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奥深きレギュラーTシャツの世界2。
Dig It Regular T-Shirt

奥深きレギュラーTシャツの世界2。

10人いれば10通りのセレクト基準が存在するのが古着。とりわけ“年代”や“希少性”といった誰かの物差しではなく“それをどう楽しむのか?”という点を問われるのが、レギュラー古着と呼ばれるカテゴリーです。このたび、その象徴たるレギュラーTシャツにフォーカスした古着イベント「ドレギュラーTシャツ展」が約1年ぶりにカムバック! そこで同イベントを主催する「ドゥージョー(dojoe)」の中野さん、「ウェーバー(weber)」の畠中さん、「アノラック(AnoLuck)」のizmtさんの3名を再びお招きし、イベントに出品するTシャツの注目ポイント、そしてレギュラーTシャツの楽しみ方について語って頂きました。少し視点をずらすだけで浮き彫りになる、レギュラー(=普通)に秘められたイレギュラー(=おもしろさ)。……なんて深く考えず、まずは一読あれ。

  • Text_Tommy
  • Edit_Yosuke Ishii

セレクト基準は単純明快。”おもしろいかどうか”の1点!

Selected by dojoe
Item01_Test Print T-Shirt

中野: では、今回もぼくからいかせていただきます。まずはこれ。ネタとしてはテストプリントになりますかね。要はプリント工場の試し刷りなので、基本的に市場に出てこないモノ。そもそも売り物として考えていないから、なんだこれ? ってのが見つかるのが面白くて。

畠中: これって表面だけじゃなく、裏面にもプリントされているんだね。

中野: それも面白いよね。真ん中は表がワンちゃんの後ろ姿なのに、裏面には全然テイストの違うメッセージプリントが入っていたりで。このテストプリントの醍醐味っていうのが全然違うものが1つのTシャツとボディーに収まっている違和感。で、右はカラーテスト。色がちゃんと出ているかを確認するモノ。左はぼくの見解では、テストといってもインクチェックに近いんじゃないかな。要はシルクスクリーンの版に使われるメッシュ数と…ちょっと専門的な話になっちゃってるかな?(苦笑)

畠中: (笑)。いや大丈夫だよ、続けて!

中野: このインクのこの硬さで、このデザインがちゃんとプリントできるのかってチェックするのに刷ったやつですね。

畠中: 細かなテキストやデザインが潰れずに、表現できているかとかね。

Izmt: そうそう。こういうのってプリント屋がお客さん用の見本として作っているんだよね。ウチならここまで細かくできるとか、黒ボディでも濃い色が出せるとかっていう。その練習用なんだと思うな、これは。多分、本チャンはもっとキレイなんだろうね。真ん中のタイプは古着市場でもたまに見かけるけど、カラーやインクのテスト用が出てくるのは珍しいなぁ。

畠中: ってことは、テストのテストって感じか。普通だったら捨てちゃうもんね。

中野: なので見つけた時はメチャクチャ嬉しかったなぁ。左と右は同じスリフトで見つけたんだけれど、気分的には「〈リーバイス〉のビッグEが3本出た!」ってくらい(笑)

Item02_Miss Print T-Shirt

中野: で、2枚目のこちらはミスプリント、B品だね。テキストの部分は普通にプリントされているんだけど、真ん中の部分が……分かりますかね?

畠中: あ〜なんか、チェッカーフラッグが見えるけど、ドラッグレースなんだ。これは写真よりも生で見た方がすごいね。

中野: これなんかも絶対に市場に出ない。だけど逆にこういう違和感が楽しくて好きなポイント。

畠中: 初見では、真ん中の部分が写真でインクジェットプリントと思ったら、シルクスクリーンの版ずれでボヤッとした感じが出てるんだね。面白いなぁ。

中野: ぼくらが面白いと思うポイントの1つが”歪み“。刷る側からすれば絶対に見せたくない部分なんだけど、だからこそ格好良く見えるというか。プロとしては恥ずかしいことだもんね、こういう失敗作って。でも他人から見るとそこにおもしろさが感じられる。2人もそうじゃない?

畠中: 分かる分かる。そこはグッとくるポイントだよね。

Izmt: (笑)。いや、本当にそう。若干、良い方向にとらえすぎな感はあるけれど(笑)。ミスプリントで思い出したけど、ぼくも最近“ARMY”のYが刷りきれず、“ARMV”になっちゃったTシャツを手に入れてよく着ているよ。失敗してるんだけど、そっちの方が格好いい。まさにそういうことでしょ?

畠中: それの一般ウケしないヤツがこれだね(笑)。このおもしろさを理解するには、シルクスクリーンのプリントについての知識が必要だし、なかなかマニアック。説明を聞くことで全然違うモノとして見えてくるし、良さもわかるんだよね。

中野: で、そうすると聞いた方も、自分の中で2800円→3800円に価値が上がるっていう(笑)

Item03_ MiXXy Hand Parody T-Shirt

中野: お次は、ミッ○―の手をパロったTシャツ。もう本当に何でもない、なんならドンキホーテで売っているようなジョークTシャツなんだけど……。

畠中: “I’M HERS”?

中野: 要するに彼氏がこれを着て、隣の彼女を指差す…みたいな。「俺は彼女のモノだよ」っていうね。で、ここからちょっと変なことを言うんですが……。

畠中: おっ、始まった! 中野くんはTシャツから物語を紡ぎ出すからね。

中野: 触ってみればわかるんだけど、プリントには転写シートを使ってるんだよね。コストを抑えることができる反面、洗濯を繰り返すたびにエイジングでボロボロになっていくやつ。このTシャツを着て、彼女と過ごして10年経った時にイイ感じにボロボロになるんですよ。そこが、時間の流れとともに変わっていく2人の関係性をエイジングで楽しんでもらう。という趣向なのではと。

畠中: もしかしたら、そこまで考えて転写プリントにしたのかもしれないね。

Izmt: いや、絶対ないでしょ。そこまで計算して作っていたら、もう完全にヤバイやつだから(笑)

Item04_ My Grandkids T-Shirt

中野: 続いても転写プリントネタを。アメリカ人って、誕生日や卒業式といった行事のたびにオリジナルTシャツを作るんですよね。デザインとしては昔から存在しているんだけれど、大阪の古着屋「チャッピー」さんがこのタイプに“誰やねんT”ってネーミングしているのを見たら、メチャクチャ良く感じられるようになっちゃって(笑)。それでいえば、これは“孫やねんT”じゃないですか!

一同: (笑)。

中野: 逆は見たことがあるんですよ、孫がおじいちゃんに作るパターン。でもこの場合は、おじいちゃんが、孫が好きすぎて作っちゃったパターン。

畠中: なるほど。しかしこのプリントの擦れ具合は、ちょっとしたホラーだね……。

Izmt: 本来だったらこういうモノって、一度着たらおしまいでサスティナブルの真逆にあるアイテムじゃない。でもこれはすごく着込まれているんだよね。

中野: いや、着るでしょ! おじいちゃんってみんな孫が大好きだもん。

Izmt: 重ねて言うなら、なぜそんなにも大好きな孫のTシャツがスリフトで出てくるのかっていう話で。

畠中: 確かに(笑)。でも、太平洋の向こう側の知らないおじいさんから、中野くんの手に渡り、またそれが違う人の手に渡っていく。それって、ある意味サスティナブルだなぁ。

Item05_ Microsoft T-Shirt

中野: 最後はキャッチーに。ITモチーフのTシャツは人気ですが、今回は〈マイクロソフト〉に絞ってみました。ベタなロゴものも良いけど、ぼくが好きなのはプログラマーたちがソフトウェアの開発を競うコンテストや、マニアックなソフト、当時展開されていた携帯電話とか。基本的には販促用としてイベントなどで配布されたモノなんだろうけど、構図といい色使いといい普通にデザインが優れているんですよね。

Izmt: こういうのって、ぼくは全然ノーマークだなぁ。

畠中: やっぱ〈アップル〉に比べると、アメリカでも〈マイクロソフト〉はまだ出てくるの?

中野: いや、もうこの1、2年で同じように高騰しちゃっていて。特に2000年代のモノが厳しいね。

畠中: へ〜。でもスゴイよ。タグが「ウィンドウズ」のロゴで織りネーム、しかもフルカラー! 力が入ってるなぁ。

中野: 去年頃から集める人も増えていて。ロゴが人気だけど、そこをちょっとずらしてみると、まだまだおもしろいモノに出会える。言い方は悪いけど、これは完全に売れ線です(笑)

畠中: じゃあさ、〈ヒューレット・パッカード〉とかはどうなの?

中野: ??……あぁ、hpね(笑)。それはどうかなぁ。

INFORMATION

ドレギュラーTシャツ展Ⅱ

会期:7月10日(土)、11日(日)
場所:dojoe
住所:東京都渋谷区元代々木町9-8
電話:03-6884-2425
dojoe-tokyo.com

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