PROFILE
1980年生まれ、東京とニューヨークで育つ。97年に歌手デビュー。近年は音楽活動に加え、執筆、ナレーション、俳優など表現の幅を広げ、ラジオでは「TOKYO FM」他、全国ネットの「ディアフレンズ」のパーソナリティを2011年より担当。動物愛護の活動に長年携わり、愛猫「サバ美」が話題になるなど大のネコ好きとしても知られる。
@miu_sakamoto
なまこちゃんと、著書のこと。
ー 美雨さんはミュージシャン以外にも、多岐に渡って活動されていますが、いまのお仕事の割合はどんな感じなんですか?
美雨:明確には決まっていませんけど、ラジオ「ディアフレンズ」は月曜から木曜なのでそれは毎週必ずあって、その合間に執筆をしたり、時期によってレコーディングや舞台に集中する期間がありますね。
ー 今年は「フジロック」にも、おお雨(おおはた雄一+坂本美雨)として出演されますしね。
美雨:そうですね。「フジロック」に来た際は、ぜひ見にいらしてください。

ー 最近は著書『ただ、一緒に生きている』を刊行されました。内容を教えていただけますか?
美雨:「東京新聞」で2016年から子育ての連載をしていたんですけど、その内容に加えて書き下ろしもたくさんあります。子育てといっても、娘の成長記録というよりも、自分の心に残ったモヤモヤしたこととか、あれは正しかったのかなとか、あんな表情はじめて見たなとか、そうした微細な出来事を深掘りしたエッセイになってます。

「東京新聞」で2016年から連載されている子育てエッセイが、大幅な書き下ろしを加えて待望の書籍化。 ひとり娘・なまこちゃん(愛称)が0歳の頃からはじまり、保育園の卒園までを見守った6年間。書き下ろしでは、美雨さん自身の生い立ちも綴られている。¥1,780(光文社刊)
ー 装丁もとても素敵です。
美雨:ありがとうございます。大尊敬している服部(一成)さんにお願いしたんです。
ー もともと、服部さんとはご縁が?
美雨:ずっと服部さんのデザインが好きで、いつかお仕事できたらと憧れていました。実は私の夫がもともと服部夫妻にお世話になっており、娘同士が誕生日が近く幼なじみだったり、奥様でアーティストの前田ひさえさんと私もコラボレーションさせてもらったり…家族ぐるみで仲良くさせていただいています。
ー 日々、忙しくされているなかで、原稿はどのように書いていたんですか?
美雨:いつも原稿の締め切りに迫られていたので(笑)、移動中の電車の中や、子どもが寝静まった後にスマホで書いていました。

ー 著書の中でも書いていましたけど、娘さんの写真は6万枚くらいあると。
美雨:いまは…えぇと、16万枚ですね(笑)。動画も2万本弱。素人なのにクラウドの容量は無制限です(笑)。
ー 娘さんの愛称である「なまこちゃん」って名前も愛らしいなと。
美雨:もともと胎児ネームなんです。まだ形がはっきりしていないエコー写真を見たときに、なんだかヌルッとしてそう…と、なんとなくなまこになって(笑)。
ー なまこちゃんの言葉が巻末のほうに掲載されていましたけど、その言葉にはハッとさせられました。
美雨:「キスするとき斜めになるの、どうして?」の部分とかね(笑)。

ー そうですそうです。「好きなようにします!」とかですね(笑)。自主性を重んじた子育て方法だなと思ったのですが、逆になまこちゃんに「それはやっちゃダメ」と教えたことはありますか?
美雨:「火は使うな」ですね。あるとき、私がまだ寝ている時に自分でトーストを焼こうとして慌てたことがありました。最近はコーヒー豆を挽いて淹れてくれたりもします。それが自分で淹れるコーヒーより美味しいんです。
ー 本を刊行されてから、反響はありましたか?
美雨:想像以上の反響をいただきました。ファンの方からたくさんの感想をいただいたり、私や娘を直接知っているひとたちからも「感動した」と連絡をもらったりしています。実際に本屋さんで手に取っている方の姿を見ることもあって、本当に嬉しいですよね。
ー 実は、私も町の本屋さんに行ったら売れ切れていて、3軒目でやっと購入できたんです。
美雨:えー!ありがたいです…。ぜひ書店員さんに、「売りきれてます!」って声高にお願いします(笑)。