インフルエンサービジネスとはわかりやすいシールを貼ること。
鳥羽:ちょっと頭がおかしい話をすると(笑)、ぼくは普通の人がランクルを運転する100倍ぐらい真剣に運転してんすよ。 首都高とかでこのクルマだと、ギリギリどこまで行けるのかって。そこまで運転することで、ようやくアイツを使いこなせる。愛車という言葉があるくらい、クルマは唯一、モノに対して愛がつく。それくらい大事なモノ。だから、1回1回の運転を大事にした方がいいと思ってます。演技でいえば、1回の演技に対して、どれだけフィードバックを持てるかとやっているひとと、ただやってる人とは全然違うじゃん。
笠松:絶対に違いますね。
鳥羽:1打席1打席を全部大事にして、昨日より今日をよくすることを継続すると意外と遠くにいける。たとえばインスタグラムも、今年一年でフォロワー2万人くらいになった。最初は何パターンか試して、あ、これだなと思ったら、それで集中的にやると半年ぐらいでバーって伸びたんだよね。ぼくはそういう何かのジャンルの最適解を見つけるのは好きっすね。情報量や真剣さをベースに積み上げていって、どっかで、あ、こういう感じねと見えたら、結構バーっといっちゃう。
笠松:SNSを伸ばすこと自体はすごく大切なことじゃないですか。でも、どういった作品に出るかというブランディングって、ぼくはあまり関係ないと思っているんです。なぜかというと、言葉が難しいんだけど。たとえば、いまこの目の前にあるこのコップにブランドのシールが貼ってないと、そのブランドだとわからない人もいる。一方で、すごい職人がつくった、いいコップだと分かる人には分かる。つまりフォロワーがたくさんいるというのは、そのシールなんです。そのシールを貼らなきゃわからない人を相手にしなきゃいけない段階にいる自分がいたたまれないだけで、別にそのシールをぼくはいらない。
鳥羽:でも、本質は多分そこ。料理もそうで、別に名札つけて仕事するわけじゃないし、うちは食べログ何点のお店ですというわけじゃないから。うちの青山の「Hotel’s」も食べログの点数はそんなに高くない。一周回ったような人たちは、内装や椅子とか含めてトータルでいいと言って来てくれるはずだとチャレンジしたくて始めたんです。だからしょうちのいう、環境も含めてだけどモノだけで純粋に勝負していくって、すごい大事というのはめっちゃわかる。
笠松:そのあたりは、人がやってほしいこととぼくがやりたいことが違ったりしていて、結構難しいなと思うことがあります。そのよくないギャップがぼくの中ではストレス。言い方が難しいけど、メジャーに乗っかるっていうのは、それはそれでいい経験だけど、その間に失っているものも実はすごくある。
鳥羽:それは超ある!
笠松:だからすごく難しい問題です。