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FEATURE
L.A.在住の鬼才漫画家・井上三太が語る、譲れないボーダーライン。
Cult cartoonist in da house!!

L.A.在住の鬼才漫画家・井上三太が語る、譲れないボーダーライン。

『TOKYO TRIBE2』『隣人13号』などの代表作をもつ鬼才漫画家、井上三太。「KING OF STREET COMIC」の異名を持ち、その作品にはヒップホップやストリートのカルチャーが色濃く投影されている。併せて、その物語やキャラクターの奥底に垣間見える“狂気”にも心を奪われる。そんな三太さんが、漫画家デビュー30周年を記念した画集『井上三太画集 SARU』と、LA移住後の生活をつづったコラム漫画『三太のLAライフ』を、11月30日(月)に同時リリース。その画集から印象的な“名画”を紹介しながら、漫画家としてのこれまでの30年、そしてこの先30年を語る特別インタビューをお届けしよう。

PROFILE

井上三太

フランス・パリで生まれ、その後、東京を経て現在L.A.在住。1989年に『まぁだぁ』でヤングサンデー新人賞を受賞し漫画家デビュー。1993年に出版された描き下ろし単行本『TOKYO TRIBE』は、未だに出版社を変えて発売され続けるロングセラー。その続編となる『TOKYO TRIBE2』はファッション誌『Boon』で連載され、世界各国でも翻訳出版されるほどの大ヒットに。2006年にはアニメ化され「WOWOW」にて放送。2014年夏には園子温監督によって『TOKYO TRIBE2』の実写映画が公開され、俳優 鈴木亮平とラッパー YOUNG DAISのダブル主演で話題を呼んだ。また『隣人13号』は2005年に小栗旬、中村獅童のダブル主演で実写映画化され劇場公開、DVD化された。同作は2013年にハリウッドリメイクが発表され、現在製作準備中。最新単行本『もて介』全2巻およびTOKYO TRIBEシリーズ最新作『TOKYOTRIBE WARU』全4巻が発売中。

フイナムのために井上三太さんが書き下ろしてくれた『TOKYO TRIBE 2』のメラ。

ファッション、街の風景、そしてヒップホップやストリートのヴァイブスが綿密に描き込まれている。『TOKYO TRIBE2』より(『井上三太画集 SARU』)。

(左)映画『Menace II Society』のドライヴバイのシーンに影響されたカット。『TOKYOTRIBE3』より。
(右)アニメ『TOKYO TRIBE2』のMUROによるサントラ盤のカバーイラスト(『井上三太画集 SARU』)。

SANTASTIC! × Illmatic Buddha MC’s × Tower Records Tシャツ&パーカのイラスト(『井上三太画集 SARU』)。

言葉がなくても物語れる絵を30年研究してきた。

ー 画集『井上三太画集 SARU』には、これまでの作品の名シーンや名画がゴッソリ収録されていますが、どんなことを考えて絵を選びましたか。

三太: いきなり生々しい話になりますが、僕は2017年にL.A.に移住して、今アメリカでキャリアを築いていこうと思っているんですよね。それで今回の画集は僕のことを知らない人とか、なかなか会えないような人と会ったときに、「僕、こんな絵を描いているんです」とパパっと見せられるポートフォリオのようなものにしたかったんです。

『ダン・ダ・バーバリアン』より(『井上三太画集 SARU』)。

三太: それともう一つは、僕があくまでも「漫画家」であることを伝えたいなと。それで表紙をモノクロにして。要は、自分はイラストレーターとしてではなく、漫画家として漫画の絵とは何だろう? というのを30年間考え続けてきたので。

ー あらためて、漫画の絵とは何でしょう。

三太: 物語を物語るための絵ですよね。漫画の絵として上手ければ、擬音語やセリフが少なくても、絵のパワーで雄弁に物語を語れるかもしれない。たとえ言葉がほとんどなくても、表現できる。そういう絵を、漫画家として30年間研究してきましたよというのをまとめたのが、今回の画集ですね。

ー 画集の中でも「絵がうまいと言われるより、面白い漫画を描く人間だと言われたい。僕はイラストレーターではなく、漫画家なのです」という言葉が印象的でした。ちなみに三太さんのお父様は画家なんですよね。

三太: そうそう、父は画家で、きれいな花の絵のシルクスクリーン版画とかを描いていました。

韓国の若きラッパー、Keith Apeのアルバム『キース・エイプ』のカバーイラスト(『井上三太画集 SARU』)。

ー 画家をお父様に持つ環境で、どのように漫画に傾倒していったのでしょう。

三太: 僕は子供の頃からディズニーが好きで、やっぱり線画が好きなんですよね。うちの妹もアーティストなんですが、妹はものごとを面で捉えていると父が言っていました。面で捉えるというのは彫刻だったり、色を塗るとかですね。対して僕は子供の頃から線で物語を作るのが好きで、映画もディズニーも好きだった。それでコマを割って漫画にしていこうとなっていきました。でもこういう根源的な欲求って、不思議ですよね。

L.A.での一コマ。

ー 三太さんの漫画といえば、ヒップホップやストリートの要素が丹念に描き込まれている点も大きな魅力です。そうした作風のルーツはどこにありますか。

INFORMATION

井上三太画集 SARU

価格:¥5,500 in TAX
出版:玄光社
発売:11月30日(月)
www.amazon.co.jp/dp/4768314015

三太のLA LIFE

価格:¥1,870 in TAX
出版:ジーオーティー
発売:11月30日(月)
www.amazon.co.jp/dp/B08P4TKXWJ

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