ニューヨークのやつらに聞くと、
やっぱり「これはニューヨークのものだ」って

ー大橋さんはそういう本来の用途からフリップして別の魅力が生まれることに対して「文字化け」という言葉を使われていると思うんですが、そういう意味では今日のシチュエーションでの「ユーロハイカー」の使い方は、文字化け前の本来の使い方に近いんじゃないでしょうか?
大橋: そうだと思います。自分は「ユーロハイカー」に限らず紐はダルダルで履くっていうカルチャーで育ってきたんですけど、 今日「ユーロハイカー」を履いていて面白いなと思ったのが結び目を変えずに普段も山道もいけるっていうことでした。結び目を解かずに上のフックの部分だけ外すとダルダルになるし、そのまま山道を歩こうと思ったらただ引っ掛けるだけでそのまま行ける。それもこのブーツならではだなって。

ーシューレースをかなりユルめにする履き方は大橋さんたちらしいスタイルですよね。
大橋: 実際にニューヨークとかでもそういう履き方をしてる人は多くて、特に〈ティンバーランド〉はそれ以外にも履き方に個人個人の癖があったりとか、いろいろスタイルが現れるので見てて面白いですね。
ーやっぱり〈ティンバーランド〉についてもニューヨークの街から得たインスピレーションは多かったんですか。
大橋: そうですね。それこそまだ現地に行ったことがまだなかった頃、Nasの『The World Is Yours 』のリリックで、“Nikes”の部分がリミックスだと“Timb’s”に変わってたりとか、ビギーのファーストのなかでも “Timbo &Gilbaud”と だとか、“Polo&Timbo”とかっていうリリックが出てきたりして、〈ティンバーランド〉はポロとジルボーに合わせるんだなとか、そうやってイメージしていて。そこからかなり時間が経って実際にニューヨークに行ったとき、いろんなファッションが変わって当時みたいにバギーデニムを穿いてる人はいなくなってたんですけど、〈ティンバーランド〉だけは形も全然変わってないのにずっと皆が履いているのを見て、本当にアイコンなんだなと思いました。ニューヨークのやつらに聞くと、やっぱり「これはニューヨークのものだ」って言うし、ニューヨーク・プライドという感じがします。冬にマンホールから蒸気が出てて、その横をいろんな人が〈ティンバーランド〉を履いて歩いてるっていうあの光景がニューヨークっぽくて、自分は今もずっとそこに憧れています。
