんだけど、道中で色々な会話ができるんだわ。久しぶりに会うと話したいことがお互いにあるんだよね。照ちゃんは照ちゃんで一生懸命にやってるし俺もやってるから、いろいろ話が盛り上がるんだよ。

ー そういうときは過去の話をするんですか? それとも最近の近況報告ですか?

両方するね。ぜんぶ。「あの時、ああいう風だったよね」とかさ。だいたい話し尽くしたはずなんだけど、ふとした時にまだ話し忘れてたことが見つかったりするんだよね。サーフィン自体も面白いんだけど、道中の会話が好きかな。しょっちゅう会うと楽しさが薄れてくるけど、会ってない期間が長ければ長いほど、盛り上がるね。達也のほうが会ってないかもね。

ー 3人で一緒にスタジオに入った、とも聞いたのですが。

そう。あれは本(*『神様はいつも両方を作る』のこと)にも書いてあるけど、達也の体調が悪いって情報が流れてきて「大丈夫?」って話になったんだわ。それで、とりあえず3人で会って飯を食おうってなった時に、達也が「もういっぺん3人で音を出したい」って言うから、もちろん良いよって。ま、いまは元気みたいだけど、その時は本気で心配だったんだよね。それで、みんなでリハに入ったけどね。

ー その時の演奏の出来栄えは?

すごいよかった。熱中してやってたね。3時間ぐらいずっと。面白かったね。達也も照ちゃんも俺もやっぱり20年だから、それぞれ成長してたりして。ぜんぶ録音してあるけどね。だけどね、録音した環境がイマイチだったんだよね。演奏自体はいいんだけど録音したバランスが良くなくて…、自分の携帯で撮った音源のほうが好きかな。

ー BJCのライブでは即興から演奏をスタートしたりしてましたが、リハもそういう感じなんですか?

あぁ、やってたね。そういう時もあるし、俺がそのとき作ってた曲を試しにやったりとか。

ー 10数年ぶりのセッションだったと思うのですが、ギクシャクしたりしないものでしょうか。

17年ぶりだったかな。だけど、照ちゃんと達也が一緒にバンドやってたりとか、それぞれでやってたりとかするじゃん。ギクシャクはしないけど久しぶり感はもちろんあって、楽しい感じだったね。新鮮だし、懐かしい。

ー コロナで一番ダメージを負ったのは音楽業界だと思うのですが、浅井さんも暮らし方が変わったのではないでしょうか。

ライブツアーが無くなったもんだから、通常なら定期的に旅ってものがあったんだけど、全く旅がなくなってる状態だから、ライブが無いのは寂しいというか…、イヤだよね。イヤだよねって言うか…、みんななんて言っとる?

ー 配信や新しい表現方法を作っていかなくてはいけない、と思っているミュージシャンは多いようですね。

配信をやっとる人もおるもんね。俺は配信はやりたくないなって思っとる。盛り下がると思うんだよね。冷めてきちゃう気がして。自分も相手も。

ー StayHome期間にインスタで自炊料理をアップしていたのが意外でした。

あれもイラストと一緒で、たまにやるから面白いんだよ。そんなもん、みんなに配信するとは思わんかったなぁ。ハートマークの数とかコメントとか見ると、反応はすごく良いと思うんだけど。

ー そうですね。みなさん、ある意味で浅井さんのステージ上での印象とギャップがあったのも新鮮だったんじゃないかと思います。

俺のなかではギャップは無いからね。自分は自分だし。昔から俺のことを知ってる人はわかってくれてると思うよ。あまり知らない人にとっては違ったイメージを持っとるかもしれないけど。

ー ちょうどStayHome期間中の6月に著作を上梓されましたが、ある意味でコロナ禍があったからこそ創作の時間が取れたのでは?

うん。創作ばっかしとる。ライブができないから、そういうものを作って表現していくしかないもんね。この期間を利用して創作に当てるしかないよね。前向きになるしかないと思うよ。後ろ向きになったら危ないからね。

INFORMATION

SEXY STONES RECORDS online store

SHALLOW WELL「SPINNING MARGARET」
SHALLOW WELL10年振りの新作。美しい旋律が光輝き、心に入り込んでくるファンタジー、映画のごとく壮大なインストゥルメンタルミュージック。 SEXY STONES ONLINE STORE のみでの販売になります。

1. Spinning Margaret
2. 悠然たる鷲
3. 小さな橋
4. CECIL
5. Rainbow Water
6. Midnite Drive
7. Runaway Camel
8. 汚い川のきらめき
9. Grease Up
10. OK
11. 飛行船
12. Spinning Margaret (Hitomi Vo. Ver.)
(全12曲)

SHALLOW WELL 『SPINNING MARGARET』
品番: SSR-054
価格:¥3,300(TAX IN)

sexystones.shop-pro.jp/

浅井健一ストーリー&ダイアリー「神様はいつも両方を作る」
浅井健一が書きためていた日記やショートストーリーをまとめた本『神様はいつも両方を作る』。ベンジーの頭の中にある、あらゆる場面、希望、思い出、ユーモアがタイムマシーンに乗ってあなたの心の中を旅をする。SEXY STONES RECORDSのオンラインストアのみでの販売となります。

タイトル:「神様はいつも両方を作る」
著者: 浅井健一
発行: SEXY STONES RECORDS
イラスト: 浅井健一
デザイン: 大箭亮二(Z&Z inc.)
頁数:188頁
判型:H188mm X W128mm
定価: 2,500円(税別)

sexystones.shop-pro.jp/

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