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大きな主義に負けないために小さな想像力を。メルヴィータとコムアイが考えるSDGsのこと。
CARE GLOBE THROUGH COSMETICS

大きな主義に負けないために小さな想像力を。メルヴィータとコムアイが考えるSDGsのこと。

遠くの国の人々や、未来に住む人々を想像しなければ、SDGsはあくまで人ごとのままなのかもしれません。フランスのコスメブランド〈メルヴィータ(Melvita)〉は、製品をはじまりから終わりまで、サステナビリティに注力してきました。でも、まだまだその声や影響力は小さいものです。そこで、環境問題に高い関心を持ち、自らの声で発信するアーティスト・コムアイとともに、地球の未来、スキンケア製品の未来について考えます。

  • Photo_Tohru Yuasa
  • Hair_Hide Suzuki
  • Text_Shinri Kobayashi
  • Edit_Ryo Muramatsu

無農薬、労働者、女性の権利問題、ハチミツ…メルヴィータの取り組み。

ー コムアイさんのSDGsに対するお考えや取り組みについて話を伺ってきました。SDGs的視点で、スキンケアを選ぶことはありますか?

コムアイ: そうですね。最近試しておもしろかったのが固形のシャンプーバー。液体で売るよりも固形の方が環境負荷が低いんです。旅行に行く時は、切って小分けにして持っていきます。私が〈メルヴィータ〉の取り組みで特に注目しているのは、プラスチックの容器を回収していることですね。自社で回収できると、再利用も一番しやすいだろうし、いいこと尽くめだなと。

ー 〈メルヴィータ〉は、ガラスでもプラスチックでも化粧品の容器であれば、どこのブランドのものでも店頭で回収を受け付けています。

コムアイ: それは素晴らしい! プラスチックはリサイクルといっても、私たちが考えるような100パーセントリサイクルは程遠い状況ですよね。リサイクルというと、プラスチックに戻るイメージがあると思うんですが、そうではなくて、ペレットという燃料になって、ゴミ処理の燃料として焼却されたりとか。日本はサーマルリサイクルと呼んでいますが、これをリサイクルに含んでいるのは変だと思います。本来は、プラスチックに戻ることをリサイクルというべきなのではないのかなと。〈メルヴィータ〉はどうやって回収しているんですか?

ー 全国に店舗が30ほどあるんですが、店頭のスタッフに渡してもらうという形をとっています。毎月20日から30日の間、受け付けています。期間を決めた方が、考えるきっかけになるからという考えですね。

コムアイ: 確かに呼びかけるきっかけになりそうですね。

ー すべてのプロセスがサステナブルになっているのが理想なんですが、いまはやれるところを精一杯やるという状況です。一番売れている商品をサステナブルにするとインパクトが大きいと考え、まずは一番売れているアルガンオイルをサステナブルな方向にシフトしています。

コムアイ: 実際にはどんな取り組みになるんですか?

ー 原料となるアルガンの木は、砂漠に生えているんですが、この植物を保護することで、植生しているその地域やそこの労働者を保護しています。あとは農薬を使うと生産量は上がるんですが、労働者の健康や自然環境の破壊に繋がるので、使わないようにしています。

コムアイ: なるほど。環境だけでなく、ひとにもしっかりと配慮されているんですね。

ー あとは、労働者との長期パートナーシップを結んだり、賃金を前払いすることで、そこの経済基盤を支えています。モロッコでは、アルガンの実を収穫する仕事は女性の仕事なので、女性支援にも繋がります。

コムアイ: いいですね。資料を見たんですが、アルガンでミツバチを養蜂していることもすごくいいですよね。

ー 〈メルヴィータ〉では、生物の多様性を守ることがとても重要だと考えています。植物の80パーセントは、ミツバチによる受粉によって守られていると言われていますが、最近のニュースでは、農薬によりミツバチがいなくなってしまったという話も聞きます。農薬を使わないことで、ミツバチを守ることができるんです。

コムアイ: 〈メルヴィータ〉のハチミツも食べてみたいです(笑)。

ー 他にも、排水溝から流れても、環境を汚さないバスオイルもあります。環境負荷が高い石油系界面活性剤やシリコーンなどの成分を使用してない製品です。シリコーンは、分解されるのに400年以上かかるといわれています。

コムアイ: それは長い。ずっと疑問だったんですが、下水処理では間に合わないんですかね?

ー 下水からはどうしても流出してしまうし、蓄積してしまうという調査結果があります。〈メルヴィータ〉の「リラクセサンス バスオイル」は、理論上28日以内で99パーセント生分解性です。つまり、4週間で自然に還り、環境負荷がほぼゼロになるということです。

コムアイ: すごいですね。自分の身の回りを考えると、化粧品は容器の体積が大きいんですよね。一方、食品はプラスチック容器自体は薄いので、比べると化粧品の方が問題だと思うんです。食品は、自分の体に取り込むものだからか、オーガニックなものをひとにもすすめやすいんですけどね。でも、環境を守れたら、その分自分に返ってくるから、結局は同じことだとは思うんです。

ー バスオイルの話になりましたが、コムアイさんにとって入浴の時間は重要ですか?

コムアイ: 大事です。つい自分をないがしろにしてしまったり、自分に厳しくしてしまうと、もう頑張れないと思うこともあります。だから、体を温めたり、ちゃんと自分をいたわらなきゃって。女性は特にそうかもしれないですね。美味しいものを食べるとか、自分で自分に対していいことをしてあげることは重要。特に忙しいひとは、そこを怠っちゃいけないなと。私は、最近登山にハマっているんですが、登って疲労が溜まった足にアルガンオイルを塗って、グリグリとケアしたりします。

ー アルガンオイルが特にお好きなんですね。

コムアイ: 香りが強いものは飽きてしまうのですが、これは匂いがほとんどなくてサラッと馴染むのがいいですね。

ー いまの話をお伺いして、自分にとっていいことが、環境にとってもいいというのは理想なのかなと。

コムアイ: 消費者としても、環境にいいものを使うことは精神的にいいと思うんです。例えば、誰かの犠牲で成り立っている商品を使えば、後ろめたさを感じるわけですよね。いままでそういう気持ち悪さは、しょうがないと受け入れることが多かったと思うんですが、想像力を働かせれば、もっと気持ちいいバランスの取り方があるはずだと考えられるはず。もし目の前にはなくても、あるはずだと思うことが大事なんじゃないかな。

ー そういう意味では、小さな声でも発言していくことは大事ですね。SDGsのムーブメントと同じく、〈メルヴィータ〉も、まだまだ小さな存在です。どうしたら大きく届けられると思いますか?

コムアイ: うーん、そうですね…。例えば、グレタ(・トゥンベリ)さんとか、たったひとりの声が大きなうねりになることは珍しくない世のなかになってきました。それは単純に自分を貫いた結果なんじゃないのかなと。以前対談させてもらった斎藤幸平さんも引っ張りだこですが、同じことを考え続けて、ずっと掘り続けてきたようなひとだと感じました。こればっかりは、時代の波次第なところもありますから、と言いたいところですが、続けていくためには注目もされてほしい気持ちも分かります。私が言えることではないですが、中途半端だと気づいてもらえないし、尊敬されないじゃないですか。だから、是非とも〈メルヴィータ〉には、このままストイックに素晴らしい製品づくりや取り組みを継続していって頂きたいです!(笑)

中:ビオオイル アルガンオイル 30th
洗顔後、化粧水の前に使うことで、保水力に富んだアルガンオイルによりモチモチの肌に。モロッコのアルガンの実から抽出した一番搾りのオイルを使用し、着色料や防腐剤などの化学物質は不使用。髪や手にも使える。¥4,070(50ミリリットル)
左:リラクセサンス バスオイル
コムアイさんもお気に入りというオーガニックラベンダーの香り。心地よい入浴でより深いリラックスタイムへ。合成香料、界面活性剤不使用。¥3,520(140ミリリットル)
右:エッセンスBIO グリーンハンドジェル
植物由来のアルコールを70パーセント配合したポーチインサイズのハンドジェル。手に数滴垂らしただけで、ユーカリエッセンスの爽やかな香りが漂ってくる。手指をクリーンにするのにおすすめの一本。¥1,210(42ミリリットル)

INFORMATION

メルヴィータジャポン カスタマーサービス

電話:03-5210-5723
オフィシャルサイト