根底にあるのはリスペクト。

ー チェーンの喫茶店というのもあるんですが、普通に考えたらとにかくとにかくひとを回転させることが重要だと考えちゃいますよね。
自分たちも洋服という違う分野においてですが、真似しなくちゃいけないところがあると思います。そう考えていたら、凄い意味のある取り組みに思えてきたので、実際にコメダ珈琲さんのお店に行ったときに楽しくなるプロダクトをつくろうと思って。「コメダ」の店舗にある椅子って赤いソファーなんですけど、そのソファーに実際に使われている生地を買ってショーツをつくったりとか。
ー それはヤバいですね(笑)。
「珈琲所コメダ珈琲店」の店内で撮影が行われたルック。
ー ヴィジュアルの撮影は実際のコメダ珈琲店の店舗で行われたと聞きました。
そうなんです。さきほどお話しした、美濃地方の職人さんたちに聞いた同業他社のひとたちの憩いでありミーティング場所という「コメダ珈琲店」さんの原風景を、東京のファッション業界で活躍する若いひとたちで再現しました。店舗を提供してくださった「珈琲所コメダ珈琲店 横浜江田店」の皆様にこの場を借りてお礼申し上げます。
ー 宗太くんは純喫茶的な喫茶店が好きですもんね。「コメダ」もいいですよね、ご飯も美味しいし。
いいですよね。これはちょっと理屈っぽくなっちゃうんですけど。「In-N-Out Burger」や「マクドナルド」だったらUSライクでいい! ってなっちゃうような、欧米コンプレックス的な考え方って、日本でブランドをやっている僕からしたら大きな課題だと思うんです。ちょっと上からな言い方になっちゃうけど、「コメダ」の理念そのものを僕らがちゃんと楽しくお伝えして、レプリゼントすることができたらなって。そう思っているんですよ。
ー しっかりと向き合ってやると。
たとえば〈シュプリーム〉が「White Castle(アメリカで展開されているファーストフードチェーン)」とコラボしたときに、「White Castle」のことをきちんと伝えたじゃないですか。それと同じで、そういうことを僕らもきちんとやっていれば、誰が見たときにもカッコいいって思われると信じています。

ー きちんと自分たちのもので表現し直すじゃないけど。
そうですね、そういうのが裏テーマとしてあります。
ー アイテムのデザインに落とし込むときに意識したところはありますか?
極力、「コメダ」さんだけでは生まれないようにつくるようにしていて、デザインをしないように気を付けたって感じですかね。10年後古着屋に落ちてたらいいやつみたいな。テクニカルに特別なことはしないようにしました。
ー 普段のアイテムをつくるときとは違う感覚ですか?
そうですね。普段は最初に枠をつくってそれ自体を遊ぶんですけど、これに関してはあえて枠の中でやるようにしていて。

ー 枠の中で、どれだけできるかと。
敬意を失わないで、うちが「コメダ」さんの企業理念をリスペクトしているということが伝わるようなコレクションにしましたね。今回のアイテムはすへて「コメダ」さん側でグラフィックの商標を取ってくれていて。こうなったからには、彼らも偽物とは言えないですよね(笑)。
ー たしかに(笑)。こういう企画をやってみて、宗太くん的に何か今後に見えて来たものってありますか?
元々、ブランドを通して伝えたかったことっていうのが、初めて出来たくらいのレベルなんですよ。自分の身の回りにあるデザイン自体に着目して、プロセスを知ると奥が見えるみたいな企画が初めて出来たっていう手応えがあるので。大きい小さい関わらず、ちゃんと伝わるようにやり続けないとなって思っています。僕らは単純に面白おかしくしたくてオファーして来たんじゃないんだよっていうのは、このコラボレーションで示しているつもりなので、もしまた取り組めるとしたら、次は彼らのお店に足を運ばせるようなことをしたいですね。「コメダ」のお客さんに自分たちがリーチしたり、自分たちのお客さんが「コメダ」に行って、ゆっくりした純喫茶のよさを知ってもらいたいなって、そう思うんです。
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