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L.A.在住の鬼才漫画家・井上三太が語る、譲れないボーダーライン。
Cult cartoonist in da house!!

L.A.在住の鬼才漫画家・井上三太が語る、譲れないボーダーライン。

『TOKYO TRIBE2』『隣人13号』などの代表作をもつ鬼才漫画家、井上三太。「KING OF STREET COMIC」の異名を持ち、その作品にはヒップホップやストリートのカルチャーが色濃く投影されている。併せて、その物語やキャラクターの奥底に垣間見える“狂気”にも心を奪われる。そんな三太さんが、漫画家デビュー30周年を記念した画集『井上三太画集 SARU』と、LA移住後の生活をつづったコラム漫画『三太のLAライフ』を、11月30日(月)に同時リリース。その画集から印象的な“名画”を紹介しながら、漫画家としてのこれまでの30年、そしてこの先30年を語る特別インタビューをお届けしよう。

『TOKYO TRIBE2』を日米でアニメ映画にする。

国籍不明な独特の世界観にも魅了される。『TOKYO TRIBE2』より。

ー L.A.では具体的にどんなことを成し遂げたいと考えていますか?

三太: 『TOKYO TRIBE2』を、日米でアニメ映画にしたいと思っているんですよね。それをやりに来ている感じです。実はある音楽ビジネスの大物がそれをやろうと言ってくれたためにL.A.に来たんですが、その後びっくりするくらい話が進んでいなくて。一度大きいスタジオでミーティングをすると言われて、よし始まるぞと思ったら、向こうの都合で延期になってしまったんです。そこからもう3年が経っていて。

『三太のLAライフ』より。

三太: ただ僕が言いたいのは、どんな道を通ろうが、自分が成し遂げたいことは成し遂げるということなんです。要は、人のせいにはしないということだよね。この人がこういう企画を立ててくれたからアメリカに来たんだと人のせいにしてしまうと、その人が外れたとたんに話が終わってしまう。もちろん大物がバックアップしてくれるのならその方が絶対にいいけど、それがなくても自分が作っているものは絶対に魅力的なんだから、それを証明する旅というかね。自分を信じる力というか。

「俺、やれるんだよ」と言うのでも、20代の若者が言うのと、50代の僕が言うのでは、違うと思うんですよね。もう空威張りではなく、それなりに現実が見えてきているなかにあってなお、自分の可能性を信じ続けることなので。まあバカかもしれないし、ネジが外れているのかもしれないけど。

ー 実際に住んでみて、L.A.はいかがですか。

L.A.での一コマ。日本よりも空の青みが深い。

三太: まずは、やっぱり気候がいいですね。気持ちいいんです。それと僕は吸わないんですが、大麻が合法なので、大麻が好きな人には天国でしょうね。一方で映画監督になりたいとか役者になりたいとか、世界中から夢追い人が集まっていて、現実はきれいなことばかりではなかったりもします。物価は高いし、車で生活している人もいる。いやなプロデューサーとかもいる。そういう意味では、天国のようでもあり、地獄のような場所でもあるなと。

『三太のLAライフ』より。

三太: それとこっちに来て思ったのは、日本人はあれだけアメリカが好きなのに、日本人が知らないアメリカの常識みたいなものが、山ほどあるんですよね。たとえば外でお酒を飲んではいけないとか。なんとなく映画ではお酒を茶色い紙袋に入れて飲んでいるのを目にしていたけど、あれは捕まらないためにやっていたんです。お酒を持って花見ができるのなんて、日本くらいのものなんですよ。

それと生卵なんかも、日本だとごはんにそのままかけて食べるけど、アメリカの卵は殺菌していないので、生で食べると病気になってしまう可能性があるんです。だから映画『ロッキー』で卵を4個くらい割って飲むシーンがあるけど、アメリカ人は違う意味でびっくりしたらしいです。「生卵をそのまま飲んでるよ! 腹壊すだろ!!」って。これだけ身近でみんなが知っているつもりの国なのに、日本に入ってくる情報はごく一部なんだなーと。そういうことを漫画にしたら面白いなと思って始めたのが『三太のLAライフ』なんです。

INFORMATION

井上三太画集 SARU

価格:¥5,500 in TAX
出版:玄光社
発売:11月30日(月)
www.amazon.co.jp/dp/4768314015

三太のLA LIFE

価格:¥1,870 in TAX
出版:ジーオーティー
発売:11月30日(月)
www.amazon.co.jp/dp/B08P4TKXWJ

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