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ディレクター吉川基希と共に編む、BEAMSの解体新書。第5章「DAIRIKUの岡本大陸と語る、過去と現在と未来のファッション」
Strategy Of BEAMS

ディレクター吉川基希と共に編む、BEAMSの解体新書。第5章「DAIRIKUの岡本大陸と語る、過去と現在と未来のファッション」

いま再び盛り上がりを見せる2000年代のファッション。今季の「ビームス(BEAMS)」も「Y2K」をテーマに、90年代を経て生まれた2000年代のカルチャーに焦点を当てたものづくりがされています。そうして誕生したウェアの数々には、どんなビハインドストーリーがあるのか? メンズカジュアル部門のディレクター、吉川基希さんとともに、今季のオリジナルアイテムの攻略法を探ります。
今回はドメスティックブランドのなかでも特に勢いを感じる〈DAIRIKU〉の岡本大陸さんをゲストに迎え、古着や映画をバッグボーンにした物語のあるものづくりを共通項に、デザイナーとしての視点から「ビームス」のアイテムについて語ってもらいました。

  • Photo_Taisei Iwasaki
  • Text_Yuichiro Tsuji
  • Video Director_UDAI
  • Edit_Yuri Sudo

〈DAIRIKU〉はバックボーンやマインドが反映されているブランド。

ーはじめにおふたりの接点を教えてください。

吉川:〈DAIRIKU〉は「ビームス」でも人気のあるブランドなんです。飯塚っていう若手のバイヤーの熱烈なプレゼンを経て、お取り扱いをさせてもらうことになりました。ただ、その前に別のバイヤーも〈DAIRIKU〉のことを推していて、チーム内で「いいブランドだね」という認識はあったんですけど、なかなかその一歩先までいかなかったんです。だけど、飯塚が情熱を持ってプレゼンしてくれて、それでグッとアクセルを踏むことができました。

大陸:飯塚さんは最初の展示会から来てくれてて。当時はまだ販売スタッフだったので、プライベートで遊びに来るような感覚だったと思います。だけど、そこで仲良くなって。

吉川:彼がバイヤーになったのがちょうどコロナ禍に入る直前だったんです。ようやくコロナが緩和された頃にそのプレゼンがあって。

ーバイヤーの飯塚さんも大陸さんと同世代ですか?

大陸:そうですね。ぼくの一個上なんで、同世代ですね。

ー吉川さんは、そうした若手のパワーみたいなのを感じていたんですか?

吉川:めちゃくちゃ感じていましたね。たとえば大陸くん以外にも、〈ティー(TTTMSW)〉の玉田くんもすごいじゃないですか。ファッションもかっこいいし、それだけに留まらないパワーを感じるんですよ。その中で大陸くんの話も聞いていて、なにかが起こってるなと。ひとつのブランドだけで完結してなくて、みんなで繋がって、ある種の集合体みたいなものを形成している。

そうした彼らの姿を見て、自分が20代の頃を思い出したりもしました。ぼくと同世代のデザイナーたちがいま、日本のファッションをリードするようなブランドに成長していて、20代の頃は毎日のように一緒に遊んでいたんですよ。そのときに「遊んでいるだけじゃなくて仕事に繋がったらいいね」なんていう話もしたりしてて。そういうグルーブ感を大陸くんや玉田くんたちに感じるというか、絶対にこの世代の中でなにかが生まれているなっていう感じがするんです。

大陸:同世代のデザイナーが周りに多いなっていうのは、ぼくもなんとなく感じていました。玉田さんがショーをやられたりとか、〈TTTMSW〉の展示会に行ってかっこいい服を見たりとかすると、自分自身もがんばろうっていう気持ちが生まれて、目標を見つけやすくなりますよね。周りにそういうひとたちが多いので、一緒になにかやろうっていう話もよくしますし。実際に「ビームス」でも〈シュガーヒル(SUGAR HILL)〉 とコラボできましたし。

吉川:ぼくらの世代はプライベートでの仲は良いけど、ブランド同士でコラボとかはなかったんですよ。だから大陸くんたちが仲間とコラボしているのはすごく新鮮でした。それでお客さんも喜ぶものをつくってて、すごい説得力があって。

ー吉川さんは〈DAIRIKU〉のコレクションをご覧になられて、どんなことを感じますか?

吉川:シーズンごとにストーリーを感じるというか、服の中にちゃんと物語を詰め込んでいるのを感じます。その一方で、ブランドスタートの頃からつくっているアイコニックなアイテムもちゃんと残しているというか。そのバランス感がすごくいいなと思いながら見てました。もともと古着からファッションに興味を持ったんですよね?

大陸:高校のときにいつもアメ村にある古着屋やセレクトショップに行ってましたね。

吉川:古着からの影響はもろに感じましたね。たとえば70’sのアイテムをいまっぽく加工してたりとか。そこにストーリーを盛り込むあたりがデザイナーとしてすごいなぁと思ったり。そこらへんは映画からのインスピレーションがあって、シーズンごとにそうしたテーマ性を重視したものづくりをしているのかなと勝手に思ってましたね。

大陸:ファーストシーズンから映画をテーマにしてて。ひとつの映画というよりは、いくつかの作品を掛け合わせて自分なりに消化してますね。最近観たやつだったり、自分の気分に合わせて過去の作品を掘り返したり。そういうところからインスピレーションを得て、ルックのムードをフォトグラファーと相談しながらつくったり。映画の衣装とまではいかないですけど、そういうイメージでいろいろデザインしてますね。

ーカルチャーを背景にしたものづくりは「ビームス」も同じですよね。

吉川:そうですね。やっぱりルーツを掘り下げていく過程を大事にしてて。服には源流があって、それが時代を経てどんどん変化していくんですよ。その理解を深めること、さらにそこで得られた知識を現代に置き換えてアウトプットすることも大事にしてますね。ファッションが好きな人って、やっぱり掘り下げがちというか、見た目じゃないかっこよさを追求したくなっちゃうんですよね。
〈DAIRIKU〉の服にもそういう見た目以外のかっこよさがあって。しっかりとバックボーンやマインドが反映されているブランドだなと思いますね。

大陸:めちゃくちゃうれしいです。ありがとうございます。むかしは合同展でコレクションを発表していて、その頃からバイヤーさんに見てもらっていたんですけど、なかなか決まらなかったんですよ。ぼくがまだ学生のときにブランドをはじめて、その当時から置かせて欲しいショップだったんで、取り扱いが決まったときは本当に「よっしゃー!」って感じでしたよ。

INFORMATION

BEAMS 23SS COLLECTION

公式サイト
Instagram:@beams_official, @beams_mens_casual

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