CLOSE
FEATURE | TIE UP
なぜGoOnに人が集まるのか。
何もない、だからいい?

なぜGoOnに人が集まるのか。

2020年にヒトとコトとモノを繋げ、表現するプロジェクトスペースとして始まった「PARK STUDIO」が、いつの間にか「GoOn」という名前に変わっていた。聞けば、レンタルギャラリーとして新たに舵を切り、福岡だけでなく、原宿・名古屋にも進出したのだと言います。どこも共通しているのが、ニュートラルな空間ということ。年間100以上のブランドが使用し、リピーターも多く、使い手によって変化するこのスペースはなぜ愛されるのか。あれこれ伺ってきました。

いまの時代のニーズを読む。

ー最初に「PARK STUDIO」として一軒目のスタジオを始めたのは福岡でしたよね。もともと何かご関係があるんですか?

スタジオ運営の他に、広告の代理店業をメインとしているんですが、福岡は就職で住むことになった場所なんです。生まれも育ちも熊本で、大学から東京に。就職のタイミングで福岡に行くことになり、その後いろいろあり独立して5年目になります。

ー代理店業のかたわら、ギャラリーを始めた経緯は?

代理店でありながら自分たちで何かを仕掛けたかったんです。いまでもそうですが、代理店業だけやっていても、どこか虚しくなってくる自分がいて。何かやりたいと思ったときに、企画できる場所が欲しいと思ってスタジオをやってみようとなったのがスタートですね。ビジネスチャンスを感じた!とかではなく、やりたいからやるという100%ぼくのエゴです。

代表の山下源太さん。熊本県出身で早稲田大学を卒業後、新卒で入社した広告代理店を経てプロモーション事業を主とする「ジクマネ」を設立。2019年に社内事業としてギャラリー運営をスタートし、2021年に「GoOn STUDIO」として分社化。その他にも、さまざまなコンテンツを手掛ける。現在は仕事柄、日本よりもアジア各国に滞在する期間が多い。

福岡で前身の「PARK STUDIO」というものを友人と一緒に始めたんですが、最初はレンタルとして貸す箱というよりは、ぼくらがその時すでにいろんなネットワークを持っていたので、自分たちで企画をするイベントスペースにしようと思っていたんです。でも、オープンした翌月くらいにすぐにコロナが来てしまって、予約が一気にキャンセルになってしまい…。

ー一番よくないタイミングに。

でも家賃は払い続けなきゃいけないから、少しづつ安定してきた代理店業の方の売り上げからお金を借りて(笑)、家賃を払い続けるというのを1年3ヶ月くらいですかね…、やってました。逆にコロナが収束し出してからは、予約がブワッと入ってくるようになりましたけど。福岡がスタートしてまもないときに、ぼくが東京に拠点を移すことになって、東京でもスタジオをやりたいし、名古屋もぜひという要望をいろいろなブランドさんからいただいたので、東京と名古屋でもスタートしました。

ーコロナで出鼻をくじかれたとはいえ、福岡の「GoOn FUKUOKA」、東京の「GoOn TOKYO」、名古屋の「GoOn NAGOYA」とトントン拍子ですよね。

最初につくったのが福岡なんですけど、割と新しいブランドさんにとってはちょうどいい場所がないんですよ。メジャーなスペースがひとつあるんですけど結構広くて、大きなアートの展示やタレントさんがトークショーをやるくらいのスペースなので、ニーズによっては大きすぎるし、金額もだいぶしちゃうので予算と合わない場合もあるのかなと。程よい広さで、ストックルームやフィッティングルームのあるようなベストな場所がないというお話をずっと聞いていました。

ー時代のニーズにちょうど合うサイズ感なんですね。

福岡や名古屋では、こういう場所の代わりに商業施設でイベントをやるんですが、商業ビルだと手数料として売り上げの何十パーセントかを持ってかれるところが普通なので、なかなか厳しいと。うちのように固定費だと、売れるブランドさんにとっては相当コスパがいいはずです。

ー借りる方は、どういう目的が多いんでしょうか?

ブランドさんの展示会が多いですね。特にポップアップ。福岡と名古屋は主に金土日でブランドさんが一般のお客様向けにポップアップをされて、東京はバイヤー向けも多いので、平日も埋まることが多いです。

「GoOn FUKUOKA」の様子。

「GoOn NAGOYA」の様子。

ーお店を持たずに、ポップアップをするというインディペンデントなブランドの受け皿にもなっていると。

時代的にECだけですごく売れているけど、実店舗は持たないというブランドさんはすごく増えていると思います。東京には店舗があるけど、地方にはまだ出店してないというブランドさんが地方でポップアップをしたいというニーズも結構あって。あとは著名なユーチューバーやインスタグラマーの方とか。そういった子たちのほとんどがブランドをやっていて、実際に何百万人も登録者がいるユーチューバーさんが福岡でポップアップをやっていましたけど、行列がすごかったですね。

ー三箇所に共通することはありますか?

まず、アクセスのよさにはこだわりました。東京も福岡も名古屋も、ギャラリースペースは中心地からちょっと離れていて、2階や3階にあることが多いんです。ぼくらとしては、他と差別化するためにも家賃が高くなってしまうけど、アクセスがいい場所を探して、実際に名古屋や福岡は割と市内に近い路面につくりました。コスパもそこまで悪くないし、雰囲気よくつくれたと思っているので、使っていただければほぼリピーターになってくださいますね。

ー それは、すごいですね。

福岡はできて2、3年くらい経ったので、リピーターのお客さんで毎月何件か埋まっていて、あとは新規の問い合わせが来るという形ができています。3拠点とも営業はほとんどしていません。使ってくださるブランドさんが告知してくれたり、イベントに来てくれたお客さんが気に入ってくれてその後に使ってくれることも。お客さん同士も割と近いジャンルの方々が多かったりしますね。

ーブランドが使うというのは想定内でしたか?

そうですね、ある程度はアパレルの利用などは想定していました。実際にアパレルとジュエリーが多いです。イラストレーターさんの展示とかも大きいですし、人気の方も多いのでそっちもあるかなと。福岡の方はコンテンツ感度がすごく高いし、東京に対する憧れみたいなところもはある町なので、東京で話題になっているものが福岡に来た時に来場される方はすごく多いんです。実際にブランドさんから言われましたが、福岡でやると熊本、佐賀、長崎、遠いところでは山口あたりからいらっしゃる方もいるので、このあたりを網羅できちゃうのがすごく嬉しいと。福岡に出店をするか迷っている方のテストマーケ的な場所にもなっていて、福岡に出店する前にポップアップでテストしてみようというブランドさんもいらっしゃいます。

ーいま取材場所となっているこの場所は原宿のスタジオですが、内装は白でシンプルにまとめていますね。

福岡も東京も名古屋も、無垢というか、無機質な感じでやってます。以前はいろいろと準備しておこうとか考えていたんですけど、初期に人気のクリエイターさんがポップアップをされた時に当日来てみたら、ここが森みたいなまったく別の空間になっていて。そこからは使う人の世界観に染まれるような、ニュートラルな空間を目指しました。音響やプロジェクターなどよいものを入れたのは、自分なりのこだわりです。

ー白だと汚れは目立ちそうです。

本当に汚れます。もう、びっくりするぐらい。お客さんによって使い方がまったく異なるので、 悲しくなる瞬間も…。以前、壁が崩れかけていた、というかもはや崩れていたということもあったので(笑)。

ーこれを読んでもらって、次回からは貼るテープは絶対にガムテープじゃなくて、マスキングテープにしてもらうくらい、細心の注意を心がけてもらいましょう(笑)。

INFORMATION

GoOn TOKYO

住所:東京都渋谷区神宮前6-33-14 神宮ハイツ 1F
ホームページ
Instagram:@goon.tokyo/

GoOn FUKUOKA

住所:福岡県福岡市中央区警固1-3-7 1F
ホームページ
Instagram:@goon.fukuoka/

GoOn NAGOYA

住所:愛知県名古屋市中区大須 3-1-35 HASE-BLDG.3 1F
ホームページ
Instagram:@goon.nagoya/

このエントリーをはてなブックマークに追加