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ベルベルジンのオーナーが語る、原宿と新店舗にまつわるエトセトラ。そしてヴィンテージ古着のいま。
BerBerJin Yuhodo

ベルベルジンのオーナーが語る、原宿と新店舗にまつわるエトセトラ。そしてヴィンテージ古着のいま。

1998年のオープン以来、20年以上にわたり日本のヴィンテージシーンを牽引し、原宿を見守りつづけてきた「ベルベルジン(BerBerJin)」。とんちゃん通りの本店を軸に、原宿・渋谷エリアにいくつもの店舗を展開していた同店が、9月4日に原宿・遊歩道に「ベルベルジン遊歩道」をオープンさせたのは先日お伝えしたばかり。で、そこでもチラッと触れたのが「何でこのタイミングで原宿に? しかも同じエリアに新店舗を出すの?」といった疑問点。今回はその辺りをもう少し深掘りすべく、オーナーの山田和俊さんと、「ベルベルジン 遊歩道」のディレクションを手がける店長の蒔田康介さんを訪ねました。お店のコンセプトやセレクトの見所、新店にかける思いといった部分はもちろん、古着シーンの今後といった大局的な話まで。日進月歩で評価が変わり続けるヴィンテージ古着。そんなシーンのトップを走り続ける「ベルベルジン」は、いま何を思っているのでしょうか。

  • Photo_Takuma Utoo
  • Text_Tommy
  • Edit_Yosuke Ishii

PROFILE

蒔田康介
BerBerJin 遊歩道 店長兼バイヤー

千葉県出身。弱冠20歳で学生生活からドロップアウトして、「ベルベルジン」に入社して今年で4年目。その類稀なるバイイング能力とコミュニケーション能力、そして向上心の高さを見込まれて、24歳という若さで「ベルベルジン 遊歩道」の店長に大抜擢。現在でも1年の半分以上を買い付けで訪れるアメリカにて過ごしている。

現地のリアルなストリートの空気感をいかに出せるか。それは、ぼくらだからこそできることだと思っています。

ー まずは、この「ベルベルジン 遊歩道」のショップコンセプトを教えてください。

蒔田: 基本的にはムービーTシャツやミュージックTシャツ、アートやアニメやマンガなどのキャラクターものといったグラフィックTシャツがメイン。そこに横ノリ系も加えてアメリカのリアルなカルチャーやストリートシーンを感じさせるアイテムを集めています。イメージ的には「&ベルベルジン」と「渋谷パルコ店」をミックスして、そこからさらに深くストリートシーンやカルチャーと結びついたスタイルを発信していければなと。アメリカに直接、足を運んで自分の目で見て肌で体験しているぼくらだからこそ分かる、感覚的な部分を全面に出していければと考えています。

ミュージックTシャツは同店を象徴するアイテムのひとつ。80年代〜のバンドからラッパーまで、このジャンルも近年高騰化が著しく、見つけたら即ゲットが基本だそう。

ー いま原宿に、その辺のジャンルをメインとしているお店ってないんですか?

蒔田: あるとは思いますが、ぼくらがやりたいのはもっとリアル。例えば、スケートでもサーフでも「このグラフィックは○○の作品で〜」とか詳しい人はいっぱいいると思うんですが、それとはまた違うベクトルで現地の空気感をいかに出せるか。それは、ぼくらだからこそできることなのかなと思っていますし。

ー 正直、これだけのアイテムを集めるのは大変だったと思います。

蒔田: 正直そこまで大変ではありませんでしたが、モノによってですね。〈チャンピオン(Champion)〉の「リバースウィーブ」は黒ボディを厳選して集めていたんですが、この数とクオリティを揃えるのに約半年かかりました。「リバースウィーブ」自体、マーケットプライスがかなり高騰化していますが、中でも黒は別格。そこは正直苦労しましたね。あとはツラの良いムービーTシャツも同様。監督の人気で価値が決まる部分もあって、デヴィッド・フィンチャーやマーティン・スコセッシはファンも多いですね。その中で頭1つ抜けちゃっているのがクエンティン・タランティーノ。この辺りを中心に集めました。

こちらも今や、高騰化著しい〈チャンピオン〉のリバースウィーブ。特にサイズの良い黒ボディのモデルは探している人が多く、これだけのクオリティで揃うと圧巻です。黒ボディのスエットでは、珍しいカラーフロッキーバリエーション豊富にラインナップ。

先述のミュージックTシャツと並んで、同点の主軸の1つとなっているムービーTシャツ。デザインはもちろん、手掛けた映画監督の人気も価格には反映されるそう。

ー 店内を見ていると、什器や商品のジャンル分け、配置までこだわりが感じられます。

蒔田: 内装に関しては、先ほど山田さんも話したように基本的には居抜きのまま。ただテーブルやベンチといった什器類にはこだわっています。ぼく自身が最近ミッドセンチュリー家具にハマっていることもあって、山田さんに相談しながら手伝ってもらい、すべてテイストを統一して集めました。入ってすぐのソファは〈イームズ〉のエアポートベンチですし、この大きなテーブルもそう。アイテムに関してですが、これはジャンルやカルチャーなどテーマを設けて配置しています。今ですと入り口から見て左側の壁に〈チャンピオン〉の黒リバースウィーブ、右側の壁にミュージックT、正面にムービーT といった感じです。あと右壁の手前には、スペシャルなアイテムとして〈リーバイス〉のウッドストックが。それと、探すと意外に難しいリバースウィーブのチームスポーツ物は右奥の棚に。

スペシャルなアイテムが並ぶ店内の中でも、一際目を引くのが入って右壁手前のコーナー。〈リーバイス〉の“ウッドストック”物がズラリ。実に壮観です。

カレッジやチームスポーツ物のリバースウィーブが積まれた正面右奥の棚。ジワジワとマーケットプライスが上昇中のアイテムでコレクターも多く、上に掛かっているのはその中でもスペシャルな逸品たち。

蒔田: またそれ以外に見所でいえば、テーマに沿って集められたアイテムが並ぶラックにも注目していただきたいです。たとえば“ニューヨーク”がテーマなら、直球のニューヨーク・ヤンキース物もあれば、それに合わせられる紺×白のヤンキースカラーのアイテムもあるし、ニューヨーク・メッツカラーの〈ナイキ ACG〉もあったりします。それが“サンフランシスコ”なら、サンフランシスコ・ジャイアンツはもちろん、同地で人気のダービージャケットなどなど。また、先ほども話したリアルなストリートの空気感でいえば、〈ディッキーズ〉のカットオフショーツなんかはまさに。自転車乗りやスケーターといったあちらの連中は、みんなコレを穿いていますね。

ー 店内すべてが掘れば掘るほど面白そう。今ってどのようなお客さんが多いですか?

蒔田: 「本店」や「&ベルベルジン」でいえば9割が男性客で年齢的には30代〜40代がほとんどですね。女性客はその残り1割。女性のお客様は古着が好きな方だけでなく、「映画や音楽が好きで」といったカルチャーから入って、着こなしのスパイスとして取り入れる感覚で手に取っていただくことが多いですね。そこで、アメカジ然としたアイテムを扱う本店に対して、こちらではもっとレディースのヴィンテージにも注力していきたいなと思って、レディースコーナーも作ってみました。

店内に入ってすぐ左側は、現在レディースコーナーとなっている。これらのヴィンテージアイテムも今後、さらに強化していく予定とのこと。

ー 古着好きの女性も増えそうですね。では、今後の展望について教えてください。

蒔田: この遊歩道という立地はスケートショップや自転車屋も近くにあり、これまでよりもストリートカルチャーとの距離感が近くなったように感じます。とんちゃん通りに比べると女性も多いのでレディースもさらに深いところまで掘っていきたいですし、そういった場所からだからこそできるセレクトで“らしさ”を体現していければ面白いことになるんじゃないかなって。また、カップルも入りやすいと思うので、彼氏が店内を物色している間に、彼女はベンチに座ってマッタリしてもらったり休憩場所感覚で使ってもらえたら嬉しいです。アイテムもいわゆるヴィンテージとグッドレギュラー、直球と変化球をフラットな目線で並べていますし、お客様にとって居心地の良い空間の中、これまでの「ベルベルジン」とはまた違った感覚で古着を楽しんでもらえればと考えています。

ー ありがとうございます。最後に「ベルベルジン 遊歩道」を象徴するアイテムを5点紹介してください!

INFORMATION

ベルベルジン 遊歩道

住所:東京都渋谷区神宮前4-25-33 田辺ビル 1F
電話:03-6434-0338
時間:13:00〜19:00
Instagram:@berberjin_yuhodo

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