買うものはないんだけど、なぜか来たくなるような場所。
ー先ほど、仕事をしながら出会ったひとたちにも影響を受けたというお話がありました。たとえばおもしろいモノをみつけたときに、それをつくっている“ひと”のほうが気になりますか?
高須:そうですね。モノをみつけたときは、つくっているひとと、つくっている場所は見に行くようにしています。そこは大事にしてますね。このお店でも同じで、やっぱりモノよりもひとだと思ってて。
ー魅力的なスタッフの方々がいて、そこにお客さんが集まってきている。
高須:それは大いにあると思う。実店舗というのは、そこに尽きますよね。うちのお客さんは、そんなに必要ないのに買い物をしてくれているように思うことがあって。お店を応援してくれているんでしょうね。

ーぼくたちが開店前にお店に到着すると、スタッフのみなさんが「おはようございます」と気持ちよく挨拶してくれたんですよ。
高須:ここに移転して10年が経って、いろんなことがある中で、ようやくスタッフも固まってきたんです。それがいま、すごくうれしいですね。ここで働いているスタッフの中には、地元の子が多いし、小さい頃に両親に連れられて遊びに来てた子もいたりして。それがすごくいいなって思うんです。
ーこのお店を通して高須さんが発信したいこと、伝えていきたいことはどんなことなんでしょうか?
高須:さっきも話したけど、「これ、いいよね」っていうことですかね。葉山の環境であったり、奄美そうだけど。すごくないですか? っていう。

ーその気持ちにウソがないというか、衝動的な部分を大切にされているんですかね。
高須:花を見てきれいだなって思う気持ちと同じというか。それを見て、お客さんも賛同してくれて商売が成立していて。ただそれの繰り返しなんですよ。
カリフォルニアのハモサビーチっていうところに、「ET Surfbords」というお店があるんです。そこにいるお兄ちゃんたちはずっとサーフィンの話ばかりしていて、「今日の波はこうだった」っていうのを延々と喋っているんですよ。そこには本当にウソがないし、サーフショップに限らずそういうお店ってあるじゃないですか。買うものはないんだけど、なぜか来たくなるような場所。そういうところが好きなんですよ。
ーそれもやはり、ローカルに根付いた会話ですよね。そこじゃないとできないことがあるっていうことだと思います。「サンシャイン+クラウド」も、地元の方々の生活を豊かにする提案をされているのかなと。
高須:そう思っていただけたらありがたいですね。ここには地元の方々も来るし、遠方から来られるひともいて、ようやくそうなったんだけど。結果的にこういうお店になって、コミュニティ・ストアと呼ばれることもあるんです。やっぱり地元のひとたちに愛されることは大切だと思う。すると、次第に遠方からもお客さんがやって来るから。「近き者よろこべば、 遠き者きたる」というのは本当なんですよね。
最近、お店の横に駐車場をつくったんですけど、地元の方に「ここどうしたの?」って聞かれて「駐車場にしたんです」って答えたら、「よかったね、おめでとう」と仰ってくれたんですよ。それがすごくうれしくて。長くやっててよかったなと思える瞬間でしたね。
ーこの辺りに住んでいる方々の共通点はありますか?
高須:生活を楽しんでいるところですかね。自由にしていて、はたから見ると「このひとなにしているんだろう?」っていうひとが結構いるんです。でも、実際はちゃんと仕事もしているし、地に足がついている。カリフォルニアも似たところがあって、みんな武装してないんですよ。たとえば、服装とかそういうところでね。そうやって自由気ままに過ごしながら、生活を本当に楽しんでいる。それで仕事もちゃんとしている。そういうメリハリのあるひとが多いですね。
