演技のやり方を音楽にも。


ー歌や絵など創作活動についてもお伺いしたいです。自身の声に抵抗ある人も多いと聞きますが、のんさんは、自分の声はお好きですか?
のん:いい響きだな、好きだなと思うところもあれば、自分ではよくわからない部分もあるので、そこを今研究中という感じですかね。もっともっと自分自身の声を聞いていきたいです。もっとライブをやって、もっと歌って、良くしていきたいと思っている段階です。
ー『この日々よ歌になれ』というタイトルとも関係しますが、日々の中で歌を歌ったり、絵を描くなどの創作活動は、のんさんの日々の中でどんな位置付けですか?
のん:作るということを封じられたら、自分は何にもない人になっちゃうし、自分自身とは切り離せないくらい、人生の上で欠かせないものだと思います。やりたいと思ったら、もうやっちゃってる人間なので、そこを強制的にブレーキをかけられたりすると息苦しくなる。そのくらい大事なことですね。

ーそういったご自身の創作と、台本などがある演技は、違うものとして捉えていますか?
のん:うん、全然違いますね。人の書いたものやメッセージを読解してやるのと、自分のなかから湧き上がってきたものを発信するのとでは、責任の所在も違うし、自分の姿勢も違うので、自然とスイッチが切り替わっている感じですかね。音楽については自分をさらけ出して、例えば自分がどんな感情なのか、ライブをどれだけ楽しめるのかを大事にしてきたんですけど、最近は役者の時のやり方も採り入れて、どうやったら自分が魅力的に映るか、つまりどう解釈して表現するかということにこだわるようになりました。
メッセージをもっといろいろな人に広げられるように、自分から一度切り離す、みたいな作業が必要だなと。そっちの方が工程が多いので、しんどいんですけどね(笑)。
ーでは、自身の表現に対して、客観的な視点を持つようにちょうど変わりつつある段階ということですかね?
のん:音楽に関しては、そうですね。自分のことだからわかっているつもりだったんですけど、その表現を人にどう見せるかというところまで、責任を持つようになって、もっとエンターテイメントにしていきたいなと思うようになりました。そうやって、演技の時の解釈のように曲を捉えていくということを今回のアルバム『PURSUE』ではやってます。