ルールは自分でつくったほうがいいと思う。

ー2013年にこのお店に移転してから、どういうお店をつくりたかったんですか?
高須:前のお店はすごく小さくて、もっと大きな場所で自分のやりたいことを表現したかったんです。それで物件を探していたときに、知人の紹介でここを教えてもらったんですけど、逆に大きすぎて手に負えないなと思ったんですよ。だけど、ゆっくりと時間をかけながらアイデアを練って、その中でなんとなく方向性がさだまってきたんですよ。





ーそして、服だけではなく、雑貨やお花を売ったり、カフェも併設されたこのお店が出来上がったわけですね。
高須:海外にもこういうお店があって、ヨーロッパだと「コルソコモ」やパリの「メルシー」。アメリカでも、そうした複合型のお店があったけど、なんとなくそういう感じにしたいなというのはあって。ただ服を売るだけじゃなくて、花のある生活がいいなと思ったり、美味しくて見た目も魅力的なご飯を食べたいなって思ったんですよ。それを提供するお店が葉山にあってもいいんじゃないかなっていう。ただそれだけなんです。
ー高須さんご自身もお店に立って接客されるんですよね。
高須:週末はなるべく立つようにしてますね。むかしからのお客さんも多いので。お店に立ってわかることもすごく多いし、スタッフと話すきっかけにもなりますから。


ー接客をしているというよりは、コミュニケーションをしている感覚に近いですか?
高須:そうだと思います。とっぽい兄ちゃんがいるなと思って話しかけたら、広告業界で働いているひとだったりして。そういうのが好きなんですよね。
ーお店に置いてある服も、すごく素朴な感じがします。
高須:自分がいいと思ったものをつくっているだけなんです。
ーこだわってそうでこだわってないというか、いいものなんだけど、いい意味でラフな雰囲気があるように感じるんです。

高須:こだわりというのが好きじゃなくて。実際に言葉を調べると、こだわりってあまりいい意味じゃないんだよね。執着する、固執するってことだから。それよりもぼくの場合は、もっと自由でありたいんですよ。たとえば、海に行ったときに砂浜にそのまま座れる服でありたい。今日はいい服を着て着たから汚したくないって思うのはイヤだなと。
ーそうした自由さが服にも、お店に表れています。
高須:自由っていうのはすごく大切にしていますね。発想においても。

ーそうした感覚は、やはり海の近くだからこそ育まれるのでしょうか?
高須:どうでしょうね。もともと自由度の高い人間なので(笑)。
ールールがないというと語弊があるかもしれませんが、常識に縛られてないですよね。
高須:ルールは自分でつくったほうがいいと思うんですよ。もちろん社会性とか、いろんなしがらみはあるとしても、自分の中にあるセルフ・アイデンティティを大切にしたほうがいい。「誰かがこう言ってたから」じゃなくて、「自分はこう思う」っていうコアな部分がすごく大事で。
服もおなじで、男性ものだろうが、女性ものであろうが関係ない。女性の服をかっこいいと思って男性が着てもいいじゃないですか。固定概念、先入観をなくしてね。

ーそうした高須さんの考え方に、どうしてもアメリカの影響を感じてしまいます。
高須:小さな頃から父親に、「お前は日本じゃない」って話をされてて。いろんな行動を見て、そう言ってたみたいなんです。だから、体質的に自由なのかもしれないですね。
ーやっぱり、西海岸の空気感がお好きなんですか?
高須:南カリフォルニアと、ハワイ島のヒロは好きですね。ハワイ島は現地にすごく良くしてくれるひとがいて、彼と過ごす時間が本当に素晴らしいんですよ。ぼくよりもひと回り上の世代なんだけど、本当にレジェンドにふさわしい人物。仕事の話をして、海に入って一緒にサーフィンをして、お酒を飲んでっていうね。