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あの人の、東京イースト・サイド物語 Vol.1 〜Single O 山本 酉編〜
Is East Tokyo hip?

あの人の、東京イースト・サイド物語 Vol.1 〜Single O 山本 酉編〜

オフィス街の印象が強い一方で、下町情緒溢れる街並みも広がる。老舗の飲食店はもちろん、クリエイターが集まる気鋭のカルチャースポットもたくさんある。日本橋は、知れば知るほど魅力的なエリアです。そこで活躍する人たちは、なぜ日本橋を拠点に選び、どのように過ごしているのでしょうか。今回は、シドニー発のロータリー「シングル オー 浜町(Single O hamacho)」代表の山本 酉さんに、ご自身のショップや周辺にあるオススメの3店舗を紹介してもらいます。

偶然出合った一杯のコーヒーが、人生を変えた。

日本橋・浜町(はまちょう)と聞いて、あなたはどんなイメージが浮かびますか?

「明治座」「浜町公園」「 甘酒横丁」「隅田川」… 真っ先に思い浮かぶのは、この辺りでしょうか。自然豊かで、レトロな街並みが残る街。そんな印象のある浜町に、いま、個性豊かなショップが続々とオープンしているのです。

今回お邪魔した「シングル オー 浜町」もそのひとつ。オーストラリア・シドニーにおけるサードウェーブコーヒーの先駆け的ショップ「シングル オー」。その日本初の旗艦店として2021年10月に誕生したのが、このお店です。

代表を務めるのは、本国シドニーで7年間の経験を積んだのち、ディレクターとして「シングル オー」を日本進出させた山本 酉さん。「シングル オー」との出合いは、至極、偶発的なものだったと振り返ります。

「20代半ばで仕事を辞めて、いまの奥さんと世界一周バックパックの旅に出かけました。意気揚々と旅立ったものの、半周した時点で資金が尽きてしまって。そこで、最終地点に決めていたオーストラリアへひとまず入り、ワーキングホリデーでお金を貯めることにしたんです。

そんなとき、求人サイトで見つけたのが、『シングル オー』の皿洗いの募集。カフェで働いたこともなければ、『シングル オー』についての前知識もゼロ。何も知らないまま、異国の地でのバイト生活が始まりました」

山本さんが働き始めた2007年当時から、シドニーのガイド誌でトップロースターに選出されるほど有力店だった「シングル オー」。店内は絶えず賑わっていて、一日中食洗機を回し続けるような日々が続いたそう。慣れない環境のなかで山本さんのモチベーションを支えたのは、賄いで飲む一杯のコーヒーでした。

「忙しいなかでも、賄いで出されるコーヒーを飲むことが日々の楽しみになっていました。そして徐々に、この味を日本にも広めたいと思うようになったんです。当時、ラテアートが流行り出していたこともあり、まずはこれをつくれるようになろうと、仕事終わりに練習するようになりました。そんなぼくの姿勢を認めてくれたのか、次第にバリスタとしての仕事を任せてもらえるようになったんです」

「その後はキッチンの仕事も担当させていただきました。カフェの仕事を一通り覚えたタイミングで、うちのボスに日本展開の相談をしたんです。そしたら、『焙煎からできないと、日本でやる意味がない』と一言。そしてまた勉強の日々が始まります。品質管理のチームに入れてもらって、焙煎について一から学びました」

それから3年の修行期間を経て、2014年、海外初となる焙煎所「シングル オー ジャパン」を両国にオープン。コーヒーフェスへの出店やカジュアルダイニングレストラン「ビルズ(bills)」への卸がきっかけとなり、国内での知名度を徐々に獲得していきます。日本でのビジネスが軌道に乗り始める一方で、地域住民にも開かれた空間にしたいとの思いから、2017年からは、週末限定のコーヒースタンド営業もスタートさせました。

そして4年後の2021年、待望の旗艦店「シングル オー 浜町」をオープンします。

INFORMATION

Single O Hamacho

住所:東京都中央区日本橋浜町3-16-7 スプラウト日本橋浜町 1F
時間:7:30〜19:00 ※土日は8:00オープン
Instagram:@single_ojapan
オフィシャルサイト

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