元実業団ランナーを錯覚させるほど、つくり込まれたシューズ。
ー スニーカー選びの傾向はありますか?
畔柳:スニーカーに対するこだわりは特にないつもりですが、ランニングシューズをベースにしたモデルを選ぶことが多いですね。ランニングシューズはそもそも軽いし歩きやすいので、今日は歩きそうだなという日は特に。とはいえ、いわゆるローテクやレザーシューズも履きますけどね。
ー 〈デサント〉とのエピソードがあれば教えてください。


畔柳:ちょっとした思い出話ですが、ぼくは中学校時代も陸上部で、当時〈ムーブスポーツ〉(〈デサント〉のニューレーベル)とプリントされたウェアがカッコいいと思っていたんです。速くてイケてるひとが着ていたのが〈ムーブスポーツ〉でした。自分も着たかったけど、実家が裕福じゃなかったから買えず…。で、ちょっと前にモデルとして〈ムーブスポーツ〉の撮影に参加して、店頭パネルとして使ってもらったんです。すぐに親に報告しましたね(笑)。
ー (笑)。素敵なエピソードですね。さて、今回の「モジュラライズ」の履き心地はどうでしたか?
畔柳:今回の取材の前に、あえて下調べはしませんでした。というのも、前情報を入れずに、履いた率直な感想をお話をしたいなと。その前提でお話しすると、足を入れた瞬間の感覚は、これはランニングも登山もできるシューズなんだろうなというものでした。だから、「ランニングシューズですよね、これ?」と聞いたんですが、「いえ、スニーカーです」という答えで、めちゃめちゃ驚きましたね。
ー いい驚きですね。

畔柳:つまり、ランナーにランニングシューズだと錯覚させるくらいのポテンシャルがあるということですよね。ソールが硬すぎず柔らかすぎずで心地よく、軽く走ってみてもジョギングくらいならできちゃいそうだなと。
ー アッパー部分は、防水透湿性もあります。
畔柳:雨にも強いし、クイックシューレースによるフィット感など、至るところに機能がありますね。アウトソールは「MEGAGRIP」なのでオフロードも歩けますし。方向性は違えど、ランニングシューズのようにこだわりが強いシューズだと感じました。
ー デザイン面はどうでしょうか?
畔柳:シューズもウェアも落ち着いた色味を選びがちなので、このシューズとはめちゃめちゃ相性がいいなと。赤いシューレースがアクセントになってくれて。そもそもスタイルを選ばず、何にでも合わせられそうなデザインとカラーリングですよね。実は黒も気になっていたんですけど、ぼくの服装にはこっちの方がハマりそうです。
ー スタイリングのポイントを教えてください。
畔柳:今日のようにトップスはタイト目なものを着ることが多いので、ボトムスは〈デサントオルテライン〉のワイドショートパンツでバランスを取りました。一番気にしたのは色の合わせで、このスニーカーの世界観を崩さないように心がけました。
ー なるほど。そもそも畔柳さんは、どういう観点で靴や服を選ぶんですか?
畔柳:ファッションを意識し始めたのは、社会人になってから。それまでは雑誌を読んで流行りものを買ったりと、何かを参考にしていたんですけど、本格的に興味を持ってからは、その日その日で自分の気持ちが上がるものを選んでいます。それはランニングウェアに対しても同じです。

ー 自分のなかでの高揚感を大事にして、ファッションを楽しんでいるんですね。
畔柳:そうですね。結局はひとそれぞれが思う自由なファッションでいいと思うんです。周りが何ていおうが、自分が好きなファッションを楽しむ。ぼくの場合、たまにスポーツウェアを混ぜたりするんですが、ランナーだった自分がそういう着こなしをすることで、スポーツブランドの服もファッションとして楽しめるんだなと、少しでも多くの方に思ってもらえたら嬉しいです。