PROFILE
照井利幸、中村達也とともにBLANKEY JET CITYとして活動した後、2000年に自身のレーベルであるSEXY STONES RECORDSを立ち上げ、SHERBETS、AJICO、JUDE、PONTIACSやソロ名義で精力的に音源を発表。現在は浅井健一&THE INTERCHANGE KILLSとして活動するほか、文筆や絵画の分野でも才能を発揮している。
変わりゆく時代のなかで暮らす、普段の自分がそのまま歌になる。

—前回(2020年10月)のインタビュー時は「最近はあまりバイクに乗っていない」とのことでしたが、その後にサリンジャー号をメンテし直し始めたそうですね。
全然。モーターサイクルメディアさんに預かってもらって……そのまま何も進んでいないと思う。自分としましてはちゃんとしたガレージにおいといて頂けるだけで助かります。でもいつまでも、乗っていないのに持っていてもかわいそうなので、大事に乗ってくれる方がいましたら連絡ください。預けます。かなり乗り心地は良くないですが。
自分がいま乗るんだったら、シンプルでちゃんとサスペンションが効いてるマシンに乗りたいですね。(サリンジャーは)かたち優先でつくったからね。気軽に乗れるモトクロスもいいけどね、カゴつけてスーパーに行くとかさ。ジョーダンだよ。
センスのいい単車いっぱい見かけますね、YouTubeなんかでもさ。
—YouTubeも観るんですね。最近はYouTubeのプラットフォームを使ってミュージシャンが動画を配信することも増えましたが、今後、浅井さんもチャンネルを開設したりする予定は?
無いね。インスタで『ベンジースマイルクッキング』って言って、たまに料理番組をやるんだけど……それぐらいかな。
—インスタでスムージーをつくっているところを拝見しましたが、今回の新譜『SAME』でも“スムージーつくるフルーツの種類は少ない方がいいぜ”という歌詞がありますね。
生活がそのまま歌になってたりするからね。あれは絵の具と同じで数が多いと色も濁るし、シンプルな方がいいんだなってつくりながら再確認したなぁ。

—暮らしのひとつひとつがクリエイティブに反映されているのが面白いと思います。コロナ禍以後で自炊する機会が増えて曲にも変化が出たと思うのですが、それ以外にも変化はありましたか?
世界中がまずコロナで激変したから、自分自身も当たり前に変わっていったよね。それに今回、戦争が始まったでしょう。『ラブソングが聴こえる』って曲を去年つくって今年の2月に出したんだけど、その中で“そろそろ戦争が始まるかも”って歌ってたらその通りになったので、自分でもビックリしました。
—2020年におこなった前回のインタビューでも「いよいよ戦争が起こるかもしれない」とおっしゃってましたが、当たって欲しくない予想が的中してしまった、という印象でしょうか。
そう。歌の中でも“そんな予測は外れたいよ”って言ってんだけど。だから、世界が本当に良くない方向に動いているんだな、って感じてるかな。

—ウィズ・コロナが現実のものになるなか、少しずつライブやイベントも開催されるようになってきました。昨年はTHE INTERCHANGE KILLSやAJICOの名義でライブをやってきましたが、やはりコロナ禍前とは勝手が違いますか?
ミュージシャンはみんな同じことを感じてると思うけど、まずスタンディングは観客の数が半分しか入れられないでしょう。声を出しちゃいけなくて拍手しかダメだし、モッシュも禁止で……以前とは全然感じが違うよ。変わっちゃったなぁ、とは思うけどね。ミュージシャンはライブが出来なくなっちゃったら何もやることが無くなるから、なんとか頑張るしかないなぁと思って。
—昨年のフジロックでAJICOを観たのですが、本来なら歓声が沸き起こったりモッシュが起きたりするタイミングでも静かだったので、確かに不思議な印象でした。
寂しい限りですね。でも、反応が無かったって印象は無いんだけどね。すごくたくさん観に来てくれたし、演奏しているうちにお客さんが増えて来たのをステージから観ていると嬉しかったけどね。
—歓声を上げられないぶん、楽曲に集中できたところもあったようにも思います。
そう。それとYouTubeでライブ配信をしていたから、それを観た久しぶりの友達から「何年かぶりに観たけど、すごくよかったよ」って電話やメールが来たりとか。そういう反応があったから、やっぱりYouTubeって影響力デカいなって思ったな。
—コロナ禍以降、ライブ配信もお馴染みになりました。
自分は苦手なんだけどね。フジロックも自分の配信はやって欲しくなかったんだけど、実際にやってみたら良かった、っていう。動画はカッコよく映っていれば問題無いんだけど、たまにカッコよく映らない場合があるから……それが怖いんだよね(笑)。

—今年のフジロックではSHERBETSとして出演予定ですが、AJICOやSHERBETSなどのプロジェクトの再始動が立て続いているのは、なにか理由がありますか?
たまたま、かな。AJICOはUAからだね。SHERBETSは去年の初めぐらいに福士さんとふたりで『セキララ』の時みたいなアコースティックっぽい奴をつくろうよって話になってスタジオでリハをやり始めたんだよね。そうこうしているうちに「ベース欲しいね」とか「リズム欲しいね」って話になって、じゃあSHERBETSでいいじゃんって感じで、8月ぐらいからメンバーで集まるようになったね。