PROFILE

スタイリスト 片貝俊さんのアシスタントを経て、2018年に独立。主にメンズファッション誌やブランドのカタログで活動中。スポーツやミリタリーといった男性的なアイテムをクリーンなスタイルに落とし込むのに定評がある。好きなサッカーチームは、ドイツの強豪『バイエルン・ミュンヘン』。
街着としてのトラックスーツ。

H:「アディダス スポーツウェア」からリリースされたトラックスーツコレクション「TIRO」のプロモーションビジュアルで、スタイリングを手がけた泉さん。今回は、2つのキーアイテムを使用したコーディネートの解説はもちろん、〈アディダス〉にまつわるカルチャーやサッカートークを交えながら、お話を伺いたいと思います。

泉:よろしくお願いします!

H:まず、〈アディダス〉にはどんな印象を持っていますか?

泉:ブランド内にさまざまなラインがあるなかで、それぞれのジャンルが明確に分けられているような気がしています。

H:というと?

泉:「アディダス パフォーマンス」はスポーツウェアとしてストイックにつくられているし、「アディダス オリジナルス」はファッションとして着られる。今回紹介する「アディダス スポーツウェア」は、その2つのレーベルのちょうど真ん中のような立ち位置です。パフォーマンス分野で培った機能性とミニマムなデザイン性が両立されていて、デイリー使いしやすい印象。あと、〈アディダス〉といえば、サッカーが頭に思い浮かびますね。

H:泉さんはいつからサッカーが好きなんですか?

泉:当時小学生だった1998年のフランスワールドカップから興味を持ち始めて、本格的にハマったのは中学生の頃。けど、ぼく自身は、サッカー部に所属したことがないんです。好きすぎるあまり、高貴なスポーツとして捉えてしまって(笑)。

H:サッカーに対する強いリスペクトがあると(笑)。泉さんといえばスポーティなアイテムをスタイリングに取り入れることが多い印象がありますが、それもサッカーの影響ですか?

泉:そうですね。海外の選手や現地のサポーターの着こなしを参考にすることが多く、彼らの格好を見ていると、スポーツウェアをファッションとして取り入れたくなるんですよ。

H:例えばどんなアイテムですか?

泉:それこそ、〈アディダス〉のトラックジャケットはよく着ています。春や秋はデニムとかチノパンに合わせて、冬はそのうえにコートを羽織ったり。カジュアルズをイメージした着こなしが多いです。

H:カジュアルズは、サッカーのスタジアムに通うイギリスの労働者階級から生まれたスタイルですよね。

泉:はい。それと、海外のアーティストが〈アディダス〉のトラックジャケットを着ている姿を見て、ぼくも真似するようになりました。彼らのスタイルは、どこか抜け感があるように思っていて。

H:拔け感というのは?

泉:巧妙なサイジングから出る小慣れたムードですかね。

H:なるほど、タイトに着るのではなくて。

泉:そう。リラックスしたサイズ感だからこそ、いつも着ているような自然な雰囲気が生まれるのかなと。