傷がついてもそれが味になって、
育てていく感じが新鮮で面白い
ー久々に履かれてみて、率直な感想を教えてください。
大橋: 履き心地については、正直こんなに良かったかな? っていうぐらい良いですね(笑)。僕は勉強がてら革靴とかいろんなブーツにも足を入れて試すんですけど、〈ティンバーランド〉のブーツは硬いアスファルトの上でガンガン履いてても疲れないんです。本当にスニーカーの延長で履けるのが魅力で、 この靴も見た目は割とかっちりしたブーツなんですけど、改めて履いてみるとやっぱり〈ティンバーランド〉だなと思いますね。歩きやすくて、全然疲れない。グリップもしっかりしているんでアウトドアフィールドでも安心して履けました。
ー機能面もしっくり来たんですね。
大橋: 他にない魅力がこのフックで、クイックリリースができるからキャンプとかで履くのにいいなと思いました。いちいちブーツの紐を通して抜いてとかって大変なんですけど、これは引っ掛けていくだけなんで着脱がすごい楽。今まで「ユーロハイカー」を野外で履いたことはなかったんですけど、レザーが水を弾くから水辺で遊んでても足も濡れなかったですし。これはカラーの問題ですけど汚れも気になりにくいので、アウトドアでもガンガン気にせず履けるなって。
ーすごくアメリカらしいカラーウェイですよね。
大橋: そう思います。イエローヌバックももちろんアウトドアに履いていけるブーツだし、履き古して汚くなったものも格好いいんですけど、どうしても自分が好きなカルチャーだとあれはいかにピンピンの状態で履くかというところに気を使うので実際にアウトドアで履くには躊躇するんです。でも、「ユーロハイカー」は細かい傷とかがついてもそれが味になっていくから、むしろそうやって育てていく感じがすごく新鮮で面白いなと思います。
ー大橋さん達が日本で広めたNYローカルの表現で、 “ビーフ&ブロッコリー”というカラーネームがあると思うんですけど、この「ユーロハイカー」はそれとはまた少し違う色合いですよね?
大橋: またちょっと違うと思います。茶色とオリーブグリーンのもの全部が“ビーフ&ブロッコリー”というカラーだと思われがちなんですけど細かく言うと差異があって、“ビーフ&ブロッコリー”は「フィールドブーツ」のあのカラーだけだと思います。例えばほぼ同じカラーウェイの6インチブーツが出るんですけど、それのことはみんな“モブ・ディープ”って呼ぶんですよ。その理由がモブ・ディープのセカンドアルバムでプロディジーが履いてる色だから、っていう理由なんですけど。後は“ヘーゼル ハイウェイ”っていうカラーリングもあるんですけど、それはみんな“ヘーゼル”って呼んでたり。だけどこのカラーもやっぱり〈ティンバーランド〉のヘリテージのひとつだと思うし、少なくとも「ユーロハイカー」と聞いて自分が思い出すのは、このカラーです。
ー〈ティンバーランド〉に限らず、大橋さんは実際にプロダクト本来の用途を認識してそれを試されている印象があるんですが、 昔からそうされていたんですか?
大橋: それは自分で店を始めてからですね。自分たちは小売店なので、物を売るときにはあらゆるお客さんに対応しなきゃいけないな、っていうのはずっと思っていて。例えば〈ティンバーランド〉のブーツをカルチャーだったりヒップホップだったりっていう側面からだけお客さんに説明したとしても、それを山で履きたい人から「山で履いたらどうですか?」って聞かれたときに答えられないのは小売店としてレベルが低いかなと思うので。自分たちとしては街で使うものでも本来山で使う目的で生まれたものだったら、一回山で使ってテストしてみるようにしています。そうすると何かしらのフィードバックがあって、やっぱり本来の目的通りに使うと自分でも満足度が高いし、お客さんにもそういう風に使ってもらいたいという気持ちもあるので。