CLOSE
FEATURE
ユタナンにまつわる3つのキーワード。 Vol.2 カメラ
3 Keywords To Know Nicolas Yuthanan

ユタナンにまつわる3つのキーワード。
Vol.2 カメラ

注目のファッションアイコン、ニコラ・ユタナン(Nicolas Yuthanan)の人物像に迫る短期連載。前回のスニーカーに続く、2つ目のキーワードはカメラです。スニーカーの回で、“デジタルネイティブ世代らしさ”を感じさせてくれる話が色々と聞けましたが、今回も、ユタナンの仕事の大事なツールであるカメラ/写真というトピックから、彼の“ニュースクールさ”が感じられるのではないでしょうか?

  • Text_Saori Ohara
  • Edit_Yosuke Ishii

PROFILE

Nicolas Yuthanan Chalmeau(ニコラ・ユタナン・シャルモ)

フランス生まれ、日本在住。自身のブランド〈シアージ(Sillage)〉をディレクションし、そのオンラインショップやセレクトショップ#whatwewear storeを主宰する傍ら、フォトグラファーとしても活躍するマルチプレーヤー。インスタグラムアカウント@yuthanan__で更新されるコンテンツに多くのファンを持つ。愛称は“ニコ”もしくは“ユタナン”。

自分が納得できるヴィジュアルイメージを効率よくつくりたい。早く確認して早く見せたい。必要なら加工できる。そういう生産性がぼくにとってはすごく大事。

ー 2つ目のキーワードがカメラということですが、写真を撮りはじめたきっかけは?昔から好きだったのですか?

ユタナン:いや、カメラを本格的にはじめたのは日本に住みはじめた頃からで、どちらかというと必要に駆られてというか。それまでカメラの知識はなかったんだけど、〈シアージ〉で自分が表現したいものがあって、それはやっぱり他の人に任せてもうまくいかないこともあったから、納得いくようにするには自分で撮らないと、って思ってはじめたんだ。だから全部独学だよ。わからないことは友達に聞いたりして勉強した。

ー え!現実的!しかもその行動力や実行力がすごいですね。どんな機材を使っているんですか?こだわりはありますか?

ユタナン:ぼくがいま使ってるのは、〈キヤノン(Canon)〉の「EOS 6D Mark II」。いろんなブランドを試してもみたけど、〈キヤノン〉の基準で撮ると写真に少し温かみが出てすごくいい。自分が求めているトーンの写真が撮れるのは〈キヤノン〉だけだね。「EOS 6D Mark II」はぼくが買った当時の最新機種で、バリアングルの液晶モニターがめちゃくちゃ調子いいんだ。普段使うプラットフォームはインスタグラムだから、このモニターも自分の中で携帯の画面だと思って見られるよ。

ー フィルムカメラは使わないみたいですね。

ユタナン:うん、ぼくには必要ないと思ってる。時間を無駄にしたくないからね。自分が納得できるヴィジュアルイメージを効率よくつくりたい。早く確認して早く見せたい。必要なら加工できる。そういう生産性がぼくにとってはすごく大事。もちろんフィルムにこだわっている人もいるけど、フィルムはアーティストのためのものだと思う。そしてぼくの写真はアートじゃなくて売るための写真、商業写真だから。

ー めちゃくちゃ潔い。そうやって自分の中で芸術と写真を割り切れるマインドも、ニコの強いところですね。ちなみにレンズや周辺機器は普段どんなものを使っているんですか?

ユタナン:基本的に、2つのレンズでぼくは事足りてるよ。レンズももちろん〈キヤノン〉。プロ向けLレンズシリーズの、標準と望遠の2種類のズームレンズを使い分けてる。標準ズームはスタジオでも使えるし、望遠で屋外撮影やランウェイの撮影をすると背景がキレイにボケて、被写体がいい感じに際立つんだ。それと、ストロボは〈プロフォト(Profoto)〉の「B-10」を使ってる。独学でカメラをやってるぼくにとって、これほど使いやすいストロボはないね。あとは、ずっと使ってる〈リモワ(RIMOWA)〉のカメラケースかな。「TROPICANA」っていうフォトグラファーのためのコレクションで、ぼくはキャスター付きの大きいサイズを愛用してるんだ。頑丈だし、クッション付きのパーテーションもあってホントに使いやすいよ。

ー では機材のほかに、撮影する上でのこだわりやポリシーってありますか?

ユタナン:そうだね、ちなみに最高の写真の撮り方って知ってる?

ー ……ワカラナイ。

ユタナン:自分が撮りたいものを、撮りたいように撮るってことなんだ。教科書に載っている構図とかルールとかセッティングに縛られないこと。それと、ぼくは少し暗めで温かいトーンが好きだから、やっぱり〈キヤノン〉のカメラとレンズが一番しっくりくる。

ー なるほど。フォトグラファーとしては自分のブランドの写真から撮りはじめたとのことですが、〈シアージ〉以外ではどんな仕事をしてきましたか?

ユタナン:これまでは友達の繋がりでファッションブランドの写真を撮ることが多かったね。インディペンデントなブランドから、〈アディダス(adidas)〉や〈ニューバランス(New Balance)〉、〈リーボック(Reebok)〉の撮影もしたよ。それと1年半、『Highsnobiety』の現地フォトグラファーとして、毎月日本からストリートスナップを撮って本国に送っていたよ。スウェーデンの『eye_C Magazine』の仕事もしたな。

ー ストリートスナップのフォトグラファーって大変そうですね。

ユタナン:うん。楽しかったけど、タフな仕事だよね。もっとやりたい!とは思わない(笑)。でも勉強になることがたくさんあったから、やってよかったなと思ってる。

ー フォトグラファーとしての今後の展望ってありますか?

ユタナン:撮っているそばから色々指図されるのは好きじゃないから、ぼくのスタイルがいいって言ってくれる人たちと仕事をしてきたし、これからもそうしていきたい。フォトグラファーとして求職してるわけじゃないから、必要以上に手広くやるつもりはないかな。でもいままでの撮影経験は今後に活かせると思うし、どんな場面でも順応できるようになった気がする。

ー ニコが撮影中パニックになったり焦ったりすることってなさそう。終始落ち着いていますよね。貫禄さえある(笑)

ユタナン:うん、パニックになることはないね。もし撮影時の写真がイマイチだったとしても、ポストプロダクションでどうにかできる。写真編集のスキルには自信があるんだ。だからちゃんといい写真に仕上げられるよ。ぼくの父親は仕事柄グラフィックデザインに明るくて、その父のおかげでイラストレーターやフォトショップは10歳くらいからずっと使ってるんだ。写真を始めるずっと前からね。だから撮影でパニックになったりすることはないよ。

ー なるほど。編集スキルは強い味方ですね。ちなみに仕事のオファーってやっぱりインスタグラムから来るんですか?

ユタナン:そう!友達の紹介以外の新しい仕事は、全部インスタグラムからだね。韓国のブランドから連絡があって、韓国まで行って撮影したこともあったよ。

INFORMATION

Nicolas Yuthanan Chalmeau

Instagram: @yuthanan_

このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事#ニコラ・ユタナン

もっと見る