コラボモデルのデザインの背景とは。
ー 今回のコラボレーションモデルに関して、それぞれのデザインのコンセプトやディテールへのこだわりを教えてください。

小島:これは「アトモス」のコラボレーションモデルのベースとなった「EQT PROTOTYPE」。1990年代当時にプロトタイプとして開発され、お蔵入りになってしまった幻のレーシングシューズをリデザインして現代に蘇らせたものです。

そしてこちらが同モデルに今回「アトモス」がアレンジを加えたコラボレーションモデル。レーシングシューズがベースということで「スピード」をテーマにデザインしました。ぼくらのホームタウンである東京の人混みを駆け抜けるスピード感をイメージしながら、差し色として東京の夜のネオンを想起させる蛍光イエローをプラスしています。



国井:「アトモス」らしいアレンジですね。アーバンな雰囲気とか、差し色の使い方とか、「アトモス」が得意とするデザインソースをシューズにうまく落とし込んでいると思います。

「ミタスニーカーズ」では、かつてのEQTのランニングシューズ「ガイダンス」「サポート」「クッション」を1足に集約してリデザインされた「EQT CSG 91」をベースにアレンジしました。


コラボレーションにあたって〈アディダス〉から受けたリクエストは「あなたが考える90年代を表現してほしい」というもの。90年代を振り返ると、当時のアウトドアギアに取り入れられていたリアルツリー柄やリップストップナイロン素材が思い返されたので、それらをイメージしながらデザインを再構築しました。
また、EQTを象徴するカラーであるサブグリーンを側面のスリーストライプスやヒールなど随所に散りばめつつ、インソールにはそれぞれのロゴをあしらったオリジナルのコルク素材を採用しています。

小島:国井さんのストーリーテリングの巧みさにはいつも唸らされます。サブグリーンのあしらいやコルクのインソールなど、「ミタスニーカーズ」らしさを感じさせるディテールワークもさすがです。

国井:別注やコラボレーションに際していつも思うのは、「らしさ」を出さないと意味がないということ。お互いの「らしさ」と「らしさ」が合体して、さらに良いものができる。それでこそ別注やコラボレーションをやる価値があるのかなと思います。