どう⾜掻いても俺の⽅がヒップホップなんで、無理する必要が無い。
ーでも、そういうヒップホップの王道的な部分には親和してるのに、C.O.S.A.さんの姿勢はニュートラルですよね。好きゆえにステレオタイプのラッパー像を⽬指す⽅も多い中で。
すごくデカいことを⾔ってるように聞こえるかもしれないけど、どう⾜掻いても俺の⽅がヒップホップなんで、無理する必要が無いって感じですね。誰がどれだけ派⼿に「俺がヒップホップだ!」って⾔ってても、絶対俺の⽅がヒップホップなんで。だからそのままです。
ーそこでことさらラッパーぶったりする必要も無いと。
というか、ラッパー以外の何者でもないですからね。良い意味でも、悪い意味でも。
ーでも世の中の⼈たちはそれを指してリアルだと⾔うんじゃないでしょうか。
それはありがたいですけどね、全然意図はしてないです。
ーいまのヒップホップシーンはフレッシュな⾳楽や尖ったスタイルが続々と出てくる⼀⽅で、ファッション⾯ではハイプなゲームが盛り上がりがちですが、それについてはどう感じていますか?。
確かに、⾼級ブランド対決みたいになってますよね。“ハイプ”をどこで線引きするかによるんですけど、その対決になってからはちょっとつまんないです。いまはアメリカ⾒ててもブランド品でロゴがバン! と⼊ってるものを着てりゃいいっていう⾵になってるんで、それはあんまり⾯⽩くない。そういう意味ではUKの⽅がファッションも⾯⽩いかもしれないですね。
ー近年だと〈アヴィレックス〉と〈パレス(PALACE)〉のコラボも話題になりましたけど、あれは〈アヴィレックス〉がグライムの流れにも組み込まれていることの象徴的なエピ ソードでしたよね。
そうですね。やっぱりイギリスの奴らも憧れてるんだな、って感じです。ミリオンズが去年の冬に〈アヴィレックス〉を着てて、それには凄いアガった。しかもアメリカにレコーディングに⾏ったときに買って着てたみたいで。それがすごいフレッシュでしたね。
―そういう個性のアウトプットの⽅が、単純に新鮮な驚きがありますよね。
⾼級ブランド対決になってからは、ラッパーたちがイケてるファッションをつくり上げる上で考えるのをやめたっていうイメージです。それこそスキーマスクとかだってそうだけど、みんな⼯夫して⾝近にある安いものでフレッシュな格好をするゲームだったのに、ただ⾼いもんを着てりゃいいみたいになったのがつまんないなって思います。でも⼀昨年くらいかな、〈アヴィレックス〉のレザージャケットがいろんな⾊でバーっと出た時はすごく楽しかったですね。 デイヴ・イーストはグリーン、ベニー・ザ・ブッチャーはオレンジみたいに、みんな違う⾊の〈アヴィレックス〉を着てて。
ー元々はユースカルチャーの側⾯が強かったヒップホップですけど、いまは年齢よりもイメージのフレッシュさの重要性が強まって来ていますよね。
そうですね。歳とかは全然関係無いと思います。単純にもう才能っていうか、やれるヤツはやれるし、頑張れない奴はどう⾜掻いても無理っすね。⾃分に関して⾔えば、年齢に応じた、歳相応のラップを、っていうのは意識してるかもしれないです。
ーでは、ラッパーとして歳を重ねることに対してネガティブな感覚っていうのは無いですか?
全然無いですね。⽥我流とかMONJUとかAK(-69)さんとかみんな40歳過ぎても全然現役でやってるんで、そういう先輩のラッパーを⾒てると、むしろいまは楽しみです。40代になったら、⾃分は何を歌うのかなとか。
―たしかにそれは楽しみですね。直近のビジョンやご予定についても聞かせていただけますか?
11⽉に初めてワンマンで全国ツアーをやります。福岡が始まりで、⼤阪、名古屋、渋⾕の「O-EAST」がファイナル。ツアー前には何かしら⾳源も出す予定です。シングルはもうミックスも終わっていて。
―新譜の内容、実際聴く前に少し教えていただけますか?
ラッパーについて歌ってます。さっきも⾔いましたけど、俺にとってはラッパーが⼀番格好良くて、ラッパーが最強だと思ってるので、それについていろんな⾓度から歌えたらなと思ってつくりました。⾃分が思う格好いいラッパーとか影響を受けたもの、⾃分がラッパーとしてどういうことを考えてどういうことをやんなきゃいけないのかとか、そういうことをテーマにしてます。
ーリスナーからしたらその新曲とツアーが、“職業 Rapper”のC.O.S.A.さんを始めてしっかり⽬の当たりにできる機会ですね。
確かに。アーティストとして歳を追うごとに成⻑していくには、踏まなきゃいけないステップですね。レーベルのみんなは先にそれをやってるんで、⾃分も頑張らなきゃなと思ってます。