コミュニケーションスペースとしてのショップを理想に。
「スローテンポ」はどのような思いが込められて造られた空間なのか。ここで扱われているプロダクトはどんなブランドで、今後はショップとしてどんなことを行っていきたいのかについて、ここからはオーナーの小野寺さんにお話を伺いました。
PROFILE
SLOW TEMPO Owner
DELTA co,jtd CEO
「スローテンポ」のオーナーであり、〈メイプル〉や〈メロウピープル(mellow people)〉など、そこから派生するラインのすべてのデザインディレクションを行う。同時に〈サルベージ パブリック〉といったインポートブランドのディレクションにも携わりつつ、ディストリビューションやプロモーションを行うなど、その活動は多岐に渡ります。
ただのお店ではなく、地元の人や友人との交流の場に。
ー「スローテンポ」で扱っているブランドや物について教えてください。
小野寺:まずは、自社ブランドの〈メイプル〉とホノルルのブランド〈サルベージ パブリック〉を中心に、その世界観に合うアイテムを扱っています。次の秋冬シーズンからはノルウェーの〈ウーバー(UBR)〉というブランドも扱う予定です。一部、古着も置いていて、これは友人が買い付けてきたプロダクトを僕の方でセレクトして置いているんですよ。たまに自分の私物もこっそり置いています(笑)。
ー一部〈メイプル〉や〈サルベージ パブリック〉のサンプルも置かれているのだとか?
小野寺:はい。出せるものはリーズナブルな価格で陳列しています。普通はシーズン終わりに行われるサンプルセールも、うちではオンシーズンでやっているんですよ。5月にSSをやったり、9月にAWものをだしたり。先日のサンプルセールも多くの人が来てくれて嬉しかったですね。お客さんも喜んで着てくれているようです。
ー「スローテンポ」がオープンしたのは今年の1月ですが、どういう流れでスタートしたんですか?
小野寺:「スローテンポ」は〈メイプル〉の旗艦店でもあるんですが、前段としてオフィスの移転があったんです。昨年までは渋谷にショウルームとオフィスを構えていて、契約更新のタイミングで、ちょっと離れた場所に移動したいと思って場所を探したんです。
ーあえてオフィスを渋谷から離そうと思ったのはなぜですか?
小野寺:渋谷はファッションシーンの中心地なので、他の場所を回るついでにうちへ来てくれるバイヤーさんも多かったと思うんです。だけど、少し離れた場所であれば、わざわざ行こうと考えなくては行くことができないじゃないですか。明確な目的を持って来てくれる人と、しっかり向き合うスタイルの方が良いと考えたんです。
ーそこで駒沢を選んだのはどういう理由があったんでしょうか?
小野寺:なかなかいい場所が見つからなかったところで、この場所が偶然ポンと見つかったんですね。ぼくは駒澤大学出身で父親もこの辺りの出身だったので、駒沢で場所が見つかったというのも、何かのご縁だろうと思って決めたんです。渋谷よりはゆっくりのんびりできるだろうと思って。
ーでは、最初はオフィスを運営するために移転された場所だった?
小野寺:いえ、純粋なオフィスとしてだけではなくお店もやろうと思っていました。ただ、通常のセレクトショップとはちょっと異なっていて、内容的にはインポートや自社ブランドの卸しがメインになるので、ぼくとしてはコミュニケーションスペースだと考えているんですよね。色んな人と触れ合う場所になればいいと考えています。
ーどのような運営スタイルを取っているんですか?
小野寺:基本的には、週末の3日間と隔週で水曜だけ営業するという形を取っています。お店ではあるんですけど、洋服を積極的に売り捌いていこうというスタンスではなく、のんびり楽しくニュートラルに。まさにスローテンポにやっていきたいと思って。この店名には、ぼく自身が自分のペースでゆったりと生きたいという思いも込めているんですよ。
ーミニマルにまとめられた空間が非常に心地よい店内ですが、ショウルーム兼ショップ的な雰囲気もありますね。
小野寺:まさにそうですね。シーズンの立ち上げ時期には内装を変えて、裏に置いてあるサンプルをバーっと並べて展示会を行ったりもしているので、ショウルームとしても機能する場所として使っています。ただ、いかにも入りにくい綺麗過ぎるショウルームという感じにはしたくなくて、フランクに入れるような空間作りにしたいと考えています。