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機能美を生む “線” とは。アンフィーロの立役者が明かす、 服づくりの舞台裏。
BEHIND THE STORY : UNFILO

機能美を生む “線” とは。
アンフィーロの立役者が明かす、
服づくりの舞台裏。

「動く。すべての人に、機能美を」。このフレーズをコンセプトに掲げ、機能性とデザイン性にこだわる〈アンフィーロ(UNFILO)〉。人の立ち姿だけではなく、動く姿にも表情を与えるという服は、一体どのようにして生まれるのか。今回はその仕掛け人であるデザイナー、小山雅人さんのクリエーションに迫りました。ゲストには小山さんが手掛けるブランド〈ユーゲン(HEUGN)〉のファンであり、東京・中目黒のヘアサロン「CASI」のオーナーでもある並木一樹さんを迎え、ファッション好きならではの視点から〈アンフィーロ〉の服づくりの舞台裏を紐解きます。

  • Photo_Koji Honda
  • Text_Yuichiro Tsuji
  • Edit_Masaya Umiyama, Ryo Muramatsu

小山さんの絵型には、いい意味でクセがない。

ー具体的に〈アンフィーロ〉のデザインでは、どのようなことを大切にしていますか?

小山: 〈アンフィーロ〉の服は、「美しく動きやすく快適」なことを目指し、日常の視点で使いやすさを考え、デザインしています。それらは、服としてのプロダクト面だけではなく洗えることが生活する上で快適なことだったり、折り畳んで持ち運べていざというときに着れる快適さだったりと生活に溶け込むことを意識しています。

並木: シワになりづらそうですね。

小山: もちろんそういう生地を使っています。これはPRの方に聞いた話なんですけど、スタイリストさんが、手軽に取り出していつでも着用できるようクルマの中に〈アンフィーロ〉のジャケットを入れておきたいと仰っていたようなんです。多少、雑に扱ってもシワにならないんです。

雑に扱っても品のある見た目はそのまま。内側にあるファスナー付きポケットは、パスポートや小物を入れるのに便利。これも小山さんが考える日常に寄り添ったデザインのひとつ。¥14,990

ー近年、こうした機能素材を使った服が増えていますが、並木さんは手に取る機会はありますか?

並木: パンツを穿きます。それこそ、〈アンフィーロ〉のこういうカーゴパンツは大好きです。シルエットが太すぎず細すぎないし、機能素材を使っているからこそ、武骨になりすぎないというのもありますし。

小山: 機能素材を使ったパンツは一般的になりましたよね。取り入れやすいというか。

並木: 普段サロンワークをしているので、こうした素材だと髪の毛がつきにくいんですよ。

小山: あぁ、なるほど。

並木: あとは単純に立ったり座ったりする動作が多いので、動きやすいパンツは仕事で役立ちます。あとは洗いやすいところも重宝してます。

「接触冷感」「撥水」「透湿」「抗菌」「防臭」「ウォッシャブル」「ストレッチ」「軽量」の8つの機能を持つ生地を使用。スノーカモパンツを現代的にアップデートし、ミリタリーウエアの精悍なムードが程よく抑えられたクリーンな仕上がり。¥13,990

ーいま機能素材を使った服が増えているからこそ、差別化するのは難しいなと思うんです。

小山: そうですね。機能素材が標準になってきているので、それとは別の角度で差別化を考えないといけないと思っています。ぼくが〈アンフィーロ〉で最も重要視しているのが、シルエットなんです。その肝となるのがパターンで、パタンナーさんとの連携が〈アンフィーロ〉のものづくりの核になっています。

ー先ほど仰っていたように、デザインを細かく描くからこそ、密なやり取りが必要ということですか?

小山: そうですね。細かな部分をキャッチしてもらわないといけなくて。

クラシックなメンズウェアからインスピレーションを受けてデザインされるアイテム。テーラリング、ミリタリー、スポーツ、トラッドなど、デザイナーである小山さんの中にあるたくさんの引き出しからエッセンスが抽出され、〈アンフィーロ〉の服に注がれている。

ーではここから、パタンナーの南さんにも対話に参加してもらいます。小山さんのデザインには、他のデザイナーにはないものがありそうですが。

南: 普通ではないですね。ただ、ぼくとしてはそれがやりやすいです。というのは、絵型に意思表示がないデザイナーさんも中にはいて、好き勝手にできるのはいいんですけど、落としどころが見えてこなくなる。一方で細かく余地がないほど固めてくる人もいる。そうするとこちらの意欲が湧かないんですよ、決められた点と点を繋ぐだけなんで。

パタンナーの楽しみのひとつとして、デザイナーさんが目指すものを模索しながら、一緒につくり上げる喜びがあるんです。それが小山さんの場合は、すごく感じられやすいんです。

小山: ぼくは、服づくりは一人じゃできないと思っていて、関わるメンバーにどうバトンを渡すのかが重要だと思っています。南さんはもともと、メンズだけじゃなくてウィメンズの経験もあって、さらには海外ブランドのパターンも引いていたから経験豊富なんです。

ーぜひ南さんの経歴を教えてもらえませんか。

南: もともと学生時代はウィメンズを勉強していました。それでメンズを知らないまま現在の会社(オンワード樫山)に入社して、そこからメンズを学びはじめたんです。〈ジョゼフ〉というイギリス発祥のブランドです。そもそも日本とイギリスではパターンの考え方に違いがあるんです。日本は結構ルールがあって、決まった型に収まりやすいのですが、イギリスは自由度が高いんです。だから、そこからスタートできたのが大きかったです。

その後、ウィメンズのブランドも担当するようになるんですが、こちらはすごく複雑で自由度がかなり高い。男性服とは異なる線を引く必要があるので、そこで新しい考え方を取り入れることができたと思います。その次に担当したブランドは、自身の培ってきたものを全部出してこい! みたいな環境もありました(笑)。

それでようやく〈アンフィーロ〉に辿り着くんですけど。自分で自由にやっていても、やはり限界があるというか、やっぱりアイデアを掛け合わせることでいいものが生まれると思うので、小山さんが表現したいことと、これまで培ってきた自分の線というものを掛け算しながらやっています。

小山さんはいつもいろいろな線を要求してくれるんですよ。それによってぼくもいろいろな引き出しを使えるというか。

小山: 面白い袖のサンプルを持ってくるとか。

南: そうですね。ある意味、小山さんの特徴って、コレっていうものがないんですよ。他のデザイナーはもっとクセみたいなものがあるんですけど。いい意味でひとつの方法に捉われないのが小山さんの魅力なのかもしれません。目指すものが服によって違うというか。そこが面白いですね。

並木: いろいろなものを見てきたからこそ、ジャケットはこういう形がいいとか、軍パンはこうしたほうがいいっていう柔軟な考え方があるんですか?

小山: 服のよさを引き出すことを考えていますね。ショーツだったらこういうシルエットがらしく見えるかなとか、スラックスだったらこうしたほうがいいとか。すべては何を目的にしているかなんです。どういうアイテムで、どんな時に着たくて、どんなシルエットで見せたくて、どんな素材を使ってなど、それぞれのよさが最大限に引き出せることを考えるようにしています。

テーパードパンツ(左)、ジョグパンツ(中)、リラックステーパードパンツ(右)の3つのシルエットが用意され、手に取るひとの好みによって選べるようになっている。レングスもそれぞれ2ピッチあり、さまざまな体型に対応できるサイズ展開もポイント。各¥9,990

南: 服によって、「コレはこう」っていうのがはっきりしてますよね。

小山: 前職のセレクトショップで世界中のたくさんのブランドやものづくりの現場を見て、いろいろな服をつくってきたのが影響しているのかもしれないです。

INFORMATION

オンワード樫山

電話:03-5476-5811
オフィシャルサイト

5月21日(日)まで、インスタグラムでプレゼントキャンペーンを実施中。詳しくはオフィシャルアカウント(@unfilo_men_official)をチェック!

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