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三原康裕と林響太朗。二人の目に映る、ファッションと映像のフォアサイト。
「GU × MIHARAYASUHIRO」presents

三原康裕と林響太朗。二人の目に映る、ファッションと映像のフォアサイト。

〈ジーユー(GU)〉が〈ミハラヤスヒロ(MIHARAYASUHIRO)〉のデザイナーである三原康裕さんとタッグを組み、“グッドインスピレーション”をテーマにし、サスティナビリティを視野に入れたコレクションを発表します。そのスペシャルムービーを手がけたのは、菅田将暉や星野源のMVを手がける気鋭の映像作家・林響太朗さん。両者を招き、今回のプロジェクトや映像について、そしてファッションにおける映像の役割など、多岐にわたり話を伺いました。事前にあまり説明しない、撮影現場ではほぼ会話なし、で進められたという今回の共同作業の話から、協業における“余白”の面白さが浮かび上がります。

  • Photo_Hiroshi Nakamura
  • Text_Shinri Kobayashi
  • Edit_Shun Koda

PROFILE

三原康裕

1972年、福岡県出身 。 93年に多摩美術大学デザイン学科テキスタイル学部に入学 。 94 年の学生時代から独学で靴を作り始め、96年には靴メーカーのバックアップにより〈アーキドゥーム(archi doom)〉を立ち上げる。大学卒業後、名前を〈ミハラヤスヒロ(MIHARAYASUHIRO)〉に変え、 2007年にパリにてコレクションデビューし、世界的ファッションブランドとして広く世に知れ渡る。2020年には、環境的責任を掲げたブランド〈ジェネラル スケール(General Scale)」をローンチ。

PROFILE

林 響太朗

1989年東京都生まれ。多摩美術大学情報デザイン学科を卒業後、DRAWING AND MANUALに参加。MVからCM、ファッションでの映像など、ジャンルを横断して映像を生み出す。MVでは、Mr.Children、星野源、菅田将暉、米津玄師など、名だたるアーティストの作品を手がける。現在、多摩美術大学の非常勤講師も勤める。

説明はほどほどに。

ー 三原さんと林さんは今回が初めてのお仕事ですよね。三原さんからは、林さんに対して商品をどう説明されたんですか?

三原:実は洋服については細かく話してなくて、コンセプトの話だけ。ここで改めて説明すると、コロナでいまちょっと世の中が暗くて、学生も授業に出られなくてモヤモヤしているので、創造力でそれを払拭するような、学生や美大生に焦点を当てたコレクションです、と。この暗い世相との共通項で言えば、自分がちょうどバブルがはじけて数年後というタイミングで大学を卒業したことを思い出しました。

それに自分のブランド〈ミハラヤスヒロ〉と違って、〈ジーユー〉は若いお客さんもターゲットにしているということもあり、林さんにオファーする前に(母校である)多摩美で撮影をすることは決まっていて、そこから相談しました。そしたら、「ロケハン前なんでまだつかめていません」ってはっきり言われて、林さんは怖い人だと思いましたね(笑)。

ー オファー時点で、林さんがイメージがつかめないというのは、ロケーションなどの問題ですか?

林:いや、僕は多摩美の卒業生ですし、いまでも講師として通っているので、庭みたいなものなのでそこはつかめてました。でも今回の映像で何を見せたいのかということもそうですし、服のディテールとか色々と撮らなきゃいけない要素があって、当初予定していた1分の尺に入れるのは難しいなと。

ー 打ち合わせはオンラインで進め、現場で実際に初めて顔を合わせたとお伺いしています。現場での林さんの仕事ぶりは、三原さんの目にはどう映りましたか?

三原:本棚に置く本の表紙を変えたり、映像の細部にまで細かな配慮が行き渡っている繊細な仕事だなぁと感心しました。

ー 三原さんは、〈ミハラヤスヒロ〉で映像を配信されていますよね。その知識は生かされましたか?

三原:うちは下品だから(笑)。映像は何を見せるか、見せたいかという目的によって変わるんですよね。今回は、アティテュードやフィロソフィーを見せたかった。結局、商品やディテールはルックブックで見せられるから、映像で説明しきってしまうのもどうかと思うんです。洋服を見せる映像ってすごく大変で、ただきれいやかっこいい映像というものは、作ってるうちに僕ら自身が飽きちゃう。今回のように、フィロソフィーを見せるのか、スポーツブランドのように機能を見せるのか、そのブランドの様々な考え方が露呈していくから、映像は気が抜けないですよね 。

ー なるほど。

三原:映像は、数秒数コマなのに印象的に残ることって、よくあるじゃないですか。かっこいい映像を撮ることはおそらく簡単だろうけど、それ以上のことを伝えることが大切なんじゃないかなと。それは洋服の向こう側や、デザイナーの考え方、社会的な問題など、そういう部分を伝えたいかどうか 。言ってしまえば、今回の〈ジーユー〉の映像は、一行の言葉で表せる。つまりは、“学生がキャンパスライフを送っている”ということ。でも、単に美しい映像以上のものを伝えられたらいいなと。

ー そういった服の向こう側のことを伝えたいとか、林さんにはそういったお話が打ち合わせであったんですか?

林:いや、なかったですね(笑)。

三原:それは考えがあって、僕は林さんに渡すときに粘土のような原型の状態でお渡しして、あとは林さんに作ってもらうのがいいかなと。

ー その粘土の状態から、林さんはどうやって形を作っていったんですか?

林:実際に、商品はあるし、言葉もあったので、伝えたいことは割とすぐに理解できました。あとは映像を長く感じさせないようにどうするか、何を情報として入れたいかなどを考えました。映像は、入れたい情報が増えれば増えるほど、当然尺が増えてきて、ブランドがどんなことを考えてるか、その中に出るんですが、その中身で先ほどの本質的な考え方を含めた、三原さんの考えていることを感じました。

ー 林さんは数多くのMVを手がけていますが、そのあたりとの違いはありますか?

林:やるべきことは変わりません。僕ら監督は、結局のところ、対象をよく見せるにはどうすればいいか、どうしたら人にちゃんと伝わるかを考えているので。音楽の場合は音楽のどこに、ファッションの場合はファッションのどこにフォーカスするかをいつも考えます。

INFORMATION

「GU x MIHARAYASUHIRO」コラボコレクション

発売:3月5日(金)
「GU × MIHARAYASUHIRO」スペシャルサイト

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