ARCの独特なコーヒーはどうやって生まれているのか。
ブームの枠を超え、ライフスタイルの一つとしてもはや定着した感のあるコーヒー。その一杯の向こう側には、産地や焙煎、淹れ方など、広大で深い世界が存在しています。そして、あくまで日常を構成する一要素だからこそ、服と同じようにそのひとのスタイルを象徴するのかもしれません。
そんなコーヒーを日常的に愛飲しはじめたばかりという平野さんと向かったのは、蔵前の鳥越神社横にあるカフェ「アーチ(ARC)」。店内に鎮座するヴィンテージのスピーカーとアンプからスタンダードジャズが流れる空間で、さまざまなタイプのコーヒーや焼き菓子などを提供します。
平野さんがオーダーしたのは、スタンダードなブラックコーヒー。カップを片手に、自然と店主と会話が生まれます。
「この味、めっちゃうまいですね。酸味の強いコーヒーが苦手なんですけど、このコーヒーは苦味も強さもあって好きな味です」と平野さん。このお店オリジナルの独特な味わいに一口で魅了されたようです。実際のところ、浅煎りでもなければ、クラシックで重厚な味わいとも違う、その独特な味わいはどうやって生まれているんでしょうか?
「銀座にある『トリバコーヒー』で焙煎してもらっています。使っているのは、サードウェーブ的な豆ではなく、缶コーヒーや喫茶店などでよく使う、リーズナブルなロブスタ種の豆です。浅煎りのような酸味ベースではなく、すっきりと飲みやすくも深い味わいが出るように焙煎の仕方を工夫してもらっています」