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足がけ6年で辿り着いた納得のクオリティ。服好きたちを魅了するBEYONDEXXのデニム生地。
What is BEYONDEXX?

足がけ6年で辿り着いた納得のクオリティ。
服好きたちを魅了するBEYONDEXXのデニム生地。

〈ビヨンデックス(BEYONDEXX)〉というファブリックブランドをご存知でしょうか? 扱っているのはデニムという普遍的な生地。ですが、もちろん単なるデニムではありません。「古着サミット」でもおなじみ、〈ネクサスセブン(NEXUSVII.)〉の今野智弘さんが中心となり、ヴィンテージに造詣の深い識者や専門家たちが何年にも渡る研究を重ねて開発した、特別なデニム生地であるというのが特徴。目指したのは、ヴィンテージ市場でも高騰している「大戦モデル」のデニム生地でした。今回はその首謀者である今野さんと、ブランドに貴重な資料などを提供した「ベルベルジン(BerBerJin)」のディレクター・藤原裕さんを迎え、〈ビヨンデックス〉のスタートから現在、そしてこれからについて語ってもらいました。

  • Photo_Takeshi Kimura
  • Text_Yuichiro Tsuji
  • Edit_Yosuke Ishii

いわゆるレプリカブランドとして発信はしたくない。

ー 藤原さんはこれまでにたくさんの大戦モデルに触れていると思うんですが、〈ビヨンデックス〉の生地をご覧になられていかがですか?

藤原:本当に素晴らしいですよ。先ほども話したように、“黒い”生地だと思います。厚みはもちろん、この色の濃さはやっぱり大戦モデルのそれに限りなく近いんじゃないかと。面構えがまずいいし、触ってみてより納得がいくというか。これを着込んでいったらどうなるんだろう? というワクワクが生まれますよね。

今野:ここにあるGジャンは、〈リー〉とのダブルネームでつくった大戦モデルのレプリカなんですが、すごくいい色落ちしてますよね。今回のプロジェクトでいろんなアドバイスをいただいた、YM FACTORYの三浦さんという方の私物なんですが、1年前のリリースから結構ガンガン着ていただいているみたいで。

藤原:三浦さんはデニムのリペアをやられている方で、おそらく作業するときもこれを着ていたっぽいですよね。手首のアタリの出方が素晴らしいです。

今野:YM FACTORYも裕くんに紹介してもらって、コロナでこんな状況になる前にみんなでお伺いして。いろんな資料を見せてもらいながら、ああでもないこうでもないって意見を出し合ったんです。

藤原:相当研究熱心な方ですよね。大戦モデルしかり、1800年代、1900年代初頭の生地も持っていらっしゃって。それでやっぱり三浦さんも大戦モデルがお好きみたいなんですよ。

ー この〈リー〉とのダブルネームのGジャンの反響はいかがでした?

今野:先ほどの話にもあったように、もともと裕くんが洗剤のプロモーションをしていてくれたから、〈ビヨンデックス〉というブランドの認知がある中でのリリースだったので、デニム好きな方にはフォローしてもらえた手応えがありますね。

ー やっぱりヴィンテージ好きな方が多かったですか?

今野:3分の1くらいは裕くんのお客さんでしたね(笑)

ー ヴィンテージ好きの方々の中にはレプリカに対してアンチを唱える方もいらっしゃいますが、そうした方々にも刺さりそうなアイテムですよね。

今野:とにかくできるまでやろうと思っていたんです。そのぶん経済的にもだいぶ苦労して、試作のデニムで計300反くらいは先程の話の様に捨てたり、譲ったりしたんです。でも、自分としてはいわゆるレプリカブランドとして発信はしたくなくて。

ー 〈ビヨンデックス〉は〈サカイ〉や〈N.ハリウッド〉といったブランドとコラボレートされています。それはやはり、レプリカブランドとの差別化を図るためですか?

今野:そうですね。こうしたアプローチは普通のレプリカメーカーさんだとあまり考えないようなやり方だと思うんです。〈サカイ〉のクリエイティブディレクターの源馬くんはヴィンテージ好きですし、〈N.ハリウッド〉の尾花くんはずっと古着を生業にしていたので、ふたりにできあがった生地をみてもらいたいという気持ちが湧いたんですよ。そうしたら両ブランドともにコラボしようということになって。今回のコラボレートが実現しました。

語弊を恐れずに言わせていただくと、レプリカアイテムがいわゆるヴィンテージの偽物になりうる危惧も感じていて。実際にヴィンテージの市場でも、偽物というか、パッチを変えたりしたものとか存在しているんです。

藤原:そういうアイテムありますよね…。

今野:それなら〈N.ハリウッド〉や〈サカイ〉のように形を好きなようにいじってもらって、生地や材料に信頼を置いてもらうやり方がいいかなと思うところもあって。結局はお客さん任せなところもあるんですけど、ヴィンテージの市場を壊さない前提のもとにものづくりをしてもらいたいと思っていますね。

ー ファブリックメーカーという形にすることで、いろんな展開の方法が考えられますよね。

今野:そうなんです。今度、小物もつくる予定なんですけど、それも楽しみですね。あとはパンツもつくりたくて、すごい職人さんがいらっしゃるんですよ。ここでは名前を伏せますが、先ほど話にあったYM FACTORY三浦さんとも一緒にお仕事されている方で、またまた裕くんに紹介していただいたんですけど。

藤原:ミシンのスペシャリストなんですよ。

今野:三浦さんがデニムの細かな形などを検証して、それに合わせた縫い方をその方にお願いしているみたいなんです。縫うだけじゃなくてミシンのセッティングやカスタムなどもご自身でされる『ミシンの神様』の様なすごい方です。

ー いつかその方と一緒にものづくりをされたいと。大戦モデル以外の生地をつくろうとは思わないですか?

今野:大戦モデルの完成にたどり着くまでにいろんなノウハウを得られたので(笑)、それを駆使しながらまた別の角度でもアプローチできたらと思っています。いまはデニムアイテムの加工にも注力したり。そうなったらブランドとしての見えかたも幅が出ておもしろくなりそうですよね。裕くんも今度一緒にやりたいって言ってくれていて、そういうのはすごくうれしいです。

藤原:今度ぜひお願いします! あと、古着サミットのメンバーでもなにかやれたらおもしろそうじゃないですか?

今野:あぁ! いいかもね!

ー それは名アイデアですね! つくるとしたらどんなものがいいでしょうか?

今野:うーん、なんでしょう…。

藤原:〈ビヨンデックス〉のデニム生地ならいろんな可能性が考えられますよね。みんなが納得できる良いものがつくれる気がします!

今野:そうだね、近々作戦会議しましょうか。どんなアイテムができるか、乞うご期待ということで(笑)

INFORMATION

BEYONDEXX

beyondexx.com
Instagram:@beyondexx_denim

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