あるようでなかった一着に仕上がっている。
ー今回のセッション、振り返ってみていかがですか?
源馬: ぼくと宮下くんの付き合いがはじまったのは二十歳の頃なので、恐ろしいことにもうすぐで30年経つんですけど、はじめて服をつくっているところを見たんです。だけど、やっぱり宮下くんの服だなって改めて思えた。それがめっちゃおもしろかったですね。
ーそれは具体的にどんなところで感じたんですか?
源馬: 鋭い感性を持ったデザイナーというイメージをみんな宮下くんに抱いていると思うけど、実際は服の構造とかをめちゃくちゃ理解しているんです。どこをどういじったら、どんな見え方になるかというのがわかっている。それってすべてのデザイナーができることではないんです。自分が袖を通すなら、そういうデザイナーがつくった服がいいなって思うんですよ。
金子: たしかに、ディレクターと呼ばれるひとがつくる服と、デザイナーのつくる服には圧倒的な差がありますよね。
宮下: そこはいちばん重要なところだと思います。でも、今回は大輔主導で仕上がったので、どこまで自分の色がでているかなとも思います。ただ、今回の作業はすごく楽しかったですね。

ーアイテムは金子さんのお店である「ブティック」で発売するんですか?
金子: そうですね。数がそんなに多くないので、欲しい方は早めにこられることをおすすめします。
源馬: すぐ売れてくれたらうれしいですね。
金子: お店にサンプルを置いていて、なじみのお客さんに見つかちゃったんですよ。それで試着したいというので着てもらったんですけど、すぐに買いますって言ってましたね(笑)。
ー気分的にこういうコートが着たい機運が高まっているようにも感じます。
金子: そうですね。クラシックなコートはいくらでもあるけど、これは独特の雰囲気があるので。むかしながらの服をさんざん着てきたひとたちに刺さるアイテムだと思います。一般的なダッフルらしさがあるけれど、宮下さんらしいデザインもしっかり効いていて、あるようでなかった一着に仕上がっているので。
源馬: ぼくもさっき袖を通してみたけど、めちゃくちゃ良かったですよ。
金子: ぼくもこっそり全サイズ着てみましたが、どのサイズでもいけるんです。つくりはかなり大きめなんですけど、ガバッと羽織るように着ても様になるので。肩傾斜もいい感じで、大きく着ても肩が変に張らずにきれいに落ちるんです。サイズ選びで悩むひとが多くなるような気がします。
源馬: この企画も今回で終わらず、また3人でできたらいいですよね。
ーリミックス企画、ですか?
源馬: そうそう、リミックス企画。宮下くんのデザインをリミックスするっていうのがいいんです。とにかく自分の着たい服、3人で着られる服をつくりたいですね。
宮下: それはいいかもね。

ーそうなると第二弾もそろそろ動きはじめるということですか?
源馬: いや、それがまだ決まってないんです(笑)。宮下くんのデザインで着たいけど着れない服がいっぱいあるので、その中から見つけたいなと。実は自分の中で「これがいいかも」っていう服はあるんですけど、まだ言えないですね。宮下くんにベストなタイミングで提案しようと思ってます。
宮下: とりあえず、この企画はゲリラ的にしたらおもしろいかもね。
金子: 楽しそうですね。またやりましょう!