PROFILE

駅伝の名門、佐久長聖高校出身。早稲田大学に進学するも箱根駅伝は目指さず、走ることを楽しみたいという想いで陸上競技同好会に所属。在学中に「日本山岳耐久レース」でコースレコードを記録し、世界の舞台へ。より競技性が高く標高の高い山で行われる「スカイランナー・ワールドシリーズ」2019年総合優勝、2021年開催の「2020スカイランニング世界選手権」バーティカル優勝、スカイ3位(複合優勝)。
現役第一戦のアスリートが手掛けたアパレルライン。

上田瑠偉さんが今季からスタートさせたオリジナルブランド、〈Ruy〉。ヨコ乗り系やエクストリーム系のスポーツでは例があるけれど、タイムを競うようなスポーツ、かつ第一線で活躍する現役のアスリートが自身のブランドを手掛けるとなると、実はほとんど先例がないんです。
「昨年、トレイルランを始めてからずっとお世話になっていたコロンビアさんとの契約に一区切りつけさせていただきました。そこには色々な想いがあるのですが、トレイルランナーなのに、メインのアウトドアメーカーを外すというのは、我ながら大胆な決断だったと思います(笑)」
と上田さん。そこでちょっとした懸案事項が浮上しました。
「単純に、着る服に困ったんですよね。ウェアを展開しているメーカーからのスポンサードを受けていないぶん、どこか特定のメーカーのウェアは着づらいと言いますか、選びにくくって」

「誤解を恐れずに言えば、今のスポーツ素材のウェアはどれも高品質なので、大きくは変わらないと思うんです。防水機能を持つレインウェアなら各社ごとに特徴がありますけど、それ以外は、機能面ではさほど優劣がつかない。それなら自分で作って、着たいデザイン、カラーリングでやりたいな、と」。
とはいえ、服作りの知識も経験も乏しい現役のアスリートとして、ゼロベースでオリジナルブランドを立ち上げるのは至難の業がすぎる。懇意にする税理士からも止められたのだそう。