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【TBSJ】鳥羽周作ジャーナルヒトレシピ。Recipe 1 長坂常

【TBSJ】鳥羽周作ジャーナル
ヒトレシピ。Recipe 1 長坂常

鳥羽周作ジャーナル、略してTBSJという連載がスタートします。その中の企画「ヒトレシピ」は、たった「ひとり」に向けたレシピであり、世界でただ「ひとつ」のレシピからネーミング。不特定多数ではなく、鳥羽さんがある一人のためにレシピを考案し、実際に調理しながらトークをするというもの。第一回目のお相手は、「スキーマ建築設計」を率いる長坂常さん。実際のところ、鳥羽さんの本業は料理ではなくトークなのではないかと思うくらい、硬軟さまざまなトピックを漂流しつつ、行き着いたのはいまの時代を捉えた芯のある対談となりました。もちろん料理のレシピも必見!

  • Photo&Movie_Kousuke Matsuki
  • Movie Direction_Hiroaki Takatori(BONITO/Rhino inc.)
  • Moive_Reiji Kurosawa、Keishi Sawahira
  • Movie Edit_Yuki Onoda(BONITO/Rhino inc.)
  • Text_Shinri Kobayashi
  • Edit_Shuhei WakiyamaRyo Komuta

PROFILE

鳥羽 周作
sio/シズる代表取締役

Jリーグの練習生、小学校の教員を経て、31歳で料理の世界へ。2018年に「sio」を代々木上原にオープンし、ミシュランガイド東京 2020から3年連続一つ星を獲得。現在は「sio」の他に、「Hotel’s」「o/sio」など、8店舗を展開。各種メディアで公開するレシピや、フードプロデュースなど、レストランの枠を超えて様々な手段で「おいしい」を届けている。モットーは『幸せの分母を増やす』。

PROFILE

長坂 常
スキーマ建築計画代表

1998年東京藝術大学卒業後にスタジオを立ちあげる。家具から建築、街づくりまでスケールも様々。住宅からカフェ、ショップ、ホテル、銭湯、公共施設など幅広いジャンルを手がける。

人のつくったレシピが自分のレシピになったらいい。

ー 2人のご関係を教えてください。

鳥羽:現在進行中のプロジェクトを(長坂)常さんにお願いしたのが始まりですね。ぼくは建築が好きなんですが、その中でも常さんの建築は素材を大事にされているところが好きなんです。あとは、仕事とは別に、プライベートでも一緒にご飯を食べる機会がたまたまあって、すごく盛り上がってそのまま仲よくさせてもらってます。

長坂:連載の1回目の相手ということでびっくりしてますが、光栄です。

鳥羽:常さんはこだわりと思想をお持ちですし、他ジャンルでものをつくる方の感覚を聞けるっていうのはすごい刺激になるなと。そういう人のことを考えて、その人にカスタムした料理をつくるっていう行為が自分の成長にも繋がる。そもそも料理をつくるというのは、相手がいて、その人のために調理するというのが一番ミニマルで原始的。いろいろつくってるけど、原点回帰して誰か一人のための料理というシンプルな形がすごくいいし、楽しみです。

長坂:ぼくは建築をやっていますが、料理家というか、鳥羽さん的なもののつくり方をする建築家なのかもしれない。一般的に建築家はちょっと構えてつくっていく人も多いと思うんですけど、ぼくはそこで出会った人と場所にインスパイアされてつくっていくんです。出会いと物づくりが連動している感じがあるけれど、それは鳥羽さんが言ったような誰かこの人のためにつくるっていうのに近いのかなと。それもリノベーションが多いからだと思うんですけどね。0→1で何かをつくるというより、既にあって、そこで感じたことを話しながらつくっていく感覚は料理にも近いのかなと。

鳥羽:そうなんですよ。たとえば、パクチーが嫌いな人に、この料理はパクチーが絶対入ってなきゃダメなんですっていう提案じゃなくて、代わりにミントでもいいという話って、めちゃくちゃホスピタリティーの話だし、1番ベースの部分だなと。相手の希望を聞いた上で想像しつつ料理をつくることと、めちゃくちゃ似てる気がします。完成に至るまでの設計図がレシピであるというのは、すごく親和性が高いといつも思っていました。だから、第1回目を常さんにお願いしたんです。

ー 長坂さんは、美味しいものはお好きですか?

長坂:そりゃもう。食べ歩きくらいしか、仕事で移動している時には楽しみがありません。ネットでリサーチするレベルくらいですけど、昼と夜に何を食べようかというのは結構な喜びですね。

鳥羽:ぼくの場合、食べることは好きなんですけど、自分が食べるものをこだわってつくるってことはほとんどなくて、普通にコンビニのご飯もファーストフードも好きなタイプ。自分の食べるものにはあまり興味がなくて、今回みたいに誰かにつくることが好き。体質的にそういうタイプなんでしょうね。

ー では、長坂さん、本日のオーダーは?

長坂:「夕方、川っぺりでビールを飲みながら食べたいビリヤニ」をお願いします。多摩川が好きで、ビールを買って行って川べりで飲んだりするんです。その時に川で食べられたらいいなとつい思って。

鳥羽:ビリヤニを知ってはいたんですけど、つくったことはなくて。ただ、単純につくればいいってわけじゃなく、歴史的背景とかも含めて知っておいた方がいいなと思って調べてみたら、元々はイランの料理で世界三大炊き込みご飯の一つだと。最初は炒めていたらしいけど、いまのビリヤニの定義はご飯を茹でて炊くそうです。つくり方とかもいろいろと見ましたが、ぼく自身は正式なビリヤニをまだ一度も食べていない。だから、今日はぼくの思うビリヤニです(笑)。

長坂:ぼくもそう何回も食べてるわけではないですけどね。ビリヤニをよく聞くようになったのは、最近ですよね?

鳥羽:そうですよね。ただ、このスパイス感とか、パクチーやミントなどのハーブとか、複雑な食べ物としては結構ポテンシャルがあるなと。一昨日、試作したんですけど、すごい美味しくて、次の何かのイベントでもメインにしたいと思ったくらいポテンシャルがある。だから、今回のレシピは常さんに家でつくってもらいたいという思いもあって、お家で揃えられる材料でつくってみようかと。チキンにしたのも一番王道だからだし、ベーシックなビリヤニから入って、ステップアップしてもらえたらいいなと。そのための設計図をレシピとしておこしました。建築にたとえると、建てる前の設計図ってかなり重要じゃないですか。だから、シミュレーションは結構やってきました(笑)。

ー では、食べるだけじゃなくて、つくるというところまで可能性が広がっているんですね。

鳥羽:そうっすね。自分のためにつくってもらったものを自分でつくる、という流れはいいかなと思って、常さんにレシピをギフトする感覚ですね。最終的には、常さんがサバ缶を入れるとかアレンジしてもらって、人のつくったレシピが自分のレシピになっていったらいいなと。

長坂:ぼくはカレーをつくるのが好きなんです。ちょっと最近は忙しくてつくってないですけど、スパイスから揃えて自分で炒めてつくったり。 中でも玉ねぎを炒めると精神的に落ち着くんです。

鳥羽:カレーがお好きだということも聞いていたんで、何かつくれるものがいいなと思ってたんです。では、早速ここからつくっていきましょう(と言いつつ、作業をしながら話は続きます)。

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