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音もアートもヴァンズも一緒くたに謳歌した、グリーンルーム フェスティバル’22 回想録。
The festival is back!

音もアートもヴァンズも一緒くたに謳歌した、
グリーンルーム フェスティバル’22 回想録。

夏の訪れを感じさせるイベントは数あれど、初夏の太陽の下で開かれる「グリーンルームフェスティバル(GREENROOM FESTIVAL)」はやっぱり格別。去る5月28日(土)から「横浜赤レンガ倉庫」で開催された2日限りの祭典は、熱いライブやイベントで連日大盛り上がりを見せました。毎度好評のフリーエリアには無数のブースが立ち並び、〈ヴァンズ〉がサポートしたアートエリアでは総勢24組によるアートワークが展示されるなど、どこをとっても絵になる都市型フェスの決定版。そんな活気に満ち溢れていた「グリーンルーム フェスティバル'22」初日の模様をレポート!

シューズボックスでアートを表現する意義。

PROFILE

平沼久幸
イラストレーター

1985年、東京都生まれ。大手セレクトショップやアパレルメーカーでPRを務めた後、2019年よりイラストレーターとして独立。フイナムをはじめ、ファッションメディアや書籍を中心にイラストを寄稿。〈MOUNTAIN RESERCH〉や〈UNIQLO〉、〈HAMILTON〉など、クライアントワークも多岐に渡る。
Instagram:@hiranuma_hisayuki

PROFILE

Gramas
イラストレーター

2016年にカリフォルニアで描いた「iphoneman」でデビュー。その後、活動の拠点を東京に移し、雑誌POPEYEへのイラスト提供やアパレルブランドとのコラボレーションなど幅広く活動中。独学の“下手ウマタッチ”なイラストが特徴。
Instagram:@graphicmaster_koba

PROFILE

Kota Toyoda
アーティスト

1991年、大阪生まれ。15歳から作家活動を始める。主に星空や宇宙をテーマにした作品を製作。2017年に「Nepenthes New York」で初の海外個展『Home At Last』を行う。2020年には「BEAMS JAPAN B GALLERY」で展覧会『STAR CHILD』を開催。現在、その巡回展『STARCHILDREN』を大阪の「Chignitta Space」からスタートさせ、6月には東京の下北沢「reload」で開催予定。
Instagram:@kota_toyoda

左から、Toyodaさん、Gramasさん、平沼さん

ー オファーを受けた時の率直な感想を教えてください。

平沼:まさか、あの〈ヴァンズ〉さんからオファーが来るなんて想像もしてませんでした。素直に嬉しかったです。オフィシャルで堂々と“VANS”って文字を書けて、作品にできるなんて光栄すぎますよね。

Gramas:ぼくは平沼さんとは違って、正直怖さがありました。なぜかというと、ぼく自身、スケートカルチャーやサーフカルチャーを通っていなかったから。でも、6人のアイコンについて調べているうちに、それぞれの人となりやカルチャーを知れて、結果的にとても良い経験になりました。

Toyoda:ぼくもGramasさんと同じようにスケーターではないけれど、〈ヴァンズ〉の靴は小さい頃から履いてきたので、純粋に嬉しかった。スケートカルチャーを自分のフィルターを通して表現するなんて、あまりない機会なので。

平沼:あと、会場には大先輩方のアートも一緒に展示されているので、それに負けない作品をつくろうって意気込みで挑みました。キャリアも若い3人が組むからこそ、〈ヴァンズ〉さんからの期待に応えたかったんです。

ー 作品はどのようなイメージで制作したのでしょうか?

平沼:「現在」「数年前」「若い頃」といった3つの時系列で6人の顔を描きました。なので、縦に並ぶ3人は同一人物。あとは大好きなチェッカーフラッグの作品をどうしてもつくりたかったので、お願いして描かせてもらいました。

Gramas:普段はボールペンと水彩画を使ってイラストを描いているのですが、その方法だとシューズボックスにインクが乗りづらいので、スケッチブックにペイントしたものを箱に貼り付けました。「グリーンルーム」のピースフルな雰囲気をイメージして、色合いもあえて明るくしています。

Toyoda:スケーターの動きを研究して、デッキが動く躍動感や髪の毛がなびく様子を、筆で描いたり、絵具を飛ばすドリッピングという技法で再現しています。普段から星をモチーフにした作品をつくっていて、今回は箔押しで星を表現しました。額も家に飾りやすいように、白にしているんです。

ー 廃棄されたシューズボックスで作品をつくってみて、感じたことはありますか?

平沼:選ぶシューズボックスによって表現方法が異なってくるのが面白いなと思いました。ぼくの場合だと、人物によって柄を斜めに入れたり、無地にしてみたり… 使用する側面を変えてみる面白さがあるんです。

Gramas:ぼくも平沼さんと同意見ですが、シューズボックスでも選ぶ柄によって、見え方が変わってくることに驚きました。サイズなどが記してあるシューズデータの箇所を上手にはめ込んでいる平沼さんの作品を見て、「なるほどなぁ」と関心しましたね。

Toyoda:若い頃、キャンバスを買うお金がなくて、段ボールに絵を書いていたことを思い出しました。それと、凸凹になっていないシューズボックスをチョイスすれば、綺麗に箔押しできることは新しい発見です。

ー 平沼さんは、シューズボックスの作品に加えて、写真を使ったモザイクアートも制作されたそうですね。

平沼:「グリーンルーム」らしく、サーフカルチャーと音楽をイメージしたイラストを描きました。お客さんがその場で写真を撮って、その写真を貼り付けていくことで一枚のアートになるという構成です。

ー 写真はどれくらい必要なんですか?

平沼:300枚くらいですかね。全部埋め尽くすと、サーフボートを抱えたサーファーと車のトランクに山積みになった〈ヴァンズ〉のスニーカーが出てくるんです。スケジュールは泣きそうになるくらいタイトだったんですけど(笑)、実際にお客さんが参加して、楽しんでいる姿を見れて何よりです。

ー 最後に、今日皆さんが履いているモデルと、〈ヴァンズ〉とのエピソードを教えてください。

平沼:ぼくが履いている「オールドスクール」(写真左)は、「Anaheim Factory Collection」の一足。1966年の創業当時、カリフォルニアのアナハイム工場で製造されていたオリジナルモデルをアップデートしたものです。思い入れのある〈ヴァンズ〉は、ファッションを好きになり始めた中学生の頃に古着屋で見つけた、先端が赤いチェッカーフラッグの「オールドスクール」。それを買って帰ったら、祖母にめっちゃ褒められたんです。それが嬉しくて、ボロッボロになるまで履いてましたね。

Gramas:ぼくのも平沼さんと同じモデルです(写真右)。インソールに「OrthoLite」を使っているので、とても歩きやすい。〈ヴァンズ〉との思い出は、20歳の頃に愛用していたデニム素材の「オールドスクール」を、スニーカー好きの大人達に褒めれたこと。古着屋さんの卸を営んでいる人からもらったんですけど、結構レアなモデルだったみたいで。あまりにも履き潰してしまったので、もう手元にないのですが(笑)。

Toyoda:これはサスティナブルライン「ECO THEORY」の「オールドスクール」です(写真中)。ソールのデザインやステッチの入り方が斬新ですよね。お気に入りの〈ヴァンズ〉は、家族ぐるみで仲の良い、カルフォルニア在住のアートの先生から譲り受けた一足。「VAULT」シリーズのもので、アッパーがレザー素材なんです。カジュアルなのに品があるので、セットアップに合わせていまだに履いています。

Gramas:ところで、平沼さんのシューズの履き方、カッコいいですね。シューレースを結ばないで、ゆるくフィットさせる感じ。ぼくも踵を踏んで履いてみようかな。

平沼:無理にキャラ付けしなくていいから(笑)。

3人の鼎談はこれにて終了。作品の個性も表現方法も異なる彼らが言葉を揃えていたのが、状態のいい綺麗なシューズボックスを選別し、用意してくれた、〈ヴァンズ〉のスタッフやショップスタッフへの感謝でした。

アーティストのアウトプットだけでなく、色んな人達の想いやプロセスがあるからこそ、このような形で実現されたサスティナブルなアートワーク。彼らの作品が、人々の手に渡り、末長く大切にされることを願います。

INFORMATION

VANS JAPAN

電話:03-3476-5624
オフィシャルサイト
※撮影時にのみマスクを外しています

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