「インタビュー、はっじまるよー!」
ー 今日はよろしくお願いします。この企画では、お蕎麦を食べながら今年1年について振り返りつつお話が聞ければと思います。音声の録音をさせていただきますね……
加納:(テープレコーダーに向かって)インタビュー、はっじまるよー!
ー ありがとうございます(笑)。お品書きをどうぞ、こちらから選んでいただければと。ちなみに温かい天ぷら蕎麦がおすすめのようです。
加納:でも、この時間(朝の10時30分頃)からフライヤー動かすん、お店のひと嫌ちゃうかな。
ー 気遣ってもらって、すみません(笑)。お好きなものを選んでもらって大丈夫みたいです。
加納:ほんなら、鴨南蛮。お願いします。

ー さっそくですが、今年は2020年末の「THE W」をきっかけにメディアを通じたお仕事もすごく増えたのではないかと思います。
加納:そうですね。こんなにお仕事させてもらったのが初めてのことだったので、今年は光のように1年が過ぎていきました。でも、かと言って「THE W」のネタはテレビでは1回もやらせてもらえなかったんですけどね。大掛かりでコスパがあまりよくないからかな。今年はラジオのレギュラーもはじまって、ホームとアウェイを行ったり来たりしながら仕事できましたね。
ー テレビでも何度もお見かけしました。
加納:ありがとうございます。うちらが芸歴を重ねたことや、共演する芸人たちの年次も変わったからだと思うんですけど、テレビってもっとツラいものだと思ってました。すごく過酷なものが待っているんだろうなと。けど実際にはじまってみると、案外うちらはテレビを楽しんでできてますね。特に同年代の芸人といっしょに番組ができるのは楽しい。こんなに友達らとたくさんテレビに出るようになるとは。時代って、ゆっくり変わってるねんなと思います。
ー なかでも印象に残ったことはありますか?
加納:視聴者のときにはわからないような、現場でいっしょになってはじめて「このひとすごいな!」と思うひとがたくさんいました。世間が思っている単純な好感度だけでは測れないものを感じて、そのあたりは勉強になります。ごいっしょしたひとのなかでも、爆笑問題の太田さんはやっぱりすごい。くりぃむしちゅーの有田さんも。太田さんは「なんでもこい! 飛び込んでこい!」ってスタンスで迎えてくれるのでありがたいですね。

ー 仕事が増えて忙しくなるにつれて、Aマッソの受け止められ方も変わってきたのではないかと思います。
加納:たしかに、昔は上から言ってきてたテレビのスタッフさんも、いまは優しかったり(笑)。「なんやねん!」とは思うけど、「たしかにそらそうか」とも思うし。あとは、11月に『ずいぶんじゃねぇか、なぁスニッツ!』という単独ライブがあって、客席に「はじめて来たひと〜?」って聞いたら8割ぐらいのお客さんが手挙がって、そのときは「やばっ」と。Aマッソは、劇場で蓄積されるうっすらとした共通言語があるタイプの芸人やと思うんですけど、これからはそれが伝わらないんだなと。これはけっこうな驚きでした。やっぱりテレビってすごいんやなって思いました。それまではライブシーンに立って徐々にお客さんを増やしていたので、メディアを通じてドンッて急に数が変わる経験はなかったんです。
ー そこは、AマッソのYouTubeチャンネルなども追い風になっているんですかね。2月に公開された「さらば青春の光Official Youtube Channel」に出演した回は、再生回数もかなり伸びましたよね。
加納:でもあれはね、「さらば」さんのチャンネルでだけ再生回数が伸びたんですよ。コラボ企画だったんですけど、あっちの動画で村上がキスしてるんで(笑)。うちらが発端やったんですけど、あっちのチャンネルで100万回再生を超えてた。作戦ミスったな……。
ー 難しいところですね。
加納:YouTubeは常に手漕ぎなんですよ。仕事の合間を縫いながら段取りを立てて、キャスティングをして、撮影場所を押さえて、経費のことも考えて……それらを自分らでしてるからカロリー高いんですよね。それにそのカロリーの高さと再生回数が比例するわけではなく、ダラダラ2人で喋っただけの動画が再生回数伸びたりもする。変な話、テレビのほうが楽ですよ。呼んでもらって、スタッフさんが企画したものに乗っかって、演者としてどう振る舞うかに集中できるので。ただ、YouTubeは全部自分らでやってるぶん、口出せるのがいいですね。好きなように編集できるし(笑)。あんまり言いたくないですけど、いまいちばん楽しいのはYouTubeの撮影ですしね。