個人的には都会で履くための靴という感覚がある。
ー 〈ニューバランス〉はおしゃれなアイテムとしても認識されていますが、ファッション面での魅力はどう捉えていますか?
金子: いい意味で無味無臭だと思うんです。だからどんな格好にも合わせやすい。今日はジャケットを着ていますが、それに合わせられるジョギングシューズって〈ニューバランス〉以外は考えられないですよね。歴史的にもブレザーとチノパンに合わせる王道的な着こなしが受け継がれてきましたけど、そうやってスタイルとして残るのは、ひとえに合わせやすいからだと思うんです。
ー いま仰られたように〈ニューバランス〉のグレーには「白紙」という意味も込められているんです。だけど、一方ではブランドのアイデンティティでもあり、さまざまな概念がこの色には含まれています。
金子: 単純にアスファルトになじむ色だと思うんです、〈ニューバランス〉のグレーって。全然自然の匂いがしないというか、個人的には都会で履くための靴という感覚があります。出張でニューヨークへ行ったときも、セントラルパークを走ることがあるんです。そのときはなぜか〈ニューバランス〉のシューズで走りたくなるんです。競技ではないし、そうすることによって自分の気分があがるので。