CLOSE
FEATURE | TIE UP
安さ、便利さ、速さだけじゃないものを選ぶ。メルヴィータと鎌田安里紗が考えるSDGsのこと。
CARE GLOBE THROUGH COSMETICS

安さ、便利さ、速さだけじゃないものを選ぶ。メルヴィータと鎌田安里紗が考えるSDGsのこと。

生産から流通まで一気通貫にサステナブルなものづくりを掲げる、フランスのコスメブランド〈メルヴィータ(Melvita)〉。過小評価されがちなSDGsのことについて、識者と一緒に考えようという今企画ですが、前回のコムアイさんに続いて今回は慶應大学院の博士課程に籍を置き、ものがつくられる過程を可視化することがSDGsの達成に近づくと説く、鎌田安里紗さんと共にSDGsをより深く知るための方法や生活について対話を重ねます。

急ぎすぎている生活を見直す方がいいのかも。

ー SDGsの視点で、化粧品を選びますか?

鎌田: 企業としてそういう考えを持っているかということは、気にしますね。でも化粧品選びは本当に難しいですよね。どんな素材をなぜ取り入れているのか、それが自分に合うのかという判断が難しい。だから、うちの化粧品は環境にいいんですとだけ謳うよりも、こういう理由でこんな成分を使っていますよという明確なスタンスを表明している方が好感を持てますね。もしその素材を使うことへの懸念点などあるとしたら、そういったことにも言及したり、とにかく正直にスタンスを表明してくれていると信頼できます。

ー 〈メルヴィータ〉の場合、生産背景でも環境や労働者などさまざまな視点や切り口でサステナビリティを考えているので、説明が長くなってしまうというジレンマがあります。

鎌田: 確かにシンプルで分かりやすい方がいいというひともいるとは思います。でも、結局は、どれくらいのひとがそれを重視して真剣に選ぼうとしているのかということですよね。個人的には、SDGsに取り組んでいますという漠然とした主張よりも、細かい文章で説明されている方がいいですね。

ー それは誰かの出した答えに飛びつかないという、鎌田さんの基本姿勢があるからかもしれませんね。ちょっと説明が長くなりますが(笑)、〈メルヴィータ〉は、大きく4つのことを大事にしています。第一に、化粧品としてちゃんと効果があるもの。第二に使いやすさ。例えば、化粧品はベタベタせずに、気持ちよく使えることが必要です。第三は、経済性。どれだけいいものをつくっても、毎日使えないと意味がないので、価格としても手に取りやすいものにすること。第四は、サステナブルであること。開発から、生産、流通まで、ひとにとっても地球にとっても、できるだけ負担にならないこと。例えば、今回の製品、ボディオイルも日焼け止めも自然由来100パーセントの成分でつくられていて、できるだけ環境へ負担をかけないように考えています。

鎌田: 洗剤メーカーの方に現在、日本で販売されている洗剤で、水にそんなに負担がかかるものはないというお話を伺ったことがあります。その方からすると生分解性の高さを謳うことはマーケティングに過ぎないと。そういうことを聞くと素人の私たちはもう何をもとに選んでいったらいいか分からなくなってしまいますよね(笑)。〈メルヴィータ〉さんは生分解性についてはどのように考えていますか? 石油由来成分を避けるのはどういった視点からでしょうか。

ー 去年、欧州で石油由来の成分である、シリコーンの使用の規制が強化されました。一般的に、シリコーンは伸びがよくてサラサラするということで、クリームなどにも入っているんですが、生分解が400年以上かかると言われています。

鎌田: なるほど。美容業界のひとからシリコーンは過剰に悪者にされているというコメントも聞いたことがあるんですが、生分解性の観点からは、やはり環境への負荷が高いということで間違いないのですね。

ー はい、そうですね。

鎌田: 肌や髪への効果効能、自然環境への影響、コスパの観点など、いろいろな観点での意見があるから、混乱しがちなんですよね。

ー そうですね。例えば、この日焼け止めは、海の環境を守るために、100パーセント自然由来です。なかでもサンゴを守るために、紫外線吸収剤というものを使っていない日焼け止めです。この製品は、自然由来成分100パーセントで、サンゴや環境にも配慮しています。だけど、欧州のオーガニック認証は取れていないんです。というのも、塗って白くならないように、ミネラルをナノ粒子にしていることがダメなんです。それはナノ粒子が環境やひとにどれだけ影響があるか、まだ研究が必要だとされているからです。

鎌田: なるほど。新しい技術が環境やひとにどのような影響をもたらすかが分かるには時間がかかりますもんね。テクノロジーとの付き合い方はひとによってスタンスが異なりますし、こういった理由でオーガニック認証が取れていないといった情報も知った上で判断したいと個人的には思います。

ー 基本的に〈メルヴィータ〉は、原料生産にもさまざまな条件をつけています。例えば、何キロ以上は都市から離れているとか、その土地は化学物質と3年以上無縁であるとか。

鎌田: 都市から離れるのはどうしてですか?

ー 大気汚染されないようにですね。

鎌田: そんな都市に住むひともその製品を使うと思うとちょっと皮肉ですね(笑)。

ー (笑)。確かにそうですね。先ほどの鎌田さんのお話で、コットンの服は、もともと小さな種からできているというお話がおもしろかったです。

鎌田: 一般的なコットンは、大量の農薬や水が必要な一方で、オーガニックコットンが全体に占める割合はすごく低いんです。全コットン製品がオーガニックコットンになるのは現状では非現実的で、そもそも気候の変化やコストなどの問題から今後コットン製品が希少になるだろうとも言われています。こういうことを聞いて考えるのは、化粧品でも同じだと思いますが、まずは全体の生産量を減らす必要があるということですね。

ー 対処療法ではなく、原因療法ですね。鎌田さんは、化粧品の生産背景もよくご存知ですよね。

鎌田: 化粧品についてはよくいろいろなひとと議論を重ねてきました。でも、それが大変というよりも、いろいろな立場のひとと話すのがおもしろいんです。機能面重視のひとがいたり、ノンシリコンなんて考えられないというひともいたりします。いろいろなひとのスタンスを聞いて、ようやく自分のスタンスが浮かび上がってくるんですよね。例えば、自分がどこに興味あるのか、ないのかとか、優先順位とか。

ー 確かに知ること、というか知ろうとすることは大事ですね。

鎌田: 日常生活でもいろいろなものができているその背景や情報を知ることができるとおもしろい。なんとなく着て、なんとなく食べて、なんとなく生活して…というのはもったいないと思います。

ー それはもの選びにも反映されるかもしれませんね。

鎌田: ものを選ぶ時に、速さと値段と便利さという観点以外もあることを知っておきたいですよね。例えば、生分解性とか環境負荷という視点も考えられるんだよということを知っておきたい。その上で、何を選ぶかがひとによって違ってくるのは当然のことと思います。

ー 化粧品というのは、生活で使うものなので、身の回りのものをちゃんとした視点で選ぶというのは重要なのかもしれません。そういう意味では、服を選ぶ重要性と繋がる話かもしれません。

鎌田: 日用品の先に、環境問題があるんだと思いますね。すべてに急に詳しくなるのは難しいかもしれませんけど、環境問題に取り組む限定されたひとがいるのではなく、みんながその問題の一部であり、解決策の一部であるということを自覚したいですね。

ー SDGsが重要視されていること、昨今であれば、自分で探せば情報を得ることはできるわけですしね。

鎌田: 聞きやすい状況ですよね。昔だとクレーマーだと受け取られたかもしれません(笑)。私も、よくホームページの問い合わせ先から、メールを送って「話を聞かせて下さい」とお願いするんですが、それでその企業の方と仲よくなることもあります。環境をはじめ、生産背景に関する質問は攻撃的だと受け取られるのではないかと心配している方もいますが、質問すると親密性が高くなるというか、逆に仲よくなったりすることも多いんです。提示されている値段や機能を見て、他と比較して、それを買うか買わないかというだけの無機質な買いものだけでなく、メールや店頭でやり取りするなかで、ものそのものからだけでは分からないいろいろなスタンスを知れると判断しやすくなるように思います。もちろん聞かせてもらう方の時間を奪いすぎないようにしないといけないですが。そうすることで、画一的な買いものが、いい意味でぐにゃっと歪んだりします。

ー それはおもしろいし、ひととひとのやり取りとして新しい買いもの体験ですね。SDGsについて考えるには、精神的にも物理的にもある程度の時間が必要だと思うんです。いろいろな活動をされていて忙しいであろう鎌田さんが、忙殺されないように意識していることはありますか?

鎌田: 忙しさに飲み込まれていますよ(笑)。でも例えば、忙しい生活のなかで、ひとつひとつを時短することが正義のような価値観がありますが、そもそも本当に時短するのがいいの?とも思いますね。それよりも、急ぎすぎている生活を考え直した方がいいかもしれないし、何のための時短なのかは意識していたいですね。例えば、仕事に関する疑問はすぐさま解消せねばと思っても、生活に関する疑問はまた時間がある時に、となってしまったり、生活より仕事の方に比重が大きかったりしますよね。仕事だから忙しいというのは説明になるのに、もう寝る時間なんで帰りますっていうのは理由にならないとか(笑)。もちろん仕事に熱を持って取り組んでいるときは寝食を忘れて没頭してしまうこともありますが、生活を軽視しないという価値観を表明しておくのは重要だと思いますね。

右:ロルロゼ アクティベート ボディオイル

肌を引き締めるボディケアオイル。体の気になる部分をケアし、肌を引き締めるとともに、ローズヒップオイルとシーバックソーンオイルが、うるおいに満ちたしなやかなボディへと導く。スプレータイプで使い勝手がよく、スパイシーシトラスのさわやかな香りが心地いい。¥5,500

左:ネクターブラン UVシールド SPF35 PA+++

これからの季節に欠かせない紫外線対策。こちらはベタつかずサラッとした質感で、肌を紫外線から守りながら、美容効果もあるUVシールド。紫外線吸収剤および合成界面活性剤不使用で環境にも配慮している。海洋環境の保護に力を入れるハワイやパラオをはじめとするビーチでも使用できる。¥4,840

INFORMATION

メルヴィータジャポン カスタマーサービス

電話:0120-5210-5723
オフィシャルサイト

このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事#Melvita

もっと見る