愛を持って、すべてを受け入れることの大切さ。

シャーリー: 映画を観て、“お金ではない豊かさ”を改めて実感しました。そこにはどんな思いや意図を込めましたか?
ジギー: ミュージシャン以前に、人間としてのボブが、その考え方を持っていたんですよ。だから映画では、それを重点的に描こうと思いました。
シャーリー: ぼくも何度かアフリカへ行って“お金ではない豊かさ”を身に染みて感じていたので、映画で再確認できました。アフリカへ行っているのは、“お金ではない豊かさ”を感じるためでもあって。じつはちょうど明日からアフリカへ行くんです。
ジギー: どこへ行くの? 予防接種はした?
シャーリー: エジプトとモロッコへ。一応、予防接種は済ませましたよ。来年はジャマイカへ行きたいと思っています。
ジギー: とてもいいですね! 旅を楽しんでください。

―シャーリーさんの旅へのエールが送られたところで少し話を戻しますが、ボブがイギリスへ亡命し離れて暮らすことになりましたね。そのときはどんな心情でしたか?
ジギー: ボブの暗殺未遂があり、ぼくら子どもたちは寄宿学校に預けられ、アメリカで暮らしていた時期もあった。でも、ボブがジャマイカに戻ってくると、寄宿学校へ迎えに来てくれたのが嬉しかったし、誇らしかったことを覚えています。
シャーリー: 劇中でも描かれていましたね。ほかにもボブとの思い出を聞かせてください!
ジギー: ボブは、ぼくら子どもたちをいろんな場所に連れて行ってくれました。ホープロード56番地にあったスタジオでは、ザ・ウェイラーズの仲間たちも良くしてくれて。ジンバブエの独立記念のライブに行ったし、ワンラブ・コンサートではステージに上げてもらって一緒に踊ったことを覚えています。
シャーリー: ほかの音楽の要素を取り入れつつ、時代に応じて変化していくレゲエ。日本のファッションも、アメリカやヨーロッパの影響を受けながら独自に進化しています。ほかから影響を受ける際に、大切なことはなんだと思いますか?

ジギー: オープンマインドで広い視野を持つことが大事。井の中の蛙になってはいけない、と思います。視野を広く持っていると、何事も受け入れられますからね。新しいことを恐れず、受け入れる懐の深さが必要です。あと、ずっと一カ所に留まっているのもよくない。常に進化し続けないとね。
シャーリー: そうですね、すごく共感します。日本のファッションの強みは、世界各国の文化やスタイルを柔軟に受け入れ、MIXして表現できる多様性だと考えています。僕も世界中を旅しながら各国の文化に肌で感じて、日本のフィルターを通してクリエイションする、そして進化し続けられるようオープンマインドな心と愛を持ったファッションデザイナーで居続けたいです。

取材中、「〈ラムロフ〉の服を持ってきていたら、着用して一緒に撮影できたのに」とジギーさん。じつはブランドのアイコニックなアイテムである、2024SSコレクションで製作した、ジャマイカ人がよく着ている「網シャツ」をモチーフにした「網カーディガン」を、ジギーさんにプレゼントしようと持ってきていました。それを手渡されたジギーさんは喜びの表情を浮かべ、彼の奥さんも「素敵。似合っている」と。このように取材は終始和やかな雰囲気で、ジギーの愛に満たされていました。


―では最後に、日本のファンへメッセージをお願いします。
ジギー: お互いに愛を持って接する、それ以上の大切なことはありません。それができれば、世界はもっと良くなるはずだから。愛があれば、みんながひとつになって幸せになれると思います。
