PROFILE

1977年生まれ。2001年に「Multiple Maniax & Technix」をコンセプトに〈ネクサスセブン〉をスタート。ヴィンテージへの造詣が深く、生地や縫製など生産背景にこだわり、細かなディテールに至るまで完成度を高めたものづくりをおこなっている。2013年に〈ビヨンデックス〉のプロジェクトをスタート。これまでに〈Lee〉や〈Sacai〉、〈N.HOOLYWOOD〉といったブランドとコラボレーションをおこなっている。
PROFILE

1977年生まれ。原宿の老舗古着屋「ベルベルジン」のディレクター。ヴィンテージへの造詣の深さは業界随一で、その知識を武器に関連書籍の監修やデニムブランドのアドバイザーも務める。〈ビヨンデックス〉にも貴重なヴィンテージアイテムや資料を提供し、ブランドの前進に大きく貢献した立役者。
大事なのは“良い”という気持ちをお客さまに伝えること。

ー はじめに、〈ビヨンデックス〉とはどんなブランドなのか教えてください。
今野:そもそもこのブランドをはじめたのが、日本の岡山がデニムの生産で市民権を得てきて、その火を絶やしたくないと思ったのがきっかけであり、いまでも根本にあることです。「オリジナルフェイク」(*編注:グラフィティアーティストのKAWSとメディコムトイがコラボレーションしたブランド)でアパレルのディレクターをしていたときに〈リーバイス®〉とコラボレートをしたんですけど、そのときにいろんな生地屋さんや機屋さんをご紹介いただいたんです。
ー 「オリジナルフェイク」のお店がオープンしたのが2006年のことでした。その頃ですか?
今野:そうですね。その後仕事をしていくなかで、そのときにご紹介いただいた工場がどんどんなくなっていったりだとか、当時混み合っていたはずの染色工場からも次第に営業の電話が来るようになってきたんです。
ー それでなにかやりたいと思ったわけですね。
今野:はい。〈ネクサスセブン〉とは別にデニムを深く掘り下げて、オリジナルで生地をつくってブランド化したいという漠然としたアイデアが湧いたんです。それで2013年にプロジェクトをスタートさせました。

ー 8年も前にスタートしているんですね。
今野:そうですね。自分としてはやっぱり古着が大好きで、その入り口にあったのがヴィンテージのデニムでした。だからそこに紐づけてやりたかったんですよ。でも生地の開発にすごく時間がかかってしまいました。
一緒に洗剤もつくっていたんですが、先にそちらが完成して2016年にリリースしました。ヴィンテージデニムって洗って色が落ちると、価値も一緒に下がってしまうんですけど、色は落とさずに汚れだけ落とせるような都合のいい洗剤をつくれないかということで、生地と並行して開発に取り組んでいたんです。


ー 洗剤もリリースまでに3年かかっていますね。
今野:そうなんです。某洗剤メーカーさんや、某研究機関にお願いをして、時間をかけて開発していただいて。それで製品化する前にヴィンテージのデニムで試してみようというときに、ここにいる(藤原)裕くんが古い生地やテストできるようなアイテムを提供してくれて、結果がすごくよかったんです。
藤原:ヴィンテージデニムの洗濯って本当にナイーブで、過去にぼくもいろんな洗剤を試してみたことがあったんです。もしこの洗剤があと10年早く開発されていたら、ぼくの持ってたヴィンテージはもっといい色が間違いなく残ってましたね(笑)。それぐらい結果がよくて、それで「ベルベルジン」でもお取り扱いさせてもらうことにしたんですけど、お客さまにもすごく好評なんです。洗剤だけ買っていかれるお客さまもいたりして、ヴィンテージ好きのあいだでジワジワと認知されていきましたね。