03 アイデアを思いつくきっかけは“違和感”。

PROFILE
2013年に〈ハーフトラックプロダクツ(HALF TRACK PRODUCTS)〉を設立し、自身のアウトドア経験をベースに商品を開発。誰もが見落としていた方向からの新鮮なアイデアが話題を呼ぶ。いわゆるガレージメーカーの先駆者。アウトドア界隈の人望も厚く、ジェリー鵜飼、岡部文彦、〈ヘリノックス〉などコラボも多数。
Instagram:@halftrackproducts
ー 最近はどんなアウトドアを楽しんでますか?
土屋:バイクです。オールシーズン乗るんですが、これからの季節のツーリングは風が冷たいので、体感温度は10℃ほど下がります。時速100kmで走るときは、ブルブル震えながら走ってます(笑)。

ー バイクはどんなところが楽しいのでしょうか?
土屋:冬山遊びの用語で“THE DAY”という言葉があります。天気がよく、雪質がパウダースノーの日を指しますが、バイクはいつでも“THE DAY”の感覚。1200ccの大型バイクに乗っているんですが、アクセルを開けたときのトルク感とか…乗るだけで最高に気持ちいいんです。スノーボードにも近い感覚なんですよね。


ー なるほど。「タキビダウンジャケット」には、バイク乗りにも便利なギミックがあります。
土屋:裾のサイドがジッパーで開閉できるのはいいですね。高いバイクにまたがるときに足があげやすい。ポケットはハンドーウォーマーとしても使えるし、フラップが付いているので携帯を入れておいても安心です。
ー フードを取り外せば、スタンドカラーにもなるんです。
土屋:それはバイク乗りとしてはうれしいです。ヘルメットをかぶってしまうと、フードは邪魔だし、スタンドカラーなら風もあまり通さないですから。


ー 〈ハーフトラックプロダクツ〉の製品は、キャンプシーンで使われるものが多いですね。
土屋:そうですね。アウトドアギアではなく、キャンプという独自に発展したジャンル向けのギアをつくっているという感覚です。と言いつつ、いまはそれほどキャンプに行ってないんですよ。よく行っていたのは15年くらい前で、いまは仕事上でたまに行くくらいで。
ー キャンプギアのつくり手として、「タキビダウンジャケット」で使われている難燃素材をどのように見ているのでしょうか。
土屋:自分がよく焚き火していた15年前は、ダウンの上に火の粉対策でコットンの服をかぶってました。「タキビダウンジャケット」に使われている“タキビ生地”のように、いまや機能素材もどんどん新しいものが出ていて、浦島太郎状態です(笑)。このダウンならコットンのアウターはいらないし、スペックが好きな方には間違いなくうれしいポイントですよね。
ー 〈ナンガ〉のものは実際にどんなアイテムを使っていますか?
土屋:寝袋ですね。間違いない品質なので。ちなみに〈ナンガ〉と同じく〈ハーフトラックプロダクツ〉も日本製にしています。いくら製作費が安くても、海外の工場にお金を落とすより、日本の職人であるおじいちゃん、おばあちゃんとかにちゃんとお金が回っていく方がいいなと。

ー 素敵な考え方ですね。バイクに乗っている経験から、プロダクトを発案したことはありますか?
土屋:ちょうどいま寝袋を入れるためのバッグをつくったところですが、バイクに取り付けられる仕様にしました。
ー やはりアウトドアのプロダクトは、そういった自身の経験や“自分だったらこうする”という思いから生み出されるものが多いんですね。
土屋:そうですね。ぼくの場合は、“何だあれ”という違和感から生まれることが多いですね。たとえば、ウェットティッシュの妙な生活感が嫌でそのケースをつくったり、保管方法に困るダウンの寝袋をなかに詰めて使うクッションカバーを開発したりとか。だから、作業場でウンウン唸っていても新しいアイデアは思い浮かばないし、外に遊びに行くと商品が発想しやすいんです。

TAKIBI DOWN JACKET ¥66,000 クラシカルなデザインと現代の素材、機能を盛り込んだダウンジャケット。難燃素材・アラミドを配合した、コットンライクな独自のポリエステル生地で、化学繊維の弱点である焚き火にも強い仕様。羽毛は〈ナンガ〉独自のUDD(超撥水ダウン)を採用し、水や湿気による保温性の低下を防ぐ。そのほか、動きやすさや使いやすさに重点を置いた、さまざまなシーンに対応するデザインもポイント。全4色。