
ー そして、ミリタリーラインのほかに、“大人のスケーター”をテーマにしたアイテムも用意されたということで。これはどういった流れでつくることになったんですか?
金子: 僕の悪い癖で展示会を見ていると、勝手にテーマを妄想してしまうんですよね。このアイテムを増やせば、こういうテーマでまとまるんじゃないかとか。
それで21年春夏の展示会のときに、“大人のスケーター”っていうアイデアがふと浮かんで。それでこのテーマを投げかけてみたんです。
村上: そうでしたね。しかも(21年春夏の)展示会に2回も来てくれましたよね。
金子: そうそう、2回行くなんて滅多にないことなんですけど、なんか気になっちゃったんですよ。
村上: 僕も金子さんもスケボーをやってないんですけど、お互いカルチャーとして好きなんです。だから、そういうおもしろい着地点を提示されたら、反射的に飛びついてしまって。そういうところを見つけ出すのが、金子さんは上手いなと。
ー 〈ブラームス〉とストリートカルチャーの掛け算も意外性があるように感じました。
村上: 先ほどの〈ディッキーズ〉もそうなんですが、アイテム単体でスケーターを表現したりすることはあっても、僕らがテーマとして打ち出すことはないので、金子さんの方からテーマを決めてもらえたのがやりやすかったですね。
金子: 村上さんの服ってあらゆる要素が混在していると思うんですが、最終的には綺麗にまとまってるんです。そこからカルチャー色は感じなくて、いい意味で洗練されてます。だけど、僕が〈ディッキーズ〉みたいなパンツに惹かれたのは、唯一カルチャーを感じたからなんです。もちろん、それ以外の服も素晴らしかったんですけど、カルチャーと村上ファッションみたいなものを繋げたら、「レショップ」のお客さんにより伝わるんじゃないかと思ったからなんです。
今回のテーマもロジックとしてはこれまでと同じ。スケーターファッションって適当に着てる感じがかっこ良かったりするじゃないですか。でも、それってなかなか真似できない。だけど、村上さんのバランス感覚があれば、誰が着てもかっこよくなるスケーターファッションができるんじゃないかと思ったのも今回のキッカケの一つです。
ー 今回、“大人のスケーター”として展開されているのが、ショーツと半袖シャツ、それとシアサッカーのジャケットやリネンのカーゴパンツなど、アイテム数もかなり豊富ですよね。最初からこのぐらいの数を展開する予定だったんでしょうか?
金子: これに関しては話しているうちに、あれもこれもって感じで増えていきました。“大人のスケーター”というテーマなので、スケートに乗るだけじゃなくて、ディナーでレストランに行くときにはサッと羽織れるジャケットがあった方がいいとか。
たとえばワイドショーツに、オーバーサイズのTシャツでもいいんですけど、サーマルだったり、シャツを合わせてもらった方がいいだろうなとか。今回は点ではなく、面で見せた方が伝わりやすいだろうと思いました。
ー ここまで揃うと、より奥行きを感じられますね。これらのアイテムは何度かの話し合い経て、ピースを埋めていったんですか?
村上: いや、展示会のときに立ち話をしているなかで、ほとんどの構想は出来上がっていました。
金子: 村上さんとは最初に話し合っている時点で答えが見えるんですよね。そこからいくつかの工程を踏むんですが、毎回イメージ通りのものを村上さんが上げてきてくれます。修正もあまりないですよね?
村上: ほとんどないですね。

金子: これもすごいことなんです。信頼感というか、短い時間のなかで同じ答えが見えてるっていうのはすごく貴重なことなんですよね。だからいろんなことをやってみたくなるんだと思います。
ー 村上さんとしても、金子さんと手を組むからこそ出来ることがあるんでしょうか?
村上: たくさんあります。僕がやろうとしていることを金子さんが導いてくれるので、安心して進められるんですよね。「やっていいんだよ」みたいな見守る感じ。
金子: そんな感じですか?(笑)
村上: そんな感じですよ(笑)。
ー お互いの価値観を理解し合えたり、阿吽の呼吸的に理解できるのは、どういった部分が大きいんでしょうか?
金子: 僕と村上さんの年齢が近いからですかね? 趣味趣向は違っていても見てきたものが似ているからなのかなと。「それそれ」みたいなところが多いので、説明もいらないんですよね。僕が47で、村上さんって何歳でしたっけ?
村上: 僕、40です(笑)。
金子: あれ、めちゃくちゃ離れてる(笑)。勝手に45ぐらいだと思ってました。多分ストリートやクラシックといったいろんなジャンルがあるなかで、同じようなカルチャーを見てきたような気はしますね。
村上: そこは共通しているかもしれませんね。僕は広く浅くなので、知識では金子さんに叶いませんが、通ってきたところは同じ気がします。