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FEATURE|L’ECHOPPE × AURALEE 比類なき服好きが作り上げた、永世定番の無地Tシャツ。

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L’ECHOPPE × AURALEE

比類なき服好きが作り上げた、永世定番の無地Tシャツ。

コアなセレクトで常にファッションギークたちの心を掴む青山の名店「レショップ(L’ECHOPPE)」と、確かなモノづくりに時代の空気感を巧みにブレンドさせたクリエーションで支持を得るブランド〈オーラリー(AURALEE)〉。両者による究極の無地Tシャツがこの度完成しました。なぜこのアイテムをつくろうと思ったのか? なぜ〈オーラリー〉でなければならなかったのか? そこに至るまでのバイヤー・金子恵治さんの想い。そして、原料となる綿から厳選し、紡績、編み、パターンに至るまでこだわり抜いたという職人気質なデザイナー・岩井良太さんのモノづくりの矜持。そのふたつが組み合わさって完成したTシャツを巡るひとつのストーリーをここにお届けします。

  • Photo_Tatsunari Kawazu[S-14]
  • Text_Yuichiro Tsuji
  • Edit_Ryo Komuta

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岩井さんは他のデザイナーとはちがう。

おふたりの出会いはいつ頃なんですか?

岩井ぼくが〈オーラリー〉をスタートさせるよりもずっと前のことです。10年近く前のことだったと思います。以前働いていたブランドの先輩である尾崎(雄飛)さんに紹介していただいたんです。

金子ぼくが一度ベイクルーズを辞めて、新しいお店をスタートさせようと思っていた頃だね。

岩井金子さんのお話は尾崎さんから聞いていました。おふたりは師弟関係のような絆があるので、逸話はたくさん(笑)。だからぼくはずっと金子さんに会いたいと思っていたんです。

初見のときの会話とか覚えていますか?

金子あんまり記憶がないですね(笑)。

岩井最初はそこまでしっかり話し込むようなことはしなかったと思います。それこそ挨拶程度だったような…。

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金子そもそも俺たち、これまでにご飯とか一緒に行ったことないもんね? ほぼ仕事の絡みばかりなんです。いちばん最初に仕事をしたのは、ぼくがブランドをやっていたときですね。Tシャツをつくることになって、それを尾崎くんと岩井くんに手伝ってもらうことになったんです。でも、実働はほぼ岩井くんだったね。

岩井パターンも含めて担当させていただきました。

そのとき、岩井さんは金子さんにどんな印象を抱きましたか?

岩井やっぱりこだわりをすごく感じました。袖山や着たときのアームのシルエットなど、「そういうところを気にするんだ?」と思ったのを覚えています。簡単な仕事ではなかったんですが、だからこそ楽しかったですね、金子さんとの共同作業は。

金子ぼくは服好きだけど、服作りに対する知識は明るくないんです。だから細かなディテールを描いて、実際の落とし込みはプロにお任せするのが一番なのかな、と。だからといって誰でもいいわけではなく、信頼できる人じゃないとお願いしたくない。

だから尾崎さん、岩井さんに依頼をしたわけですね。

金子その通りです。岩井くんはモノづくりのプロフェッショナルなんですよ。言葉数はそんなに多くないんですけど、その内側にはプロ根性のようなものを持っている。職人気質なところは小森(啓二郎 COMOLIデザイナー)に似てるなぁとずっと思ってました。

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岩井ぼく自身は、素材、縫製、デザイン、ディテール、プライスなど、すべてのバランスがよくないとダメだと思っています。でも、やっぱりとくに意識するのは素材です。素材を吟味していい生地をつくってから、それをどう料理するか考える。だから、トレンドがどうこうというよりは、まずはモノとしてクオリティーの高い服をつくりたいと思っています。

金子でもぼくが思うに、そういう人はたくさんいると思う。じゃあどうして岩井くんや小森のつくる服が魅力的なのかというと、ふたりともセンスがいいんですよ。

センスというのは?

金子時代の捉え方、落とし込み方に岩井くんのセンスを感じるんです。だから〈オーラリー〉のコレクションには、いま着てかっこいいもばかりが並んでいる。そういうことを意図せず自然にできるから魅力的なんだと思います。

他のバイヤーがピックアップしないものをセレクト。

「レショップ」で〈オーラリー〉の取り扱いをスタートさせたのはいつ頃なんですか?

金子2016年の秋冬からです。でも、それ以前から展示会にはずっとお邪魔していました。

そのタイミングでスタートさせたのには、なにか理由があったんですか?

金子うちのお店で国内のブランドを扱うことにずっと葛藤を抱き続けていたんです。〈オーラリー〉はすごく人気のブランドだし、取引先も多い。他のショップで購入できるものを、うちでやる意味はあるのか? と。とはいえ、やっぱり〈オーラリー〉はすごくいいモノづくりをしている。展示会でコレクションを拝見していると、彼にしかつくれないアイテムがそこには並んでいて、そのなかに彼の趣向がぐっと濃縮されたアイテムがいくつかあるんですよ。そういったアイテムをレショップらしい視点で選んで買えばいいのかなと、あるとき思いはじめたんです。

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“レショップらしい視点”というのは具体的にどんな基準なんでしょうか?

金子他のバイヤーが選ばなそうなもの。言い方を変えれば、不人気なものですね(笑)。

岩井金子さんのそういった審美眼は、本当に見事ですよね。実際にセレクトされるのは、まさにそんなアイテムなんです(笑)。シーズンに合わせてたくさんのアイテムをデザインするなかで、つくらずにはいられないアイテムがいくつか出てくるんですよ。

「売れる」「売れない」はひとまず置いておいて、岩井さんのファッション的エゴを反映させたアイテム、ということですか?

岩井そうですね。絶対売れないだろうけど、自分自身ではいいと思っているアイテム。やっぱりそういったアイテムは受注数も少ないんです。でも金子さんはそれをピックアップしてくれるっていう(笑)。

金子そういうアイテムが琴線に触れるんです。それでいざ店頭に並ぶと、〈オーラリー〉という名前を知らずに手に取ってくださる方がほとんどで。つまり、ブランド名を気にせずに、モノの価値を見てご購入いただいていて、それがすごくいいなぁとぼくは思うんです。

岩井うれしいですね。

金子モノの価値を正当に評価していただいている。理想の形です。

10年間リピートできるTシャツをつくりたい。

今回のアイテムはどんな経緯でつくることになったんですか?

金子ぼくから岩井くんに依頼する形で企画が進行しました。今回のコンセプトは“インナーT”なんです。単純にぼくのワードローブで完璧といえるインナー用のTシャツが存在しなくて、ずっといいものを探していたんです。いろんなブランドのアイテムを試したんですが、サイズスペックだったり、首まわりが気になったり、100点満点のものがなくて。

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それで自分で企画してつくろうと思ったわけですね。

金子これまで〈オーラリー〉の展示会にお邪魔させてもらって、岩井くんのつくるTシャツは一枚で着ても様になるといいますか、どこかアウター的な感覚があると思っていたんです。そう考えたときに、“〈オーラリー〉のインナーT”というのはいままでなかった発想だし、ブランドの違った一面を見ることができるんじゃないかと。

なるほど。

金子先程も話していた通り、申し分のない品質を岩井くんは届けてくれますし、だからこそベーシックなものでも絶対にできるという確信めいたものが湧いて出たんです。あと最近、これからのベーシックをつくりたいという想いがぼくの中にあって。

これからのベーシック?

金子いまの時代だから生み出せるベーシックなアイテムをつくりたいなと。いまは昔以上にモノづくりができる時代だし、岩井くんのように優れたデザイナーもいる。そうした環境の中で、新しいスタンダードを生み出すことができるんじゃないかと。

岩井金子さん、打ち合わせの際に「10年間リピートして買えるものがいい」と仰ってましたよね。「細かなマイナーチェンジをせずにずっとお店に置いていけるものを」ということで、サイズスペックに関してはすごく考えましたね。

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半袖Tシャツ ¥6,800+TAX、長袖Tシャツ ¥8,300+TAX、長袖タートルネックT ¥8,800+TAX

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10年間マイナーチェンジをしないということは、ある意味では、どの時代のトレンドにも属さないということですもんね。

岩井そうですね、いまっぽいと10年着れないですから。サイズスペックを考える上で、昔から遡って、現在、そして先のことまで考えました。そのなかで、どんなシルエットが廃れずに生き残れるのか? ということを念頭に置いてパターンを作成したんです。これが本当に難しかったですね。Tシャツ、ロンT、ハイネック、すべて微妙にパターンが異なるんですが、肩幅、袖山、袖丈、身幅、着丈、すべてのバランスをやり過ぎずちょうどいい塩梅に設定しています。着ると「なんとなくいいな」と思っていただけると思います。

金子「いまっぽい」ではなく「なんとなくいい」というのが味噌ですね。

生地など生産背景の部分ではどんなところにこだわったんですか?

岩井素材は超長綿を使用して糸から別注でつくりました。脇に縫い目がでない丸胴の編み機でボディを編んでいるんですが、その機械にいちばんフィットする太さに仕上げているんです。糸の撚りに関しても、あえて甘撚りにしてできあがりの風合いが柔らかくなるようにしています。通常、超長綿を使用する場合だと、糸を細く紡績してツヤっとした仕上がりにすることが多いんですが、今回はあえてその逆を行ってみました。普通のことをやってもありきたりのものしか生まれないので、できる限りいい素材を使って、ありそうでないものをつくったのがこのアイテムです。

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色は5色展開ですね。

金子レッドとネイビーに関してはぼくからのリクエストです。イメージしたのは〈ヘインズ〉の「BEEFY-T」。このアイテムが誕生したのはもう何十年も前だけど、いま見ても普通なんです。すごくいいものではないんだけど、悪いわけでもない。この先もずっとそうだと思う。

岩井「BEEFY-T」の色のイメージはすぐに共有ができました。すごく具体的でわかりやすかったので。ただ、色のトーンをどうするのか悩みましたね。デッドストックの色なのか、それとも着込んで何度も洗濯したときの色なのか? 実際に古着屋さんを廻って現物を確かめながらイメージを摺り合わせていきました。

金子結果的に「BEEFY-T」の色が出たかといえば、ちょっと違う色味になっています。でも、「BEEFY-T」はあくまで参考であって正解ではない。今回の場合、岩井くんと一緒に意見を出し合いながら同じゴールに向かって歩むことが大事だったように思います。その結果としてのこの色なんです。ぼくが言うとおこがましく感じるかもしれませんが、客観的に見てもこれはいい色だと思います。やっぱり岩井くんと感覚を共有できたのが一番大きい。それがないといちいち言葉で説明しなければなりませんからね。

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言葉で説明せずとも通じる感覚というのは、別の場所にいるモノ同士が一緒にモノづくりをする上で大事な要素になりますね。

金子そうですね。「BEEFY-T」のイメージ共有に関わらず、岩井くんとは上手にキャッチボールができた感覚があります。それがうまくアイテムに反映されているんじゃないかと。

岩井〈オーラリー〉のメンズアイテムではこういった原色のアイテムは少ないので、今回とても勉強になりました。

おいしいお惣菜が引き立つのは上質な主食があってこそ。

先程“10年間スペックを変えない”というお話がありましたが、これはお店でずっと展開する予定なんですか?

金子そうです。お店が開いている日は毎日買えます。お客さんの立場になって考えたときに、そうするのが一番いいと思うんです。服が欲しいタイミングってあるじゃないですか。それぞれのお財布の事情であったり、気分的な要因があると思うんですが、ファッション業界はそれとは関係なく半年刻みでシーズンが動いています。ぼくはそこにもどかしさを感じるんです。

あの服が欲しいと思っていたら、シーズンが過ぎていて買えないという苦い経験。服好きなら誰しもが通る道ですね。

金子半年刻みというファッションの流れはこちらの勝手な都合でしかない。お客さんからしたらそんなこと関係ないですから。そうしたズレを少しでも解消させるために、「レショップ」のベーシックとして置いていこうと思ったんです。

先程話されていた、“いまだから出せるベーシック”ともリンクしますね。

金子「レショップ」は自分たちが旬だと思うファッションアイテムを“おいしいお惣菜”に見立てていて、そんなお惣菜がたくさん集まる“ファッショングルマン”のお店というコンセプトがあります。ただ、そんなお惣菜が引き立つのは上質な主食があってこそなんです。いま世の中的にベーシックと呼ばれているアイテムは、ぼくらが集めてきたお惣菜とはちょっとハマらない気がしていて、だからこそ新しいベーシックをつくりたいと思いました。今回岩井くんがデザインしてくれたTシャツは、まさに我々の主食といえる高品質なベーシックアイテムに仕上がったと思います。

岩井お話を金子さんから頂いたとき、光栄だった分プレッシャーも感じたんですけど、いいものができあがって本当によかったです。

金子ぼくが最初に思い描いていた以上のアイテムになりました。インナーとしてつくったけど、一枚で着ても様になりますし。あと、シルエットがベーシックだから、同じサイズでも着る人の体型によって見え方が変わってくるんですよ。それはつまり、着る人の個性が主張されるということ。だから、本当にいろんな人に着てほしいですね。その写真を撮ってそれぞれの個性を記録したいです(笑)。

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L’ECHOPPE(レショップ)
住所:東京都港区南青山 3-17-3
電話:03-5413-4714
営業:11:00~20:00 / 不定休
lechoppe.jp
www.instagram.com/lechoppe.jp
※8月17日(木)発売です。

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