ファッションとスポーツの境界線、本当に超えてるの?
ー 〈カンタベリー〉はこれまでにラグビー強豪国のユニフォームを手がけてきて、現在はアイルランド代表と、石塚さんを中心に日本代表のユニフォームをデザインしています。個人的にユニフォームは〈ノンネイティブ〉のプロダクトにも通ずる概念だと思っていて。藤井さんはプロダクトに特定の職業を連想させるネーミングを多様していますよね。
藤井:まさに。メンズ服はユニフォームという前提で考えていて。そういう意味では、世の中の服は〈ハーフテン〉なんですよ。今回改めて思ったのは、ファッションとスポーツの融合、境界線を越えると言っても、たとえば、ぼくが〈ノンネイティブ スポーツ〉みたいなブランドを自分だけで立ち上げても「本当にそうなの?」と疑ってしまう部分があるなと。それに値段も高くなってしまうし。

nonnative × halfTen TRAINER CAP POLY JERSEY 46 HGS 各¥6,000

nonnative × halfTen MARINER HAT POLY JERSEY 46 HGS 各¥6,000
ー たしかに、〈ハーフテン〉は〈ノンネイティブ〉ほど高い価格設定ではないですね。
藤井:そこは何度も言いました。自分たちの親が見ても違和感がない価格設定にしたくて。普段やっていることはある種、非常識なことをやっているから。
ー 価格だけで切り取ると、パンツ1本で3,4万もしますからね。
藤井:だからこのスニーカーのような革靴のようなウォーキングシューズも〈ニューバランス〉くらいの価格帯に設定していて。価格もデザインも、〈ノンネイティブ〉でやることとは随分抑えました。


nonnative × halfTen MARINER MOC TRAINER COW SUEDE by CallangHan® 各¥21,800
ー 価格を抑えられると、いろいろな人に着てもらえる可能性が広がると思います。それは〈ハーフテン〉のコンセプトを踏まえると、とても大きいんじゃないですか?
藤井:そうですね。〈カンタベリー〉がラグビー由来のブランドであることを知ってもらえる。そこから日本代表のユニフォームで見たことがあるロゴという感じに記号で一致していく。そうやってイメージが広がって、〈ハーフテン〉を着て観戦や運動してくれるとうれしいですね。ちょっとおしゃれに見えるはずだから、デートするために着てもいいですし。
石塚:〈カンタベリー〉としては、〈ノンネイティブ〉の世界観を店頭で販売するスタッフも含めて大切にしたいですね。世の中はどんどんボーダーレス化が進むなかで、ぼくらはこれ用にこれをつくるとしてしまいがちですが、それは正しいものの、ファッションは自由なものでもあって。だからこそ、俯瞰して物事を捉えることが大切なんです。〈ハーフテン〉にはぼくらと藤井さんとのこだわりが融合しています。だからこそ、スケートボード、サーフィン、ランニング、釣りであったり、いろいろなフィールドで着てもらって波及していくことを願っています。

藤井:ラグビーファンのお客さんは人間としてしっかりしている印象があるんです。選手もお客さんも紳士的ですよね。試合が終われば、お客さん同士も握手するノーサイドの精神も素晴らしい。そういった紳士的な層にはぼくらもアプローチしていきたい。〈カンタベリー〉としてはファッションゾーン、ぼくらとしてはラグビーゾーン、お互いの領域の人たちがどう受け取るのか。そんな未知数なところを楽しみにしていきたいですね。「ワールドカップ2023」のタイミングとは言わずとも、いつかは日本代表のユニフォームを一色くらいはデザインさせていただけたらいいなと(笑)。