PROFILE
渋谷・宇田川町にある古着屋「BOY」のオーナー。お店に立つ一方で、DJとしてさまざまなイベントに出演したり、自身でプロデュースも行う。また「スペースシャワーTV」による配信番組「スペトミ!」でパーソナリティを務めるなど、多岐に渡り活動中。 Instagram:@tommy_okutomi
“コレとコレを着れば正解” みたいなファッションはしたくない。
ー 奥冨さんのファッション感は小学生や中学生の頃に聴いていた音楽や、その当時の雑誌などに強く影響されているそうですね。
奥冨: 音楽やファッションの情報に、なぜか過剰に反応しながら過ごしていました。それはいまも変わらず、そのまま年齢を重ねています。その都度、新しい音楽やファッションに出会って、それがどんどん蓄積されて、時間とともに洗練されていっている感じですね。ある特定のジャンルに影響を受けているというよりも、いろんなものに影響を受けている感覚なんです。
だからシーズンでテーマを絞ったりとか、自分のファッションに関しても、あまり明確なものを決めないようにしています。例えば「今年の夏はヒップホップしか聞かない」なんてことはなくて、食事でもいろんな料理を食べるように、やっぱりいろんな音楽を聴くんです。ファッションも同様にいろんなスタイルに興味があって、それを柔軟に取り入れながら日々楽しんでいます。だから去年と今年では買い付けるアイテムも変わってくるし、そのときの気分みたいなものを大事にしていますね。
ー いまはどういった気分で音楽を聴いたり、ファッションを楽しんでいますか?
奥冨: ここ数年、興味があるのは、Hyperpop(ハイパーポップ)と呼ばれる音楽です。すごくハイブリッドな電子音楽で、楽曲の中でヒップホップのビートを取り入れたり、ギターのパワーコードが鳴ったりとか、いわゆる現代版のミクスチャーみたいな感じなんです。アメリカのデカいチャートを賑わせたりしてメジャーでも人気なのに対して、アンダーグラウンドな小箱でかかっていてもおかしくないディープさがあって。
ー いろんな要素を内包しているんですね。
奥冨: そうですね。だからそれをファッションで表現しようとしても、簡単にはいかないというか。“これを着ればHyperpop” っていう感じでもないんですよ。これは個人的な好みですけど、“コレとコレを着れば正解” みたいなファッションはしたくなくて、そういう意識は常に働いています。そういう意味では、Hyperpopは何通りにもファッションが想像できて、タイミングによって聴こえ方が変わる感じが好きですね。
ー いまのお話にあったように、「BOY」に置いてある商品もジャンルレスで、いろんな要素が絡み合って成立している印象です。
奥冨: 仰る通り、ジャンルであったり年代というものを一括りにしないようにしています。1940年代のものがある一方で、2010年代の古着もあったりとか、現行のドメスティックブランドのアイテムや作家の作品を置いていたり。そこらへんは自由にやっていますね。