UH流プロジェクトの進め方。

ー あらためて伺いたいのですが、〈ウルトラヘビー〉名義で動く場合、プロジェクトはどのように進んでいくのでしょう。
石川:完全にいい加減なんですよ。だいたいおれが言い出しっぺで、ふたりに「やんない?」って。まあ、説得って感じですよ。
ー 今回で言えば「ヨギ アーツフル」というモデルだけ決まっていて、そこからテーマを詰めていくような……。
石川:〈キーン〉はアメリカの企業なんで、(発売の)1年以上前から動くんです。なので、テーマなんて言ってる場合じゃなくてさ、ふたりには「勝手にどうぞ」って。〈ウルトラヘビー〉を始めた頃から、そのスタイルは変わってないんだ。ただ言い出しっぺで、なんとなくキャプテンシーを持ってるのは、ぼくってだけで。
鵜飼:逆におれと神山くんは、なにをつくってるのかも半分よくわかってない。
石川:そうそう。とりあえず神山くんに「スプレーでもなんでもいいから、描けよ」って言って。で、スプレーしてもらったのをぼくらが勝手な意図で使う。江藤くんに対してもそう。神山くんと豊田さんの作品を渡して「自由にお願いします」。
鵜飼:ぼく、実はちょっとめんどくさい作業をしていて。神山くんの作品を全部パスデータにしてるんです。

ー 神山の作品ということは、スプレーで描かれたものということですよね?
鵜飼:〈キーン〉は毎シーズン、本国が選んだ特色のキーカラーがあって。だから、もとは神山くんの絵(色)なんだけど、〈キーン〉のキーカラーから選んだものに変更しています。
石川:「神山・鵜飼・石川」のバランスじゃないと、それもできないよね。だって、叱られるもん。

鵜飼:勝手にパスデータにして、色も変えてますからね。そもそも一枚絵としてじゃなくて、素材にしちゃってるので。
石川:普通だったら「もう、お前らと仕事しない」くらいのけんかになるはずなんだけど。だから、おれたち3人のバランスじゃないとそれはできない。「シャンティ アーツ」の方も、江藤くんと豊田さんじゃないとできない。で、そこに神山が入る。実は豊田さんと神山、最近仲良くて。違うテイストのふたりなんだけど、実はお互い尊敬があって、だから全然許される。
逆にいうと反則ばっかりですよ。許してもらってるっていうね。でも、いままでの展覧会もさ、基本的にはおんなじなんだよ。ちょっといい加減な方がいいんだよ。でも、最後にデザインする人たちが大変だとおもう。