二極化していくアウトドアスタイル。
MONTHLY JOURNAL May. 2022 vol.1

新潟県の燕三条にある〈スノーピーク〉の本社「スノーピーク・ヘッドクォーターズ」。ここは何も本社の機能だけではなくて、社屋横には広大なキャンプサイトがあり、世界中からキャンパーやスノーピーカー（スノーピーク愛好家）が訪れます。そして、同じ敷地内に今年の4月にオープンしたのが複合型リゾート「スノーピーク フィールド スイート スパ ヘッドクォーターズ」。

レストランや温泉、サウナ、そして客室もある至れり尽くせりの場所であるのだけど、アウトドアとのつながりがたしかに感じられます。言うなればグランピングの最上級。

建築を手がけたのは、これまでも〈スノーピーク〉の施設を何度も手がけてきた隈研吾さん。事前視察に訪れたときに「キャンプといえばやっぱり薪だろう」ということで、天井に薪を配するアイデアが浮かんだそう。壁にも土が多く採用されていたりして、自然素材がふんだんに使われています。

施設最大のウリが温浴施設。「たまたま堀ったら温泉が湧いた」という幸運もあって、100％自家源泉を楽しめます。大きなガラス窓からは日本三百名山である粟ヶ岳が一望でき、温浴施設でありながらビュースポットでもあるのです。ここに滞在するなら、焚き火のにおいと汗に包まれて眠る、なんてこともせずに済みます（あれはあれでいいのだけど）。

そして、みんな大好き、フィンランド式サウナも併設。サウナのために生み出された人工石「ケルケスストーン」がサウナ中央に焚き火のように鎮座し、遠赤外線効果で体を芯からあたためてくれる。そしてガラス窓から望む大自然。ととのわないはずがないっす。

レストランはなんと、「ミシュラン」で三つ星の評価を得る「神楽坂 石かわ」が協力しています。新潟の地のものを使ったメニュー構成で、アラカルトでもコースでも注文可能。ワインのラインナップも豊富に揃っています。何度もいいますが、ここは大自然のど真ん中。

客室はヴィラ棟とモバイルハウスの計7棟。より豪華なヴィラ棟は、ホテルエントランスにも使われていた薪の天井が採用され、一面ガラス張りの窓からは四季折々の自然を楽しむことができます。ほかにも、名栗フローリングをはじめとした自然素材が部屋中に配されていて、アウトドアの空気がいたるところに散りばめられています。完全個室の露天風呂も完備。

10年前から構想をはじめ、贅をつくした〈スノーピーク〉の新施設。自然との共生は、なにも過酷な環境である必要はなくて、こんなラグジュアリーな施設でだって十分に可能なんです。快適な場所で自然に触れて、それが、のちのキャンプ人口の増加にもつながっていけばという願いも込めた、新たなデスティネーション。

たぶん、いまの盛り上がりは終わりを迎えるのだろうけど、形を変えたアウトドアのスタイルが、これからも〈スノーピーク〉から発信されていく。