PROFILE
1996年、東京都生まれ。2017年大学在学中に、ネオンサイン製作を手がける「シマダネオン」で修行。翌18年に単身ニューヨークへ渡り、「ブルックリン・ガラス」で経験を積み19年に帰国。現在は定期的に個展などを開きながら、さまざまな企業のネオンサインの製作なども行う。
Instagram:@waku0134
ネオンの光に導かれる感情に従って。
―まずは、Wakuさんがネオンに興味を持ったきっかけから教えていただけますか?
Waku:最初は、何気なく自分の部屋にネオンを置きたいと思ったことがきっかけです。自分でつくれると思っていたんですけど、調べていくうちにネオンはガラスでできていたり、ガスバーナーや高電圧が必要であったり、簡単につくれないということが分かって。LEDならと思い、秋葉原へ見に行ったりもしたのですが、全然心が燃えなかったんです。だから、自分がネオンに惹かれる理由を知るためにも、実際に制作の現場を見てみようとあちこち連絡して、唯一返事をくれたのが「シマダネオン」という大田区にあるネオン屋さんでした。
―そこで初めて実際にネオンづくりを体験したと。
Waku:はい、島田社長が「1週間に1回ならやっていいよ」と言ってくださり、通うことになりました。幼い頃は物づくりとかをしていましたけど、普通の私大に通っていたので、普段から制作をしていたわけじゃなくて。ネオンに出合ってから自分の中で物をつくるという行為が再び始まりました。


―先程LEDには心が燃えなかったとおっしゃっていましたが、ネオンの光に惹かれる理由はなんだったのでしょうか?
Waku:なぜネオンが好きなのかというのは、作品をつくりながら常に自分へ問いてるテーマでもあります。ぼくは実家がお寺なんですけど、そのお寺の中での光というものの扱われ方も少なからず影響はあると思っています。光自体が自分の心であったり、感情に対して何か働きかける気がして。それがすごく好きだし、ネオンの光とどこか通ずる部分を感じたんです。
―部屋にネオン置きたかったという理由から、工場を調べて自分でつくるまでに至った原動力は、それだけネオンに魅力を感じていたからでしょうか?
Waku:ネオンの魅力もありましたが、当時は自分にしかないものをすごく探していたんだと思います。ただ、今になってネオンだから自分らしいということではないということに気付きました。昔から自分らしさということに対しての疑問はずっとあったのですが、最近やっと自分という人間の在り方に対して、肯定できるようになった気がします。ファッションならファッション、写真なら写真といったように、「私はこれだ」と一つのことにフォーカスして生きていきたいわけじゃないなと。だから、作品をつくる際はネオンも使うし、他のものも使う。いま興味があるものや好きなものに対してアプローチをかけている感じです。


―なるほど。その自分らしさを探していた学生のときは、他にも色々なことに興味があったのでしょうか?
Waku:ファッションや音楽も好きでした。ただ、学生のときに出会ったスタイリストのシュンサクや「CYK」というDJコレクティブのKotsuなどの友人たちが、それらに本気で真剣に向き合っているのを見て、自分はその道じゃないと気付けたのだと思います。
―色々なひととの関わりが、自分を見つめ直すきっかけになったと。
Waku:誰しもそうじゃないですかね。誰かと出会って考えて、変わっていったり変わらなかったり。ぼくの周りには信念の強いひとが多かったというのもある気はしますが。